【フランスに旅立った小野寺修二(おのでらん)がつづる「日々不条理日記」】 - 特集ページ - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
サイト内検索
すべて|
公演名|
人名・劇団名|
劇場|
演劇ニュース
様々な条件で検索
こだわり検索
注目キーワード

特集ページ

シアターガイド×アーティスト シリーズ vol2

フランスに旅立った小野寺修二(おのでらん)がつづる

日々不条理日記

最新の日記へ戻る

写真/4月某日...その2

通りがかりに本屋に入る。パリの町並みを写した写真集を見つけ、パラパラめくる。白黒の写真である。男たちはきちんと帽子を被ってチョッキを着込み、麗々しい顔をしている。四角い自動車が通りを走る。カフェでは初老の男が一人、籐の椅子に座り通りを見ている。笑顔でもなく膨れ面でもない寂しい目をした女がいる 。または男と女が抱き合っている。すぐ外でも同じ行為は行われている。しかし建物は同じなのに、人が違う。下には80年前の数字が書かれている。

本屋を出て、町を歩く。最近立てられた看板がある。張られたポスターの顔写真は、ビリビリに破かれている。特にある二人の顔は念入りだ。今週末まで張られているであろうそれらポスターの無傷なものを、私はまだ見ていない。女の候補者のポスターはなぜか白黒だった。

今朝の光景について考える。朝、いつもと同じようにカーテンを開けると向かいの建物に異変が起きている。築100年は経とうという建物の屋根裏部屋の上、煙突部分の下に落書き文字が色鮮やかに刻まれていた。その文字と建物の組み合わせはどうにもミスマッチで、その文字が一体何を主張しているのか知りたいと思い辞書で調べてみたが、結局意味は分からなかった。町はここ最近とみに落書きが増えている。

駅で暴動が起きる。人々は顔を合わすと熱心に話をしている。テレビでは子どもがとうとうと意見を述べている。大きな節目の今、建物は変わらないのに人が変わる。

プロフィール

小野寺修二
(おのでら・しゅうじ)

小野寺修二プロフィール画像

北海道生まれ。学生時代から演劇活動を始める。

3年間の社会人生活を経た後、日本マイム研究所に入所。独自のマイムを目指して、95年に、同研究所で出会ったメンバーとともに「水と油」を結成。

メンバーそれぞれのキャラクターと、何気ないマイムのコンビネーションで断片的なシーンを重ね、ダンスのようなリ ズム感と喜劇のようなユーモアを合わせ持ったユニークな作風が、大きな反響を得る。創作過程では、主にシーンの物語部分を担当。

発表する新作が常に高い評価を得ていたが、06年3月に「水と油」の活動を休止。現在、文化庁の「新進芸術家海外留学制度」の支援を受け、フランス・パリで修行中。