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シアターガイド×アーティスト シリーズ Vol.5

地球は舞台!世界一周中のイシコがつづる見物記

セカイ・ゲキジョウ―The World is a theater―

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写真/バリ島の伝統的影絵「ワヤン・クリット」が行われた会場

バリ島を舞台にした小説とエッセイが1冊にまとまった吉本ばななの「マリカの永い夜/バリ島夢日記」という単行本がある。ところどころにバリ島の写真も挟みこまれ、その中にひときわ目立つ、椰子油ランプの明かりの中に浮かび上がる影絵の写真が印象に残る。バリ島の伝統的影絵「ワヤン・クリット」である。

「ワヤン」は「影」、「クリット」は「皮」という意味で、影絵で使われる人形が牛の皮から作られていることからこう呼ばれるのだろう。ワヤン・クリットは元々、宗教的儀式でしか見られなかったそうだが、現在は観光客向けに1時間程度に内容を集約して定期公演が行われている。

写真/「ワヤン・クリット」が行われる様子 その1

公演が行われているホテル内の会場へは開演の1時間前に到着してしまった。50000ルピア(約450円)を支払い、劇場内に入る。劇場というよりは公民館の中を二つに仕切って行われているようで、片方のスペースではアートギャラリーのようにバリ舞踊を描いた絵画などが飾られている。しばらく絵画を眺めていると、影絵の人形が入ったつづらを持った演者の男性が5名ほど現れ、舞台上の電灯をつけ、影絵を映す白いスクリーンを張る準備を始めた。椰子油のランプでできた天井のすすが年季を感じさせる。主役の影絵には客席側からは見えないが色が施してある。客席から見えない、すなわちあの世には色のある美しい世界があり、僕らが見ている客席の現世には白黒しか見えないという宗教的な意味が含まれているのだそうだ。

写真/「ワヤン・クリット」が行われる様子 その2

舞台では、ほぼ準備が終わったのだが相変わらず客席は僕一人である。開演ぎりぎりになり欧米人カップル2組が現れ、最後に日本人らしき女性が一人現れた。客席に合計6名が座ったところで室内の電気が消され、椰子油の明かりが灯される。この明かりだけで行われるという究極のエコ公演である。カウィ語(古語)とバリ語で構成されるので観光客には内容がわからないため、最初に老人が一人出てきて英語で内容を一通り説明してくださる。しかし、英語もわからない僕には千夜一夜物語のようなインドの叙事詩「マハーバーラタ」のお話を上演するということしかわからない。

老人の説明が終わると舞台上で、「ダラン」と呼ばれる人形師が一人で複数の人形と声音を操りながら物語を始める。揺れる炎の中で幻想的に影絵が動いていく。その人形の動きに合わせ、バリ島の楽器「ガムラン」の一つでかなり技術を要すると言われる「グンデル・ワヤン」の音色を聞きながら眠りに堕ちていく…って堕ちていってどうすると目覚める度に自分自身に突っ込むのだが、椰子油の炎の中で観る人形劇は究極に心地いいのである。

イシコのあしあと

• 今回訪れたのは、[インドネシア]バリです。


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プロフィール

イシコ
(本名:石原英一)

1968年岐阜県生まれ。静岡大学理学部数学科を卒業後、女性ファッション誌編集長、ウェブマガジン編集長を経て、ホワイトマンプロジェクトを始動。代表を務める本人はもちろん、さまざまな分野で活動する友達たちとともに、白塗りをして、国内外を問わず、子ども向けのショーから地球温暖化防止活動の冊子や映像制作、ワークショップまで、幅広くさまざまなコンテンツづくりに取り組んでいる。本業のライターやブロガーとしては「散歩の達人」(交通新聞社)、「verita」(カフェグルーヴ)などの連載、1カ月ブログシリーズ「スーパーサイズミー(寿司編)」、「カンヌ映画祭ブログ」などがある。「古本カタログ」(晶文社)の中に収録されたコラムは2004年の広島県立大学の入試問題に出題されている。

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