じゅんじゅんSCIENCE「じゅんじゅん インタビュー」  - 特集ページ - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
サイト内検索
すべて|
公演名|
人名・劇団名|
劇場|
演劇ニュース
様々な条件で検索
こだわり検索
注目キーワード

特集ページ

じゅんじゅん SCIENCE

じゅんじゅん インタビュー

マイムをベースに、ダンスやショートストーリーを交えた無声映画のようなスタイルで、日本の舞台芸術界を走り抜けたパフォーマンスユニット・水と油。メンバーの一人で、昨年3月の活動休止後、他ジャンルとの共演やコンペへの参加など、活動の幅を広げているじゅんじゅんが、“じゅんじゅんSCIENCE”の名のもと、本格的ソロ作品『サイエンス・フィクション』(5/17〜20、こまばアゴラ劇場)に挑む。吊るされたコーヒーカップ、いくつもの小さな鏡、黒板に書かれた言葉、言葉、言葉……。実験室のような不思議な空間の中央で、黙々と稽古に取り組むその姿には、一人の作り手としての強い決意と覚悟がにじんでいた。
(取材・文=熊井玲)

世界をサイエンスで語る

写真/じゅんじゅん

―水と油の活動休止から、約1年になりますね。

活動のベースが全く変わったので、この1年は自分のペースをつくるのに結構時間がかかりました。やっぱり一人で活動するのは大変なんだなと思い知らされましたし(笑)。でもそのおかげで“いったい僕は何をやりたいのか?”ってことを深く考えることができたので、結果的にはよかったと思ってるんですけど。

#N前にお話を伺った時、「ソロをやりたい」と強くおっしゃってましたよね。今回、改めて“じゅんじゅんSCIENCE”という形でソロ作品に挑むわけですが……。

“じゅんじゅんSCIENCE”としたのは、これから活動を続けていく上で、生身の「僕」一人ってことじゃなく、ひとつのプロジェクトとして看板を掲げたかったからなんです。だから、制作母体のような意味合いかな。それから、NODA・MAPのように名前と別の単語の組み合わせがいいと以前から思っていたんですよ。

「サイエンス」といっても決して毎回、いわゆる「科学」をテーマにした作品をやるということではないんです。むしろ反対に、日常をすべて「科学」で捉え直すっていうか。例えば誰かに会ってその人がいいって感じたり、ある舞台を観て面白いって感じたりするのは、根幹には脳内のシノプスのつながりがあるわけですよね。感情はその作用の結果として湧いてくるわけです。そう考えると僕たちの日常は「科学」に満ちている。それならいっそ、すべてをSCIENCEと呼んでしまおう、と。そう考えると、「サイエンス」は僕にとって嘘がない名前なんじゃないかなと思ったんです。

多分子供の時から、科学的な考え方というか、法則や原理の成り立ちなんかに興味はあったんだと思います。ただ単に法則を追究したいってことじゃなくて、SFでよく言う「センス・オブ・ワンダー」の感覚っていうのかな? マイケル・ジャクソンのムーン・ウォークを観て「すげえじゃん、どうなってるんだ?」って感じるとか、手足の動かし方だけでなぜか空中に壁があるように感じるとか、ある動きを見て「あれ?なんだこれ?」ってわくわくする感覚は、不思議なことに万国共通どこへ行っても同じだし、実はそれってマイムの基本的な考えにも通じると思うんですよ。そういった感覚の根幹部分がどうなっているのかを探りつつ、自分の身体を使って僕自身が「ワンダー」の瞬間を生み出すこと。くちはばったいけど、それが多分、僕のいわゆる「作り手」としてのテーマなんじゃないかなと、最近思ったりもしています。

ダンスだけ、じゃなく

写真/じゅんじゅん

写真/じゅんじゅん

写真/じゅんじゅん

写真/じゅんじゅん

写真/じゅんじゅん

―稽古の進み具合はどんな感じですか?

自分一人ではよく分からないところもあるので、アシスタントに観てもらっています。外側の意見を聞くと、考えがリセットできたりするんですよ。ただ僕のやりたい動きって言うのがなかなか人と共有できなくて、この間もアシスタントから「無理。そんなふうにできるわけないじゃん」って言われてしまったので(笑)、自分で踊りながら同時に振付を考えていってます。稽古を始めて以来、一日中、作品のことからずっと意識が離れないので、今は稽古場も自宅も一緒の感覚。そのおかげで今はどこにいても常にリラックスしてます(笑)。それが水と油の時とはちょっと違うかもしれませんね。

―水と油の時と比べて、作風はまったく変わるのでしょうか。

作り方ごと変えよう、とは思っていないので、水と油でやってきたように、ひとつの意味や空間をどんどん変容させながらショートストーリーを紡いでいくイメージです。例えばある動きだけを単体でぽんと舞台に放り出すっていうような硬派なやり方じゃなく(笑)、そのへんはもっとカジュアルですね。

―水と油ではメンバーの中でも「ダンス志向」というイメージが非常に強かったように思うのですが……。

もちろんダンスに対する憧れは常にあるんです。でも、いろいろ回り道をしてきたおかげで、ダンス以外の方法もすでにいっぱい持っていますし、それから最近、「ただ踊る」っていうのはあんまり面白くないんじゃないかなとも思っているんです。僕がやる以上、作品をダンスだけに限定したくない。そのへんの考え方は、昔から考えるとかなり変わったと思います。

―先日のMAROワールド(N響のコンサートマスター・篠崎史紀によるコンサート。モーツァルト作曲のマイムのための楽曲にじゅんじゅんが振付し、室内楽団と共演した)では、演奏家たちを巻き込んで、笑いに対してもかなり積極的でしたね(笑)。

これまで率先して笑いをやることがあまりなかっただけで、本当は嫌いじゃないんです(笑)。ただ、狙ってやっているわけじゃなく、笑いが起こる瞬間は僕たちの予期せぬところだったりするから、実際に舞台でお客さんの反応を感じながら「あ、これがウケるんだ?」って再学習していっている感じですね。