特集:大日本プロレス『リア王』  - 特集ページ - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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vol.02対談/登坂栄児(舞台監督)×MEN'Sテイオー(フランス帝王役)

プロレスでやる『リア王』。演劇とプロレスを同様に愛する私にとっては、非常に耳障りがいい響きだが、よくよく考えてみると、よく分からない。だってレスラーが『リア王』を演じても仕方ないわけで……。なんて口実を作りつつ、レスラーに取材する機会を設けてしまいました。私利私欲炸裂(うそうそ)! プロレス界きっての理論家で、卓越した技術を誇るレスラーMEN'Sテイオーさんと、大日本プロレスの取締役である登坂栄児氏、さらにはこの企画の仕掛人、佐々木記貴氏、演出の八代眞奈美氏にも時折加わっていただき、話を聞いた。

写真/インタビューの様子:登坂栄児(左)とMEN'Sテイオー

ー「『リア王』をやりたい」というお話が芸術監督の佐々木さんから提案されたときの感想はいかがでしたか。

• テイオー 『リア王』、やるんですか?

• 佐々木 いやぁ、そうらしいんですよ。

• テイオー 今初めて聞きました。

一同 (笑)

• テイオー ……まあ単純に面白いなとは思いましたよね。『リア王』が大日本プロレスそのものとリンクしてるところが結構多いんですよ(笑)。大日本の歴史的なところが合致してるんで、「あ、面白いところに目をつけたな」って。

• 登坂 僕はテイオー選手よりも先に聞いていたわけですけど、たまたま「武士道」という本を読んでいたので、日本人に仁とか義とかがないなぁ、寂しいなぁと思ってた時期だったんです。で、この話を聞いて、あまり深く読んでなかったシェイクスピアを改めて読み直してみたら、根底には人に対する義理とか人情がものがすごくあると思ったんです、反面教師的ですが。だから、これをやったら楽しいなと思いましたけど、たしかに一方でどうやってやるんだろうなっていうのはありましたね。

ーテイオーさんがおっしゃった、『リア王』の設定と大日本プロレスが似てるというのは、どんなところですか。

• テイオー 一番はやっぱりうちの社長のグレート小鹿と、リア王の哀れな末路というんでしょうか。

一同 (笑)

• テイオー 途中で狂っちゃうようなところは、まさに。やるうえで三人姉妹を三人兄弟に置き換える違いはあるんですけど、レスラーたちと小鹿はまさに親子のような年齢差ですし、関係性も近いものがある。僕の演じるフランス帝王も大日本における僕の、ちょっと外から見ているといった立場と同様であったりで、初めて台本を読ませていただいたときにうまく配役されてるなという感じはありましたねぇ。

• 登坂 取って付けた感じじゃなくて、本当になんか、「そうだよそうだよ」ってところも多いんです。長男次男三男というところを選手の世代的な部分で分けてもらった。古株のシャドーWXから次世代の谷口祐一、さらに若い世代の伊東竜二を三兄弟に当ててもらったこととか、それを取り巻くメンバー含めてうまく配役してもらったなぁって。どれもピッタリ合ってます。

画像/インタビューの様子:登坂栄児
▲登坂栄児

ーとはいえ、実際やるとなったら、リングの上で演劇をやってもしょうがないわけで、その辺のアイデアは佐々木さんからは出ていたんですか?

• 登坂 佐々木さんからは試合と試合をつなぐジョイントのパーツ部分の台本があるということと、試合に関しては本当に戦ってほしいということだけでしたね。プロレスは誰が勝って誰が負けてというのが一つの区切りになるので、結果は出るんだけど、どうサイコロが振られても次に、エンディングにつながっていくという形を取っていただいています。つまり当日の結末は、原作の『リア王』と違った形になる可能性も非常に高いという部分で、僕らプロレスサイドからするとやり甲斐があるし、予定調和でやらなくていい。演ずるだけじゃなくて戦いもあるという方法論には感謝してます。

• 八代 私たちもそこが一番楽しみなところですからね。

• テイオー 最初、本当は、演劇をやるものだと思ったんですよ。だから、「みんなせりふ覚えられんのかなぁ」とか、面白いけど企画倒れになるだろうって正直思ってたんです。でも話を聞いたら『リア王』という設定の中で、3試合なり、4試合なり見せていきましょうっていう話だったので、「そういう意味ではいつもと変わらんな」と、ちょっと気は楽になりました(笑)。

―『リア王』の世界観を背負ってやるというのはテイオーさんから見たら新しい感じはするものですか?

• テイオー 設定というのはプロレス界の中ではよくありますから。僕がアメリカのメジャー団体WWEにいたときでも、全く赤の他人だけど、「この人があなたの奥さんです」みたいな設定の試合はいくらでもやりましたから。試合は試合でやる、ただその前の導入部分が『リア王』であるということですから、それは全然違和感はないですね。

ー八代さんは、『リア王』という新たな設定を持ち込むことで、選手に新しい、今までのキャラクターとはひと味違う面がチラっと見える、そういった面白さがあるんじゃないかというお話をされてました。

• 八代 はい、普段試合を見せていただいて、やっぱり自分が映像の仕事をしているので、役者を見るような目でレスラーを見てるところが多分にあるんです。つまり、ベビー(正義キャラ)だったりヒール(悪役キャラ)だったりっていう立ち位置ではあるんだけれども「この人は実際ちょっと悪そうだ」「ちょっと狡そうだ」「この人もしかしたら本当の良いコなのかもしれない」とかそういうことをすごく感じながら、ちょっと斜めから見てる自分がいるわけですよ。単に一面的にヒールかヒーローかっていうことじゃなくて、そこのエッセンスを含めて見た方が私にとってプロレスは面白いんです。で、『リア王』という特殊な設定を借りて、普段自分が薄々思っることを強めに出せないかなっていう。