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阿佐ヶ谷スパイダースPRESENTS 〜暴走する男たちシリーズロングラン記念〜 SPECIAL SCREENING『日本の女』『はたらくおとこ』TALK SHOW in Suzunari Supported byイープラス/シアターガイド

6月から7月にかけて、下北沢の老舗劇場ザ・スズナリで約1カ月にわたる念願のロングラン公演を果たした阿佐ヶ谷スパイダース。「暴走する男たち」シリーズ第三弾となる新作『少女とガソリン』に加えて、同シリーズの過去二作『日本の女』『はたらくおとこ』の上映会、出演者らによるトークショーと濃密な劇場空間を使い尽くし、公演は大盛況のうちに幕を下ろした。今回の特別企画では、上映会後のスペシャル・イベントとして行われた対談トークショーの模様を大公開! 語らう男たちの“暴走”はとどまるところ知らない!?

司会=徳永京子(演劇ライター)

6月13日(水)『日本の女』上映後 長塚圭史(阿佐ヶ谷スパイダース)×今井浩一(シアターガイドスーパーバイザー)

『日本の女』は荒削り

写真/トークショー模様:左から長塚圭史、今井浩一

―『日本の女』(∗)を観ていただいたわけなんですけれども、どんな気持ちでこの酷い話を書いたのか、まずお伺いしたいです(笑)。

• 長塚 どんな気持ちだったんでしょうね……。

―エネルギーがもの凄いですよね。

• 長塚 そうそう、そうですね。(中村)まことさんとか、イケテツ(池田鉄洋)さんとか、一緒にやりたかった俳優さんたちとやれたからね。イケテツさんはその頃、既に何度か断られてたんですけど(笑)。それもあって、やっと一緒にやれるという気持ちで、すごい盛り上がってて。あと、本多劇場の稽古場があるじゃないですか? 本多スタジオっていう。そこで稽古してて、台本も稽古しながら書いてたんですよ。だから、あのメンバーだからこその作品というか、集まった人の力みたいなのがあったんじゃないかなと思いますね。

∗2001年に初演された「暴走する男たち」シリーズの第一弾。妻の浮気現場を目撃した男、姉から虐待を受けていた男、恋人に勝手に子どもを堕ろされた男――そんな男たちがそれぞれの思いを“女”にぶつけていく。エスカレートしていく男たちは、日本からすべての女を消し、男だけで日本とともに滅びる活動を開始するが……。

―作品の立ち上げのところは何かしら決めてて、それでメンバーのお稽古を見ながら変えていったと。一番最初の取っ掛かりは何だったんですか?

• 長塚 いや、それがちっとも思い出せないんですよね(笑)。さすがに6年前ですからね。だから、えーっと……あ、思い出した! あのね(笑)、要するに女性のいない世界を男達が創ろうとしているっていうのは考えていたんですよ。 で、考えているうちに身近なところから始めていきたい、ということになって、前半は家族の話というか、浮気現場から始めることにしたんです。最初は、後半の話を書こうと思って始めたんですよ。今見ると後半は作りが粗すぎて、もう自分でもびっくりするんですけど(苦笑)。結局、そんなに後半のことが思いつかなくて、前半ばっかりが良く出来た感じで。

(一同 笑)

• 長塚 やっぱり後半酷いですよね!?(笑)

―お客さんも「うん」て(笑)。

• 長塚 無茶にもほどがありますからね。要するに、今回もそうなのかもしれないけど、だいぶ勢いでやってるから欠落部分があるんですよ。その欠落部分をどう埋めていこうかっていうのが、現場の作業で。その作業は、すごく面白かった。

―もう少し具体的に聞きたいんですが、その欠落というのは、脚本の欠落を役者さんが動くことで埋めていったってことですか?

• 長塚 そうですね。うん、何で埋めていくかっていうと……まぁ存在感とか。

(一同 笑)

• 長塚 乱暴な話なんですけど。このときは勢いづいてたし、稽古も楽しかったから、あんまり疑問も特に持たずに、ぐいぐい進めてましたね。

―今井さんはご覧になられていますか?

• 今井 観てないですよ、僕。

• 長塚 じゃあ何しにきたんですか?(笑)

• 今井 いや、でもあの〜、その当時、小劇場の勢いのある人たちがゴソッと出てきたから、何となく期待感がありましたね。観てないけど。

(一同 笑)

―じゃあ今井さんが答えやすい質問を。今、小劇場の勢いがある人たちが出てきたというお話でしたが、阿佐ヶ谷スパイダースをご覧になってから、今井さんは長いじゃないですか。

• 今井 早稲田のどらま館とか出てましたね。

• 長塚 はい。

• 今井 その頃から観てましたね。

―最初にご覧になったころは、どういう印象を持っていました?

• 今井 確か出てきたときいうのは、こういう言い方をすると失礼かもしれないけど、「あぁ、長塚(京三)さんの息子さんなんだ」と。

• 長塚 二世ね。

• 今井 どうしてもあるでしょ。でも、観た時に感じた心のえぐられ方は新鮮でしたね。罪悪感がこない感じっていうか、舞台上でけっこう残酷なことが行われていたとしても、カラッとしてる。“新しい世代”がやっと出てきたんだなぁ、という印象はありました。

―どんなに残酷なことをやっていても、観終わった後カラッとしている?

