特集 蜷川幸雄インタビュー「ネクストなら才能があれば、無名であっても場所はある」さいたまネクスト・シアター オーディション- 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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蜷川幸雄インタビュー「ネクストなら、才能があれば、無名でも場所はある

心の場所がない、未来がない、自殺者は増える一方。でもきっと国がぬるく守ってくれる? そう日本の若者がつぶやくのと同じタイムラインで、中東では一人の青年をきっかけに、大きく時代が動いている。それは遠いナイルの国の話だろうか?

突拍子もない話から始めてしまったが、蜷川幸雄率いる若手俳優育成プログラム「さいたまネクスト・シアター」で蜷川は、世界への想像をやめた若者たちだけではなく、観客にも「それでも世界と対峙せよ」と迫っている気がしている。

このたび、そのネクスト・シアターの新メンバーオーディションが開催されることが決定。新たな人材に求める条件、この集団の存在意義を蜷川に聞いた。

巨匠と呼ばれる演劇的革命家のアジテーションは、まだまだとどまるところを知らないようだ。

取材・文=川添史子(本誌)


オーディションを経て09年に『真田風雲録』、昨年『美しきものの伝説』を上演してきたネクスト・シアターですが、走り出したばかりの今のタイミングでオーディションを行うのはなぜでしょうか?

僕は「現代人劇場」(71年解散)はじめ、いままでずっと集団を3年単位で壊したり作り直したりしてきたけれども、その経験から「組織は3年で腐る」と思っているんだよね。集団が淀み、仲間内の小さな政治がはびこりはじめる。それに対する警戒心っていうのがものすごく強いんだ。どんどん壊して、常に「創造」だけで競い合える条件をつくりたい。ネクスト・シアターは『真田〜』から人数を半分に減らして『美しき〜』を作った。評判がよかったし、あたかもそれがスタートラインだったかのようにネクストのやつらは今、安心してると思う。集団的秩序で安全、安泰としていられない“常に崖っぷち”という状況を、新しい人を入れることで作りたい。

『真田風雲録』
『真田風雲録』(09年)

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経験からの実感なんですね。

うん。そうやって生きてきたからね。集団、あるいは人間関係、そんなものでは生き残れないんだから。自分の力で状況を判断し、人とコミュニケーションをしたい欲求を持ち、勉強する人間になってほしい。どんな現場でも、誰とでも一緒に仕事ができる俳優になってほしいというのが一番の「望み」かな。

新しく求める人材の条件は?

言うことは矛盾するようだけど、あいつだったら我慢してもいいか、っていうタイプにも会いたいね。こののびやかに見える時代の中で、阻害されている雰囲気があって、ふてくされた態度を表している俳優が好きなわけだ。「現状に僕は不満です」「世界が僕は嫌です」と身体が言っているようなね。そういう人がいっぱい来るといいなあって思っています(笑)。平均点をちゃんと出せるような子ってつまらないよね。いくらでも替えがきくんだよそういう俳優は。何とかしてその人じゃなきゃダメっていう俳優を作りたい。「なんでもできるわけじゃないけど、あいつにやらせたい」と演出家に思わせる、王子様じゃない俳優をここでつくって、ばらまきたいね! そういう子は大手のプロダクションじゃ手に余るじゃない。ネクストでは無名であっても、才能があれば場所はあるぜってことを教えたいし、そういう連中に来てほしい。動機なんてなんでもいいんだよ。

さきごろ、『美しきものの伝説』で読売演劇大賞の優秀作品賞を受賞されました。

『美しきものの伝説』
『美しきものの伝説』(10年)

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会場に全員でいかせてくださいってお願いしたんだよ。読売も心優しいから「いいですよ」って言ってくれてね。(制作:招待状も、一人ずつ送ってきてくれたんですよ)

かっこいいことしてくれるよね。なかなか行けるものじゃないでしょ演劇賞の会場なんて。ベテランの俳優さんを見て、悔しいと思ったり、ああなりたいって思ったり、肌で体験するって大事なことだから。引率する校長先生みたいだよ。

ネクスト・シアターの稽古場は、さながら蜷川学校のように基礎から教えていらっしゃいます。そこから作品を作り上げるのは大変な作業ですよね。

学校みたいだろ。大変だよ! 分かってんのかな、あのバカたちは!

俳優への浸透はこれからかもしれませんが(笑)、『美しき〜』の帰りの電車で、たまたま若手演出家と一緒になってお話したのですが、あそこで描かれたテーマのひとつ“演劇における芸術性と大衆性”という、現代を生きる表現者も考えざるをえない命題に大いに刺激をもらったようでした。俳優だけでなく、演劇界の若い芸術家を刺激したいという意図もあるのでしょうか?

それは意図してなかった、意外な喜びです。自分じゃ年寄りだって思ってないから、なるべくしゃしゃり出ないように気をつけているんだ。観てもらって、面白かった、刺激されたって言われるとそれはうれしいな。


さいたまネクスト・シアター オーディション

応募締切
2011年3月10日(木)必着

応募資格
18歳から30歳までの男女

選考日程
第一次:書類
第二次:面接または実技(3月中旬)
第三次:実技(3月下旬)
合格後はさいたまネクスト・シアターとして活動

そのほか詳細は公式サイトを参照
» さいたまネクスト・シアター オーディション