ヨーロッパ企画とは、「サマータイムマシン・ブルース」の後もショートショートムービーフェスティバル(ヨーロッパ企画主催の超短編映画フェス)に審査員で呼んでもらったりして、ずっと付き合いが続いてたんですよ。『冬のユリゲラー』は最初DVDで見て、再演(07年)を観たんですけど、絶対に映像向きの作品だなと思ってて。終演後、上田君から「『〜ユリゲラー』はエスパー中心の話だけど、もともとは『あの娘にサイコキネシス』というタイトルで書き始めた作品で、その時はみんなが女の子に超能力を送るっていう作品イメージだった」と聞いて、「それは面白い! ぜひ長澤まさみちゃんでやりたい」と盛り上がって(笑)。それで、『〜ユリゲラー』千秋楽の翌日にはもう、上田君と打ち合わせしてました。
でも、台本を書き始めてからが長かったですねー。「サマータイム〜」の経験を生かしつつ、もっとたくさんのお客さんに観てもらう工夫をしようと、上田君とは本当に最後まで何度も何度も話し合って。映像の編集作業が終わってからもナレーションを書き直してもらったり、編集したものを一緒に見て、上田君の意見で編集を変更したり。お互いに対等に意見し合いました。
僕が今回、上田君に特にお願いしたのは、「『〜ユリゲラー』はエスパーたちがごちゃごちゃと話をこねくり回す感じが面白いけど、映像ではきっとそれだけではもたないから、長澤まさみちゃん演じる米(よね)の目線をもっと入れてほしい」と。あと、彼女の演技はとってもきれいで見やすいんですけど、今回はあえてそのお芝居や会話のリズムを変えて、新たな長澤まさみを引き出してほしいんだと、それをしきりに言いましたね。
ということもあって、彼女とエスパーメンバー(三宅弘城、諏訪雅、中川晴樹、辻 修、川島潤哉、岩井秀人)と志賀廣太郎さんで、10日間くらいのワークショップをやってもらったんです。小劇場の芝居のビートを彼女に植え付けるっていうか(笑)。僕の群像劇の作り方って、周りが良くなって主役を持ち上げるっていうのが多いんですけど、今回もそうなればいいなと思って。最初は本読みやストレッチが中心だったんですけど、最後のほうは彼らが考えてきたワークショップを、スタッフも全員やったりして(笑)、すごくよかったですねえ。通常の映画ではまずそんなことできませんけど、この映画にかんしては、そういうハンドメイドな感じを出すのが大切だなと思いました。
キャスティングについては、僕はなるべく色がついてない人にキーマンや犯人を演じてほしいっていうのがあって。スター以外はほぼ無名っていう。『踊る大捜査線』も『サマータイム〜』も『SP』も、そういう意味では全て同じやり方なんです。
あと、超能力のシーンでCGをどう使うか、すごく考えました。舞台だとそこは想像する面白さですもんね。『サマータイム〜』の時もそうだったけど、ちょっとチープなぐらいがよくて、あんまりリアルにしすぎるとなんだかよく分からなくなっちゃうんですよ。だから、見てもらったら分かりますけど、あえていろいろ、ばかばかしさを追求してみました(笑)。
舞台版は、映画版のキャラクター設定を生かしつつ、少し変えるみたいなので、楽しみですね。上田君とは、早くも第3弾をやりたいねって話してるんですよ。“舞台を元に映画をつくり、映画の公開時期に併せて舞台を再演する”――僕の「プレイ×ムービー」構想は、まだまだ続きます。