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シアターガイド×アーティスト シリーズ Vol.5

地球は舞台!世界一周中のイシコがつづる見物記

セカイ・ゲキジョウ―The World is a theater―

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写真/影絵の様子

クアラルンプールからマレー鉄道の深夜特急で約14時間揺られ、終着駅の一つ前のワカバルという駅で降りる。そこからバスで15分。コタバルというマレーシアとタイの東の国境に近い街にいる。街の時計台からはコーランが流れ、街の女性のほとんどがスカーフを巻いたイスラム教徒たちであふれるイスラム色の強い街である。映画館もなければ市民ホールもないエンターテインメントには縁がなさそうな街である。

僕にとってのエンターテインメントは、毎日、夕方、立ち寄る川沿いのカフェから見るクランタン川の夕日だった。夕日に照らされる渡し船で向こうの村に帰っていく人々を見ているうちに自分も乗ってみたくなった。1リンギット(約33円)支払って渡ってみたもののモスクを散歩している僕を怪訝そうに見る現地人くらいしか出会わなかった。

しばらく歩いていると出会ったおじさんが僕に何か言い始めた。

「%&$#〜?」

マレー語で言われてもわかりません。

「ごめん!マレー語わからないんだよ」

日本で返すと彼は僕を手招きして僕の前を歩き始めた。特に予定があるわけでもないし、決して何かを売りつけようとしているような雰囲気でもないので、ついて行ってみることにした。船着場の近くのバラック小屋を指して、

「%&$#〜」

相変わらずマレー語で僕に何か言った。

「だから、マレー語がわからないんだってば」

僕も負けずに日本語で答えた。

写真/羊の皮で作った影絵に使う人形

すると中から一人の老人が出てきた。その老人に向かって、おじさんはマレー語で何か言うとにっこりと笑ってどこかへ行ってしまった。老人は手招きして僕をバラック小屋の中に入れた。10畳くらいの部屋の真ん中に大きなテレビが置かれ、画面にはマレーシアの古いミュージッククリップが流れていた。テレビの右側には打楽器が吊り下げられ、左側には、影絵の道具がずらりと並んでいる。どうやら彼は影絵師のようだ。僕が道具に見入っていると彼は冷たい豆乳と一緒に古いアルバムを持ってきた。

写真/コタバルで出会った影絵師のおじさん

写真には彼が今まで公演してきたバリ島、南アフリカ、イギリスなどの写真が貼られていた。その中に日本公演の写真もあった。

「How old are you?」

もわからないくらい彼は英語ができず(まぁ、僕も似たようなものだが…)、全てマレーシア語で語ったので、日本公演の話は聞けなかった。

しかし、影絵は羊の皮で作るから丸めても壊れないということ、日本が大好きだということ、歳を取ったので今は年に3回くらいコタバルで公演するくらいだということはボディランゲージでわかった。そして、案内してくれたおじさんの「%&$#〜」は「影絵師」だったということも……。

イシコのあしあと

• 今回訪れたのは、[マレーシア]コタバルです。


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プロフィール

イシコ
(本名:石原英一)

1968年岐阜県生まれ。静岡大学理学部数学科を卒業後、女性ファッション誌編集長、ウェブマガジン編集長を経て、ホワイトマンプロジェクトを始動。代表を務める本人はもちろん、さまざまな分野で活動する友達たちとともに、白塗りをして、国内外を問わず、子ども向けのショーから地球温暖化防止活動の冊子や映像制作、ワークショップまで、幅広くさまざまなコンテンツづくりに取り組んでいる。本業のライターやブロガーとしては「散歩の達人」(交通新聞社)、「verita」(カフェグルーヴ)などの連載、1カ月ブログシリーズ「スーパーサイズミー(寿司編)」、「カンヌ映画祭ブログ」などがある。「古本カタログ」(晶文社)の中に収録されたコラムは2004年の広島県立大学の入試問題に出題されている。

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