ヨーロッパ企画・諏訪の「ミュージカル道」- 特集ページ - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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シアターガイド×アーティスト シリーズ Vol.9

ヨーロッパ企画・諏訪の

ミュージカル道

昨年末に公開された映画版「レ・ミゼラブル」の大ヒットを受けて、巷ではミュージカル人気が高まっているのだとか。 そんな噂を知ってか知らずか、ヨーロッパ企画の諏訪雅が、突如ミュージカルをつくることに! とはいっても、諏訪自身にとってもミュージカル制作は初体験。そこに一から挑戦することになり……。

とりあえず出演者が決まらなければ話も決められないということでキャスト募集してみようということにはなったけど、応募が0通だったらどうしようという不安が出てきた。このミュージカルに出たいと思う人が0人。ということはこのミュージカルを観たいと思ってる人も0人の可能性がある。っていうかこの連載を見てる人が0人とか。

0通だった時のショックを減らすために0ももちろん想定していたということにしといた方が絶対いい。傷つきたくないもん。いやだってそもそも0で当たり前でしょ。僕が初めてつくる得体のしれないミュージカルに、京都でひと月も時間を割いてくれる人なんて0でしょ。あ、これはもう0人だ。いや0はしょうがない。全然ある。危ない危ない。ふいっと募集して0をバチーンとくらってしまうところだった。いやー傷つかずに済んだ。ということは1でもかなりうれしいことになるなあ。その1とはもう一生芝居をしていってもいいくらいの1だ。ユニットをつくるくらいの1。ユニット名は「僕と1」。0で当たり前、1はもう奇跡。

そんな気持ちで募集した次の日、応募メールの受信箱を開いてみる。もちろん0だという想定で。すると目に飛び込んできたのが数字の5。5? はあ? 何が? ふざけてんの? 帰るよ? いや、こっちは0か1かの話してんのに5って! あ! 昨日数字法変わった? 数字法っていう数字の法律があるのか知らないけど、数字の定義変わった? 数字王が「5を0としましょう。そして0を5としましょう」って言った? 数字の並びが「5,1,2,3,4,0,6,7,8,9,15」って改定された? Yahooニュースを確認。載ってない! え? じゃあ、この5ってあの5? ホントの5ってこと? 1、2、3、4、5ってこと? 飲み込むまで幾許かの時間を要し、僕は5という数字をようやく理解した。ありがたやありがたやありがたやー!

それから毎日少しずつ応募が増えていき〆切までになんと60もの応募が集まった。7進法ではなくちゃんとした10進法での60。0か1の世界から見上げる60の世界、それはもう限りなく無限に近い60だった。僕の初めてつくるミュージカルに出たいと思う人が60人もいる。そんな素晴らしい60がいる うれしい!みんなと友達になりたい そして60人全員出てほしい!

制作の井神さんに質問する。
「だいたい出演者って何人くらいが良さそうですかね?」
この質問で井神さんが「60人くらいかなあ」と答えれば、応募してくれた人全員とミュージカルができる。しかし現実の井神さんは「なんとも言えないけど、でもまあリアルな話、10人前後じゃないかなあ」と。10人前後。これがリアル。僕は誠心誠意この60人と向き合い、出演者を決めるしかない!

オーディション初日。オーディション内容は、まずはじめに東京の人も応募が多かったので京都でひと月稽古ですが大丈夫ですか?滞在先はありますか?という確認をし、なんとなく話の題材として、悩み事を一つ話してもらって、オーディションに同席出来ない音楽の伊藤さんにみてもらうために歌っているところをビデオに撮らせてもらう。たまに振付の団長の要望で軽くステップを踏んでもらい、最後は僕が以前書いた台本の読み合わせをする。それらを含め、大体一人20分から30分くらいおしゃべりできたら、ある程度判断できるくらいの雰囲気はつかめるかなあと思っていたら、いきなり素晴らしい人がやってきた。歌はむちゃくちゃうまいし、人も良さそう。海外でのミュージカル経験もすごくて、ホントの人がやって来た!と思った。そしてその後も、とにかく情熱がすごい人。京都で別の劇団を主宰する人。買う服がなくて困っている人。とにかくいろんな人がやってきて初日終了。すでに枠がないくらい全員良く見える。

写真/諏訪と振付の団長によるオーディション

そもそもミュージカルの内容が決まっていないので、とりあえず出演者をなんとなく決めてみようということだったのに、今度は内容が決まってないから出演者が決められないというジレンマ。これはもういろんなタイプの人を選ぶに越したことはないなあと思い、それにしてはぜいたくすぎるくらいいろんなタイプの人に恵まれ、2週間くらいかけてオーディション終了。キリキリまで悩み、ホントは10人選びたかったところ、ヨーロッパメンバーにも出てもらいたいので、なんとか珠玉の7人を選出した。

そしてヨーロッパメンバー。なんとなく僕の中で芽生えてきたヨーロッパ企画の中でもダントツ歌が下手な本多(力)君を主演にしたいという思い。音楽は大好きだけど歌が下手というキャラクターが、もう主役っぽすぎてヤバイ。

石田(剛太)。歌が下手な本多をいじりまくるが、石田も最後、実はむちゃくちゃ歌が下手なことがバレ笑いものになる、本多の敵役。

角田(貴志)。ホームレス。壁に描く、絵描き歌で本多に勇気を与える。

黒木(正浩)。ディスコキング。伝説のヌンチャクダンスを観たものはいない。

諏訪。僕。ミュージカル作家。自分のコンプレックスを本多に重ねて作劇するが、実際は本多よりも歌も身体能力も劣っているため、自分の書いた主役さえも自分の作品を離れていく。孤独。食いしん坊。

メンバーにかんしてはなんとなくの役どころが想像できるし、これでいこう。出演者決定!!

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プロフィール

諏訪 雅
(すわ・まさし)

76年奈良県出身。俳優。98年に上田誠、永野宗典を誘ってヨーロッパ企画を旗揚げ。以降、全作品に出演。外部作品への出演やラジオパーソナリティーとしても活動。 また、webページ「ヨーロッパスタジオ」の編集長や、劇団公演パンフレット「ヨロッパ通信」の編集長も務める。さらに映像作品のディレクションやヨーロッパ企画DVDのプロデュースも手掛けている。