【対談】青年団若手自主企画『おいでおいでぷす』岩井秀人×松井周  - 特集ページ - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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【対談】青年団若手自主企画『おいでおいでぷす』主演:松井周×作・演出:岩井秀人

ハイバイを主宰し、昨年から青年団演出部に所属している岩井秀人が、ギリシャ悲劇の傑作『オイディプス』に挑む。その名も『おいでおいでぷす』。対人関係のビミョーな違和感、人前でうまく立ち振る舞えない時の挙動など、おかしくもどこか身につまされる人間模様を執拗なまでに描くミニマル劇作・演出家の岩井が見せる新境地? と思いきや、コンセプトは「口語で古典」。主演は、サンプルを率い、劇作・演出家としても注目を集めている青年団の俳優・松井周だ。顔合わせは刺激的、企画は予想不能。どーなるのよ! ご両人!

「青年団の人って今ここで演劇してることだけでOKじゃないんですよ」(岩井)

写真/松井周(左)と岩井秀人

―松井さんは、オイディプスに該当する役になるんですか?

• 松井 そうですね。

• 岩井 ほぼそうです。イオカステ(オイディプスの妻で母)をやってもらっても面白かったかもしれないけど。

―オイディプスの役はどういう名前になるんですか?

• 岩井 ツネマツ。

―え?(笑)

• 松井 ええ?

• 岩井 もっと普通の名前にしようと思ってるんですけど。

―オイディプスを文字ったりはしないんですね。

• 岩井 そうですね。オイ……オイヤマさんみたいな。

• 松井 (笑)

• 岩井 そんなことですよね? オイタロウとか。オイタロウってちょっとエッチで面白いんじゃない? 

• 松井 ?

• 岩井 オイタしちゃうぞみたいな。

• 松井 あ、そっちか(笑)

―松井さんに当て書きしているところはあるんですか?

• 岩井 それはありますね。ハイバイによく出てくるキャラクターで、ある目的を持っててなんかしようとするんだけど、ちょっと手強い人がきた瞬間に、「俺、自分から折れるわ」みたいな人をちょっと演じてもらったら、すっごい面白かったから。次の日からもうそっちにどんどんキャラクターが変わっていって、すごい面白いことになってます。

• 松井 岩井君の作品では、とにかくオモチャになろうと。岩井君のせりふっていうのは、すごく短い中にいろいろなニュアンスが出てくる。その把握の仕方がせりふを読んでるだけじゃ最初は分からないんだけど、立ち稽古をしていると、くだらないというか情けない雰囲気っていうのが、だんだんと「あ、こういうことね」って分かってくるんですよね。相手に「え?」と言われた時にビクンって反応していくっていう細かいことをどんどん繋げていくだけで、「もっといける」と思える面白さがあるんですよ。

• 岩井 松井君とは、原作とか全然関係ない、もっとヒッドイ、下らないだけの作品も一緒にやりたいんですよね。

• 松井 (笑)

―松井さんは劇作家、演出家としては、岩井さんの作品をどのように思っているんですか?

• 松井 岩井君のせりふの「あ」とか「え」とかの中に込められた密度はすごい。せりふからせりふにいく時の「……」で結んである中に込められた、逡巡が異常に濃くて。「盗もう」って思うんですけどね。演出もその密度を徹底的に見ていくなっていう感じがします。その密度が出せてるかどうかっていう判断も早い。しかも、どうすればもう少しその密度が生まれるのかをすぐに考えて、次の展開の選択もできるし。せりふの書き換えも、人の出入りや動作の変更も。僕としては、いつか岩井君にサンプルに出て欲しいんですよね。

• 岩井 いやでも、松井くんの演劇は怖いんだよ、あれ。

• 松井 (笑)

• 岩井 内容が。でも出たいけどね。

―岩井さんは青年団に入ったことで、どんなメリットを感じていますか?

• 岩井 今のところ……無いんじゃないかなぁ?

• 松井 (笑)

• 岩井 でも、松井くんと話してても感じたんですけど、青年団の人って、今ここで演劇してることだけでOKじゃないんですよね。自分が世界とか演劇を、ちょいこっちの方にもっていきたいとか、そういう目的がみんなあるんですよ。そのための行動として、公演を企画したり役者をやっていたりするから……皆すげぇと。

• 松井 何だよそれ(笑)。

• 岩井 違うんすよ。俺は本当にその日暮らしだなぁと思って。

―演出部に所属した以上は、岩井さんも企画をどんどん出していかないといけないんじゃないですか?