• 今井 僕はそう感じましたね。残酷なものを突き詰めて、例えば……まぁ残酷だけじゃないんだけど、そこを無闇に掘り下げていくと嫌な感じが残ったりするじゃないですか? そういうのがないんだなと思って。でもその先に、人間の大事なものであったりとか、そういうものがきちんと見えてくる。

―今井さんのおっしゃてたことと同じようなことですが、暴力というか、残酷さと、観客の感受性とのバランスは意識されているんですか? 私は特に『日本の女』の前半は笑いながら観てたんですけど。

• 長塚 バランスを取るということではないですが、観客がどう観るかということは意識してます。確かに舞台上で何か恐ろしいことが行われているんだけれども、お客さんが笑っちゃったりすることってありますよね。その笑っちゃった瞬間に、その暴力というのはさらに暴力性を増していくと、僕は思っているんです。要するに暴力が起こっているときに、お客さんが笑っていることで、ある種この空間は歪んでいくんですよ。それは同時に、作品にお客さんが入り込んでくることに近いのかなと思っていて。観る側をやっぱり話に乗っからせて、いつの間にかのめり込ませて、自分がそのいびつな状態のなかに一緒に入っちゃっていることに気がつかないっていうのは面白いかなと思ったり。あとは、完全に何か狂気的なことが行われているときに、客観的に観ているのも意外と面白かったり。それが混在するほうが、芝居としてよりリアルかなと。

―例えば残酷なシーンを書いていると、自分のなかで笑いの虫みたいのがワワワワーっていて、つい書いちゃうのか、それとも、結構クールに書いている自分を見ている自分がいるのか、それはどっち?

• 長塚 完全にのめり込んで書いていますね。あんまり客観的には書いてないです。筋なんかを決めてもね、筋通りにならないですから。だからあらすじもあってないようなもんで。だいたい、あらすじがあるとつまんないですよ。書いてなぞっていくばっかりになっていくとつまらないから、たいていね。いいあらすじを書いたら、たいした芝居にならないです。

―じゃあ予め決めておくとこは、ほとんどない?

• 長塚 いや、だいたいの通過点は決めてます。ただ、やっぱり行きたいところに向かうために書き進めると駄目になっちゃうような気がするんですよね。『日本の女』も、最初の場面、要するに後半に入るまでのところは、ある種、筆任せだったんですよ。だけど、さっきも言ったように最初に女の人を潰す世界にいかなきゃっていうのがあったから、後半はどこか無理矢理になってきてるんですよね。その辺のアンバランスさがあって。それはね、『はたらくおとこ』もそうなんですよ。でき上がってからものは違うんですけど、本に書いてる段階では、明らかに僕はいきたい点が見つかっちゃってね、その行きたい点に向かうために書いているのが、後半から始まっちゃった。だから全部書き直したんですよ。『日本の女』の時はまだ気づいてないんです、そういうことに。気づいてなかったんだな6年前は。まあ、ラストシーンは旗振ったりして、あれは格好いいんだけどね(笑)

スズナリ浸水事件

写真/トークショー模様:長塚圭史

―そうだ、『少女とガソリン』の初日があけて3日目のブログに、「いろいろあって、でも詳しいことはトークショーで話す」と書いてあったので、「聞かなきゃ!!」って思っていたんですけど。たぶん、きっとそれを期待して来られたお客さんも多いと思うので。

• 長塚 この間の日曜日、大雨だったじゃないですか。それで2日目だったから皆で稽古してたんですよ。そしたら、すぐそこに雷が落ちたんですよ。ボン!って音がして。おいおい、どうしたんだよって言ってたら、急にね、明かりがすぅーっと消えちゃたんですよ。それで、これヤバイんじゃないかってなって。照明さんのデジタルの部分が全部落ちちゃったんですよ。で、明かりつけてもチカチカしちゃって全然つかなくて。とりあえず、復旧を待ちながら、楽屋でね、中華料理の出前を取って食べてたら、演出部の子が「助けてくれ!!」って叫ぶんですよ。それで、なんだろうと思って食べるのやめて出たら、廊下を滝のように水が流れてて。外から戻ってきたその子はその子でびしょびしょになりながら、プラスチックケースを頭に被ってた。

(一同 笑)

• 長塚 僕たちは廊下に出てそれを見たときに、一瞬何が起きているのかわからなくなって(笑)。で、どうしようって中山っち(中山祐一朗)とね、2人でワッと楽屋に戻ったら、中山っちが傘を掴んだんですよ(笑)。それで、僕もパニック状態だから、その傘を開いたりしてたの(笑)。全然駄目じゃねーかってことなのに(笑)。それで、こんなんじゃ駄目だって、ゴミ箱とかを持ってきてもらって、ゴミ箱でみんなして廊下に並んで、こうやって雨をかき出して……。排水溝が破裂しちゃって、じゃんじゃん水漏れしちゃってるのを、それが止まるまで皆で水をかき出したんです。楽屋の畳まで浸水しそうになったから、それを皆で必死に止めて。もうこれ公演できないんじゃないかと思うくらい、すごい怖かった……ってだけの話なんですけどね。

大雨はバァーっと引いていったから、何とかそれは片付けることは出来たんだけど、電気系統が戻らなくて、3分の2は復帰したけど3分の1はつかないっていわれて。もしかしたらいらっしゃった方もいたかもしれませんが、開場も押して、開演も押して、30分押しだったんですよ。ちなみに、この洪水の後にね、鼠がこの建物から逃げ出そうとしてるみたいで、めちゃめちゃ暴れていますよ。スズナリならではだね。

―皆さま、ご満足いただけたでしょうか?(笑)