【フランスに旅立った小野寺修二(おのでらん)がつづる「日々不条理日記」】 - 特集ページ - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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シアターガイド×アーティスト シリーズ vol2

フランスに旅立った小野寺修二(おのでらん)がつづる

日々不条理日記

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写真/6月某日...その1

夜、電話が鳴る。出てみると知らない男からである。私は、「間違っています。」と告げる。しかし、相手は構わず用件を述べてくる。どうやら待ち合わせの場所を説明しているらしい。やけに慌てた感じである。返事がないことに気付き話が止まる。その隙をついて間違っていることを再度告げるが、「じゃ明日。」と電話は切れた。どうしたものかと考える。電話をかけ直し約束が伝わっていないことを知らせるべきか? しかし、あの調子と自分の語学力を考え諦める。後味が悪い。改めて着信番号を確認すると、非通知の表示になっていた。ホッとしながらも、少し落ち着かない気持ちで寝る。

翌日、ぶらぶらと街を歩いていると電話が鳴る。もしやと思い着信を見ると非通知である。出てみると、友人からだった。友人は約束の時間を遅らせて欲しいと言っている。約束??慌てて予定表を見ると、今日の日付の欄に場所と時間が書きこまれている。そして横に小さくDVDと書かれていた。急に記憶が蘇る。DVDを取りに家に戻り、約束の喫茶店に向かう。

危うく約束をすっぽかすところであった。冷や汗をかきながらコーヒーを飲む。約束の時間になったが、友人は来ない。いつものことだ。しばらくして電話が鳴る。遅れるのだなと電話に出ると、昨日の男である。男は相変わらずの勢いで話し始める。少し不機嫌そうである。今日はその話を遮り出来るだけ丁寧に「間違っています。」と伝える。しばしの沈黙がある。「誰?」。思わず反応し名前を言う。すると今度は「何故?」である。ゆっくりとこれは私の電話である旨を伝えると、無言のまま電話は切られた。

慌てた調子で友人がやってくる。連絡出来なかったのは、電話の充電が切れたからだと言っている。今起きたことを友人に説明しようとすると、友人は電話を貸してくれと言う。明日の予定を確認したいとのことだった。友人は電話の相手に矢継ぎ早に話をし、しばらくの沈黙の後、「じゃ明日。」と言って電話を切る。

プロフィール

小野寺修二
(おのでら・しゅうじ)

小野寺修二プロフィール画像

北海道生まれ。学生時代から演劇活動を始める。

3年間の社会人生活を経た後、日本マイム研究所に入所。独自のマイムを目指して、95年に、同研究所で出会ったメンバーとともに「水と油」を結成。

メンバーそれぞれのキャラクターと、何気ないマイムのコンビネーションで断片的なシーンを重ね、ダンスのようなリ ズム感と喜劇のようなユーモアを合わせ持ったユニークな作風が、大きな反響を得る。創作過程では、主にシーンの物語部分を担当。

発表する新作が常に高い評価を得ていたが、06年3月に「水と油」の活動を休止。現在、文化庁の「新進芸術家海外留学制度」の支援を受け、フランス・パリで修行中。