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シアターガイド×アーティスト シリーズ Vol.5

地球は舞台!世界一周中のイシコがつづる見物記

セカイ・ゲキジョウ―The World is a theater―

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写真/バリにある舞踊芸術が行われる会場

世界における宗教の割合が書かれた表を眺めていた。1位がキリスト教の3割というのは何となくわかるが、2位がイスラム教で2割以上というのは意外な数字だった。ならば一番、イスラム教徒が多い国はどこだろう。イランはたまたエジプト、どちらにせよ中東近辺なのだろうと思い、さらに調べていくと実はインドネシアだった。この国は人口において世界4位で2億3千万人にも上る。その7割の国民がイスラム教徒である。10年程前、初めてイスラム国インドネシアに興味を持った。

さて、いざ、インドネシアのバリ島にやってくるとこの認識が覆された。この島に限っていえば、9割がヒンズー教徒なのだ。様々なヒンズー王朝を経てきたこの島は、自然崇拝や精霊崇拝(アニミズム)なる日本の神道にも通ずる考えも入ったバリヒンズー教ができ上がり、それに基づいた独特の文化に育ってきた島だった。

写真/舞踊が行われる様子

そしてこの島の中に芸術が盛んなウブドという村の集合体がある。毎日、どこかで小劇場の芝居を観ることができる東京や大阪のように、この村では毎日、どこかでレゴンダンス、ケチャなどの舞踊芸術を観ることができる。これらの舞踊芸術は元々、バリヒンズー教の宗教上の儀式や祭事の中で行われてきた。例えば、自然の善・聖なるものを表すバロン(聖獣)の獅子舞に似たダンスや、バロンと自然の悪を象徴するランダ(魔女)が終りなき戦いを繰り広げる舞は、寺で演じられる奉納芸だった。こういったものが、どこか僕には亡霊、神、鬼が主役となる「能」を感じてしまう。「トペン」という道化役者の仮面をつけて踊る舞踊があり、様々な種類のトペンの仮面の中には「能」に登場する「翁」の面に似ているものがあるという話も聞く。

写真/舞踊に使われるお面

「仮面をつけることで目に見えない何かが舞い降りてくる気がしてならない時がある。」という話をウブド在住の日本人としていると、彼は「バロンダンスで不思議なことが起きるのを見たことがある」と言った。先祖の霊を迎えるお祭りで踊られるバロンダンス、正確には祭事で舞う場合、バロンダンスではなくババンバロンと呼ぶのだが、そのババンバロンの最中、急に何かが憑依したようにバロンが暴れるみたいに踊り始めたそうだ。暴れるバロンをみんなで抑えつけ、バロンの仮面を取ると中に入っていた踊り手の顔の目は血走り、トランス状態に入っていたらしい。宗教、自然、芸術が絡み合うと、こういったことが起きても不思議じゃないと思う。だからこそ何か引き寄せられるような魅力が、このバリの舞踊芸術にはあるのだろう。すっかり取り憑かれた僕は劇場に通う日々を送っている。

イシコのあしあと

• 今回訪れたのは、[インドネシア]バリです。


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プロフィール

イシコ
(本名:石原英一)

1968年岐阜県生まれ。静岡大学理学部数学科を卒業後、女性ファッション誌編集長、ウェブマガジン編集長を経て、ホワイトマンプロジェクトを始動。代表を務める本人はもちろん、さまざまな分野で活動する友達たちとともに、白塗りをして、国内外を問わず、子ども向けのショーから地球温暖化防止活動の冊子や映像制作、ワークショップまで、幅広くさまざまなコンテンツづくりに取り組んでいる。本業のライターやブロガーとしては「散歩の達人」(交通新聞社)、「verita」(カフェグルーヴ)などの連載、1カ月ブログシリーズ「スーパーサイズミー(寿司編)」、「カンヌ映画祭ブログ」などがある。「古本カタログ」(晶文社)の中に収録されたコラムは2004年の広島県立大学の入試問題に出題されている。

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