特集:「キレなかった14才りたーんず」  - 特集ページ - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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6人の演出家による連続上演「キレなかった14才りたーんず」特集 日程:2009年4月16日(木)〜5月6日(水・祝) 会場:こまばアゴラ劇場

vol.03 りたーんずの08年〜09年

12月上旬に行なわれたオーディションで出演者を全員決定し、あとは稽古開始を待つばかり、と思ったら、年末年始もりたーんずの面々は、休む間もなく活動していた。公演ひとつ打つのに、チラシのデザイン、稽古スケジュールの調整、チケットの取扱い方法……と決めることは本当に盛りだくさん。しかも公演の準備だけでなく、web用の企画を立てたり、雑誌をつくったり、ついでにみんなで遊んじゃおうというのだから、ぼーっとしてる暇なんて全くないのである。今回はそんな6人の奮闘ぶりをレポートしつつ、さらにりたーんずを支えるスタッフたちのお話もちょこっと。

取材・文=熊井玲(シアターガイド)

写真/りたーんずパーティーの様子

オーディションの結果は、演出家が合格者に直接電話で伝え、そこで出演交渉する形になった。ひと組、またひと組と出演者が確定し、出演者の顔ぶれが徐々に見えてくる。思ったよりスムーズに出演交渉が進むので、演出家たちは皆、少しほっとしたようだ。というのも、参加者は誰の作品に出演することになるか分からないままオーディションを受けているので、出演作品によっては棄権者が出るのではないかと、演出家たちは少し心配していたのだ。

12月21日。りたーんずのオーディション特設ブログ上で、各演出家の作品タイトルと出演者が一斉に発表された。柴組5名、篠田組2名、中屋敷組10名、神里組7名、白神組6名、杉原組5名と、出演者だけで35名。かなりの大所帯になる。その最初の顔合わせの場として、また演出家6人をもっとよく知ってもらう場として、年末に小さなパーティーが行われた。

12月25日。モールや電飾で飾り付けられ、クリスマスムードたっぷりの会場には、サンタ帽を被った演出家6人と出演者たち、そしてマスコミなどの関係者が集まった。年齢も活動範囲もさまざまな出演者たちは、少し緊張気味。りたーんずはその間に立ち、出演者同士を積極的に引き合わせていた。この日は、篠田&白神のゆるゆるガールズトーク、杉原組が上演する『14歳の国』の作者・宮沢章夫氏をゲストに迎えた柴&神里&杉原による「キレる14才」をめぐるトーク、そしてオーディションで課題だった<プロフィール読み>を演出家自らが実践する企画の3つが行われた。

なかでも、宮沢氏とのトークは間違いなく本企画の核心に触れる内容になるからと、演出家たちは綿密な打ち合わせを重ね、万全の体制で挑んだ。……はずだったが、登壇した柴・神里・杉原の3人は、宮沢氏の前で妙に萎縮してしまい、「14才」というワードに自ら縛り付けられるような体で、結局核心に切り込む前に終了時間を迎えてしまった。11月の最初の顔合わせでも問題になった、『キレなかった14才りたーんず』という企画タイトルが、彼らの上に重くのしかかる。最初に比べれば、度重なる打ち合わせやオーディションを経て、彼らの中でこの企画に対する共通の想いが、ぼんやりと輪郭をもち始めてはいるよう。しかし、それはまだ言葉にできるほど明確なものではない。宮沢氏とのトークでは、このコンセプトの共有の甘さが露呈してしまったのだった。

ここで得た苦い経験を、どう生かすか。柴、篠田、中屋敷の企画者3人による話し合いの結果、そのトークの模様を、うまくいかなかった部分も含めて、すべてチラシに掲載することになった。取り繕わず、ありのままを見せること。自分たちを知ってもらうには、それが一番大事なのではないかと考えたのだった。しかしぎくしゃくとしたトークの様子も、文字に起こすと意外にも面白く、原稿を読んだ中屋敷が思わず「戯曲以上にスリリング」と苦笑いしたほどだった。

写真/デート企画の様子

▲井上みなみちゃん(左)と柴。アゴラ劇場前にて。

パーティーの後、年末から年始にかけては、連日メールや電話で演出家6人とスタッフの打ち合わせが重ねられた。目下の問題は、年明けすぐに配布予定のチラシについて。ミニコミ的な、読み物重視のチラシを作成予定のため、前述の宮沢氏とのトーク・レポ以外に、いくつかコンテンツが必要なのだった。篠田と編集者の藤原ちから、武田砂鉄が企画を練り、いくつか出た案の中から、<篠田と白神による餅つまり解消隊企画>と<現役中学生の出演者・井上みなみちゃんと柴のデート企画>の二つを行うことに決定した。私はこのうち、<デート企画>に同行。ちなみにこの時期、柴は3週間後に控えたtoi『四色の色鉛筆があれば』の猛稽古中、みなみちゃんは入試直前の猛勉強中という、とってもハードな状況だったため、取材は正月休みを返上し、なんと1月2日に決行。「あけましておめでとうございます、じゃあさっそく」と渋谷で岡本太郎の「明日の神話」を観てから、本企画が上演されるアゴラ劇場を見学。そのあと下北沢まで歩き神社に初詣し、雰囲気ある喫茶店で“お勉強”した。盛りだくさんの1日は、同行したみなみちゃんのお母さんや編集スタッフも含め、予想以上に盛り上がった。が、みなみちゃん14歳、柴幸男26歳。演劇界ではまだまだ若手の柴も、ひと周り年下の女子とはさすがに年齢のギャップを感じるらしく、台本のリサーチをかねて最近の中学生事情を尋ねるたびに、「えー……今そうなの? 僕の時とは違うね……」と軽いショックを受けていた。