• 岩井 そうですねぇ。

• 松井 このシリーズは続くの?

• 岩井 どうなんでしょうねぇ。「口語で古典」チームみたいなことだよね?

• 松井 うん。

• 岩井 いやコレはねぇ、ちょっと大変だよ(笑)。

• 松井 でも俺は面白いと思うけどなぁ。今回みたいに物語の構造を取り出してみるのは。

• 岩井 うん。だけど、俺がなんかねぇ……もっと気楽にやれないといけないと思ってんの。

• 松井 気楽じゃないんだ(笑)

• 岩井 「古典の言葉をある程度自分が言いやすい言葉に変えたからって何だ!」っつって、すっげぇ怒られそうな気がするの。だからなんかねぇ……。

• 松井 誰に怒られるんだよ(笑)

【公演情報】

青年団若手自主企画 vol.37『おいでおいでぷす』

• そもそも『オイディプス』って?
紀元前5世紀に書かれた古代ギリシャの三大悲劇詩人の一人、ソポクレスの戯曲。ギリシャ悲劇の最高傑作の誉れ高い。
王の命を奪う子と予言され、父王に捨てられるも九死に一生を得るオイディプス。成人した彼は、道すがらに出会った父をそうとは知らずに殺し、自らの母をそうとは知らずに娶って王となる。だが、盲目の予言者が告げた、飢餓の原因となる“汚れ(=先王殺しの犯人)”を探すうちに、それが自分自身のことだと知るオイディプス。かつての行いの真の意味を知った彼は自らの目を潰し、国を追われる―――。

2008.4/22(火)〜30(水)
• 会場:アトリエ春風舎
• 住所:東京都板橋区向原2-22-17すぺいすしょう向原B1
• アクセス:東京メトロ有楽町線・西武有楽町線「小竹向原駅」下車4番出口より徒歩3分

【スタッフ】 作・演出=岩井秀人(ハイバイ)
【キャスト】 松井周/端田新菜/秋山建一/大久保亜美/木崎友紀子/金子岳憲(ハイバイ)/坂口辰平(ハイバイ)

・チケット発売中
・全席自由2,500円/当日2,800円 (22日〜24日)2,000円/当日2,500円
・お問い合わせ=青年団 TEL.03-3469-9107
・開演時間=平日19:30、土・日曜・祝日(29日)14:00と19:30
*22〜24日はアフタートークあり。
 22・24日=松井周×岩井秀人/23日=多田淳之介(東京デスロック)×岩井秀人

岩井秀人 プロフィール

1974年、東京都出身。俳優、劇作家、演出家。16歳から20歳までの引きこもり生活を過ごし、03年にハイバイを旗揚げ。07年より青年団演出部に所属。ハイバイでは『ヒッキー・カンクーンエンゲキリョウホウ』(06年)、『無外流、津川吾郎』(06年)、『おねがい放課後』(07年)など全作品の作・演出を手がける。また、ジェットラグプロデュース『投げられやす〜い石』(08年/作・演出・出演)、吉本 神保町花月『カーテン』(08年/演出のみ 作=山里亮太<南海キャンディーズ>)、親族代表『THE LIVE(発電所)』(08年/脚本提供)など幅広く活躍中。ハイバイの次回公演『て』は6月18から23日まで下北沢・駅前劇場で上演。

松井周 プロフィール

1972年、東京都出身。俳優、劇作家、演出家。96年に俳優として青年団に入団。『東京ノート』『S高原から』『ソウル市民』など青年団の代表作に出演。その後、劇作・演出家としても活動を開始し、処女作『通過』、二作目『ワールドプレミア』で日本劇作家協会新人戯曲賞を受賞。06年には文学座+青年団自主企画交流シリーズで『地下室』、07年には青年団内のユニットとして青年団リンク・サンプルを旗揚げし、『シフト』を上演。同年、劇団として独立し、『カロリーの消費』を上演。閉塞的な人間模様を毎回実験的な手法で描き、注目を集めている。08年2月には、文学座+青年団自主企画交流シリーズでサラ・ケイン作『パイドラの愛』を演出。現在、早稲田大学の非常勤講師も務めている。8月22日から31日にサンプルの新作『家族の肖像』を五反田・アトリエヘリコプターにて上演予定。