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地球は舞台!世界一周中のイシコがつづる見物記
セカイ・ゲキジョウ―The World is a theater―
2009.06.26
[中国]成都
仮面のからくりがわからない

上海から西に約2400キロ、飛行機で約3時間。四川省の成都という1000万人都市がある。この街にやってきた理由は二つ。一つは、この街が発祥である大好物の麻婆豆腐を食べまくること。そしてもう一つ。瞬時にして顔の面を変えてしまう「変面」の芸を生で観てみたかった。
四川省の伝統芸能「変面」を知ったのは90年代半ばに創られた香港映画「變臉(へんめん)」だった。変面の芸を持つ主人公と弟子の物語を中国の伝統芸能を交えながら丁寧に描いた作品だった。

成都では文化公園はじめ三カ所で「変面」の芸を観ることができる。僕は三国志で知られる諸葛亮(孔明)や劉備(玄徳)が祀られた観光名所「武候祠」の目の前にある劇場に向かった。もちろん夕食に麻婆豆腐を食べてから。造り酒屋にでも入るような趣のある劇場は回廊のようになっている。真ん中の空間に設置された客席と舞台の上に屋根はあるのだが、どこか屋外のステージで観ているような雰囲気である。
開演時間までかなり時間があるので配られたジャスミン茶を飲み、お茶受けに出されたひまわりの種をつまみながら、客席数を数える。劇場のように固定された椅子ではないが、1階席だけで400名から500名は座ることができる。二階席や回廊に椅子を置けば800名程度は座れるのではないだろうか。
「シャリン、シャリン」と金属音がする。開場中、客席でマッサージを請け負うおばさんたちが耳掃除の道具を鳴らすのである。マッサージと一緒に何種類もの金属の棒を使い耳掃除をしてくれるのだ。以前、ラオスでやったことがあり、これが信じられないほど、いや、恥ずかしいほど耳垢が取れる。僕の隣に座った欧米人カップルが頼んでいた。

開演間際に中国人の団体客が30名程入ってきたが、それでも全部で40名程度の寂しい客数の中で舞台は始まった。操り人形、二胡の演奏、手影絵(これが素晴らしかった)、客いじりの大道芸など幅広い演芸が次々に繰り広げられる。そして、いよいよ最後に変面の芸が始まる。緑の仮面で登場した男性は一瞬にして赤の仮面に変わってしまった。どうしても仕掛けが気になる。瞬きしないように目を凝らすが分からない。客席にも降り、目の前で変えるのだが全く分からない。
途中から女性も加わり、二人で音楽に合わせて一緒に面を変えていく。映画「變臉(へんめん)」の中では変面の技は男性のみしか継承できない技ということだった。映画の設定は20世紀初頭だったのでそれから100年も経つと男性のみの継承という掟も既に崩れてしまっているのかもしれない。それでも、この変面のからくりは未だ門外不出で国家ぐるみで守られているという話である。
プロフィール
イシコ
(本名:石原英一)
1968年岐阜県生まれ。静岡大学理学部数学科を卒業後、女性ファッション誌編集長、ウェブマガジン編集長を経て、ホワイトマンプロジェクトを始動。代表を務める本人はもちろん、さまざまな分野で活動する友達たちとともに、白塗りをして、国内外を問わず、子ども向けのショーから地球温暖化防止活動の冊子や映像制作、ワークショップまで、幅広くさまざまなコンテンツづくりに取り組んでいる。本業のライターやブロガーとしては「散歩の達人」(交通新聞社)、「verita」(カフェグルーヴ)などの連載、1カ月ブログシリーズ「スーパーサイズミー(寿司編)」、「カンヌ映画祭ブログ」などがある。「古本カタログ」(晶文社)の中に収録されたコラムは2004年の広島県立大学の入試問題に出題されている。
これまでの日記
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