特集:劇団桟敷童子「黄金の猿」  - 特集ページ - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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その1 演出 東憲司インタビュー

ベニサン・ピットに巨大プールが出現

写真その3/東憲司 インタビューの様子

ー2年ぶりのベニサン・ピットです。『海猫街』ではベニサン・ピットの高さを生かした舞台装置が組まれ、ラストの嵐のシーンでは舞台の床面が大きく揺れるという大仕掛けがありました。

• 東 今回も美術は大掛かりです。プールを作って、水浸しの舞台にしようと思っています。役者たちはずぶ濡れになるので、皮下脂肪をたっぷりつけろと言ってあります(笑)。いわゆる“劇場”ではない、特設会場やベニサン・ピットでやる時は、うちは約10日間にわたって美術を仕込みます。他の人に作ってもらったセットじゃなくて、劇団員たち自らが、みんなへろへろになりながら愛情を込めて作る舞台美術ですから、本番ではそこからエネルギーをもらって、一段と輝いてくれるんではないかと……きれいごとを思っております(笑)。

ー先日、ベニサン・ピットが09年1月で閉館することが発表されました。桟敷童子にとっては、今回がベニサン・ピットでの最後の公演になります。

• 東 そうなんです。僕らにとってはとてもいい場所だったので、とても残念です。でも決まってしまったものは仕方ないので、それなら今しかないと思い、ほとんど趣味の域に達している(笑)大好きな水仕掛けをやろうと。

僕らは劇場以外の場所でやることもありますが、ひと昔前と違うのは、法律の問題です。公園法とか消防法、保険衛生法が数年前に比べてどんどん厳しくなっているのが事実なんですね。申請しても通らなければ公演が打てませんし、また公演ができるような場所を探すのも非常に難しいんです。 

ーその一方で、外部作品では明治座や大阪の新歌舞伎座など大きな劇場も経験されましたね。

• 東 僕は、劇場がでかければでかいほどいいんですよ。場所が決まったら、まず図面とか小屋を見て、最後の「絵」を決めてから本を書くタイプです。大きくて奥行きがある劇場が好きなんですが、一番好きなのは古くてでかいところ、あと野外のテント。テント劇団で育ったからなんでしょうね。

ーテントではない、野外劇は?

• 東 興味はあります。ただ雨が降った時のこととかをどうしても考えちゃうから。野外よりはテントで、後ろの幕を開け閉めして、そこに野外の風景を入れるのが好きですね。これからテントもやっていきたいですけど、何しろ場所と行政法律の問題が複雑にからんでいるので、そこが難しいですね。

「劇団」でしかできないもの

ー近年、劇団というスタイルをとらない団体や、プロデュース作品も多くあります。その中で桟敷童子は、劇団というつながりを非常に大事にされていますね。

• 東 まずひとつ、僕を始めとする旗揚げメンバーが、新宿梁山泊、唐組、木冬社っていうちゃきちゃきの劇団出身者だからだと思います。そして、それしかやり方を知らないっていう(笑)。

ただ、劇団員を縛るのはやめようと思っているので、僕は劇団員の外部出演には一切口を出しませんし、少々稽古がかぶろうが、役者たちはむしろ外部公演をやるべきだと思っています。でも、そうやって全員が外部に出てしまったら劇団はつぶれてしまうので、劇団の事情で外部に出られない人間がいることも考えてはいます。そこがいいバランスでないと、劇団でやっていくのは難しいですね。うちは今、バランスが取れていると思いますけど。

ー東さんご自身も、来年2月に北九州芸術劇場で上演されるプロデュース作品を始め、この後、劇団外のお仕事が続きます。

• 東 劇団では、劇団員がぼろぼろになりながら無償の行為でなんでもやりますけど、外部では人にお願いするのでお金がかかりますし、コミュニケーション面でも限界があります。それと闘わないといけないと思う一方で、美術や大仕掛けなしの作・演出も、形を変えながら外部ではやっていかないといけないと思ってはいます。だからこそなおさら、劇団では思い切りやりたいことをやろうと。とことんバカをやろうと思って旗揚げした劇団ですので、初心にかえって、今回もとことんバカをやろうと思います(笑)。

東憲司プロフィール

64年福岡県出身。99年に劇団桟敷童子を旗揚げ。劇団代表を務め、作・演出・美術を手がける。『しゃんしゃん影法師』(04年)、『風来坊雷神屋敷』(05年)『海猫街』(06年)と三年連続で岸田國士戯曲賞の最終候補にあがる。『海猫街』で平成18年度(第61回)文化庁芸術祭最優秀賞(関東の部)を受賞。また『軍鶏307』(07年)が鶴屋南北戯曲賞にノミネートされた。

メニュー画像:その2 無数の丸太と本水と……―大型装置の舞台裏―