【フランスに旅立った小野寺修二(おのでらん)がつづる「日々不条理日記」】 - 特集ページ - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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シアターガイド×アーティスト シリーズ vol2

フランスに旅立った小野寺修二(おのでらん)がつづる

日々不条理日記

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写真/3月某日...その2

帰宅途中。今日の出来事を頭に思い浮かべる。一つ穴が埋まらない。おもむろに道の端に寄り辞書を広げ調べだす。あーそうだった。もう何度も見たことのある文字と再度顔合わせをし、苦い汁が舌ににじむ。乱暴に辞書を閉じるとアパートの前に着いた。

押しボタン式鍵2箇所を開け、中に入る。エレベーターに乗りながら、今日の出来事をもう1度、2度3度復唱する。扉の鍵2箇所を開け、家の中に入る。玄関を通り、居間に行く。マダムがお茶を飲んでいる。

塵ひとつ落ちていない快適な空間。大きく息をし、今日の出来事を伝える。報告は一瞬で終わるのだ。そこを糸口にマダムと話す。私の持てる感覚器官全開でついていく。耳の穴だけでは足りない。毛穴まで開き、情報を取り込む。今日マダムは孫と映画を観に行った。「とても良い映画だったわ。」何度か聞きなおしたが 、主演俳優も監督も全く知らない人だった。改めてタイトルを聞き、頭に刻む。「何時からの回を観たのですか?」「四時よ。」「午後のですか」「そうよ」にこやかに話は進む。

自分の部屋に入る。どうでもいいことを聞いたものだ、と髪を掻きむしる。自分のにおいするタオルにくるまって、今日はもう寝てしまう。

プロフィール

小野寺修二
(おのでら・しゅうじ)

小野寺修二プロフィール画像

北海道生まれ。学生時代から演劇活動を始める。

3年間の社会人生活を経た後、日本マイム研究所に入所。独自のマイムを目指して、95年に、同研究所で出会ったメンバーとともに「水と油」を結成。

メンバーそれぞれのキャラクターと、何気ないマイムのコンビネーションで断片的なシーンを重ね、ダンスのようなリ ズム感と喜劇のようなユーモアを合わせ持ったユニークな作風が、大きな反響を得る。創作過程では、主にシーンの物語部分を担当。

発表する新作が常に高い評価を得ていたが、06年3月に「水と油」の活動を休止。現在、文化庁の「新進芸術家海外留学制度」の支援を受け、フランス・パリで修行中。