【フランスに旅立った小野寺修二(おのでらん)がつづる「日々不条理日記」】 - 特集ページ - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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シアターガイド×アーティスト シリーズ vol2

フランスに旅立った小野寺修二(おのでらん)がつづる

日々不条理日記

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写真/3月某日...その4

目が覚める。軽く朝食を済ませ外に出る。良い天気である。このところずっと厚い雲で覆われていたので、無条件に気分が良い。歩きだす。思いきって外に出てはみたものの、予定までまだだいぶあった。

カフェに入り時間をつぶす。店内は日曜ということもあり、まばらな客入りである。いつもイライラした面持ちで注文を聞くギャルソンも、暇そうにあくびをしている。

私は手持ちの本をぱらぱらめくり時間をつぶす。隣の席に、ベビーカー2台を押した若い男性が近づいてくる。男はベビーカーを隙間に押し込み座ると、せわしなく時計を見ている。そしてベビーカーからおそろしく愛想の良い子どもを抱え出し、私の隣に座らせる。子どもは私を見て微笑む。私もそれに応え微笑む。すると、持っていたクラッシックカーのおもちゃをいきなり私のコーヒーの中に落とす。移動することにした。

角を多めに曲がって目的地に到着する。建物の入り口で煙草を吸う。ゆっくりふかしたつもりだが、たいして時間は経たずまだ間があった。たまには早く入るのもいいかもしれない。入り口を抜け、階段を上る。誰もいない。ベンチに腰掛け待つことにする。やはり早すぎたか。また読みかけの本を読む。

だが予定の時間になっても扉は開かなかった。それどころかいつもいるはずの待ち人が、今日に限り一人もいない。不安になってくる。扉越しに中をうかがおうと近づくと、突然扉が開き男が出てくる。男は私を見るなり、「早くお入りなさい。とっくに始まってますよ」という。中を覗くと既に大勢の人が床に寝転がっていた。慌てて中に入り私も寝転がる。

鏡越しに時計をみると、私が入り口に着いた時から既に1時間以上が過ぎていた。そんなに経っただろうか? 私の中の感覚が急に不安定なものになる。帰宅する途中、色とりどりの野菜を並べた店で買い物を少しする。古ぼけたラジオが「夏時間」の到来を知らせている。

プロフィール

小野寺修二
(おのでら・しゅうじ)

小野寺修二プロフィール画像

北海道生まれ。学生時代から演劇活動を始める。

3年間の社会人生活を経た後、日本マイム研究所に入所。独自のマイムを目指して、95年に、同研究所で出会ったメンバーとともに「水と油」を結成。

メンバーそれぞれのキャラクターと、何気ないマイムのコンビネーションで断片的なシーンを重ね、ダンスのようなリ ズム感と喜劇のようなユーモアを合わせ持ったユニークな作風が、大きな反響を得る。創作過程では、主にシーンの物語部分を担当。

発表する新作が常に高い評価を得ていたが、06年3月に「水と油」の活動を休止。現在、文化庁の「新進芸術家海外留学制度」の支援を受け、フランス・パリで修行中。