

左より音無美紀子、草笛光子、渡辺徹、坂口良子、遠野凪子
|
|
20人の愛人と23人の子供をもつ快男児・大森鉄平とその愛人たちが巻き起こす人間喜劇『あかさたな』が、来月4日から上演される。同作品は、昭和42年に三木のり平の主演、菊田一夫の演出で初演され好評を博したものの、48年に再演されて以来上演の機会に恵まれなかった。今回、主役の大森鉄平役に渡辺徹を迎えて、実に28年ぶりに再演されることとなった。
舞台は明治37年の浅草。牛鍋屋「あかさたな」の主人・大森鉄平は「愛するものが100人おれば100倍の力で仕事に打ち込む、それが男だ」という持論のもと、16の店舗すべてを愛人たちに管理させているという豪快な男。夢は「あかさたな」46文字分の店と、それを任せる愛人を持つことだと言ってはばからない。ところが、ある事件から愛人たちの結束が乱れて、店の行く先にも暗雲が立ちこめる。やがて女たちの反乱が始まった。

ドラマやバラエティーでの活躍が目立つ渡辺徹さんだが、文学座に所属している舞台俳優であるということは意外に知られていない。
その演劇人・渡辺徹の初座長となるこの公演。それが、かつて三木のり平・山田五十鈴という演劇界の大御所が出演した作品だというのだから、プレッシャーは軽くはあるまい。「(以前出演した)『夕鶴』なども宇野重吉先生がやっていらして、比較されるのはわかっていますが、逆に自分の中で比較しないようにやらないといけない」と、木下順二の名作『夕鶴』に出演した際の経験を語った。重責の躱し方は心得ているとでも言いたげな、あくまで泰然とした物言い。「答えは全部台本の中にあると思っています。自分の言葉として喋れるように、頑張るしかありません」。役柄に関しては一言だけ。「女性が好きな役と言うことで、非常に平凡な自分としては、役作りが難しいなと思っています(笑)」。従容として先達の跡を襲う。
|