特集:tpt RE:start@BnakART studio NYK Part1「演出:トーマス・オリヴァー・ニーハウスインタビュー」 - 特集ページ - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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演出:トーマス・オリヴァー・ニーハウス インタビュー

公演チラシには「コメディー」という言葉も使われていますが、喜劇的要素を重視されるのでしょうか。

いえ、面白みはスコアから自ずと出てくるもの。マイエンブルク自身もこの作品を「コメディー」とは定義していませんし、実は私も稽古の初期にはこの言葉を使っていたのですが、どうやら日本の俳優たちの想像するそれが、どうも私の考えるものとは違う、ということに気づいてやめました(笑)。ちなみにドイツでは「喜劇」という言葉と「コメディー」という言葉との間には明確な違いがあるんです(*1)。でも、今はドイツ人でも、なかなか、それを理解している人は少ないですからね。稽古を続ける中で、この戯曲のジャンルはどういうものなのか、それを見いだしつつはあります。ただ、それはコメディーなのかもしれないし、そうでないのかもしれない。もしかすると全く別の新しいジャンルで、例えば、スポーツ的な要素を持ったなにか、なんてことも考えられるかもしれない、と思っています。



スポーツというと、顔の美醜や(より良い)自分探しをめぐる競争を連想します。

内容からすれば、『美しい男』とか、『美しい私たち』というタイトルもあり得た作品です。でも、『醜い男』とすることによって、「醜い」とは何か、誰がどのようにして自分たちの姿をそう定義するのか、ということをより考えさせられる気がします。例えば音楽のCD。ドイツでは若くて見栄えのよいアーティストの作品がすごく売れています。中には整形手術をしている人もたくさんいるでしょう。でも、その人たちの音楽が必ずしもよいとは思えない。今は、見た目でものごとを定義付けてしまう傾向が強い。美というものですら、芸術的視点からではなく、資本主義の商業的な競争原理によって定義付けられてしまう。それは非常に問題だと思うんです。


前2作は、ベニサン・ピットでの上演でした。今回はBankART STUDIO NYKが会場になりますね。コンクリートに囲まれただだっぴろい空間が印象的な場所です。

この戯曲にはすごくマッチした場所です。何よりも典型的な劇場ではないということがいい。私たちはまず、あの、およそ劇的ではない空間の中に自ら劇場空間を見いだしていかなければいけない。既存の常識から抜け出し、新しいアイデアを持ち込んでね。また、俳優たちが第四の壁(*2)を築かないためにも、ああいう場所は重要な意味を持ちます。立地も素晴らしいんですよ。バルコニーに出れば横浜の港やみなとみらいの風景も見ることができる。センセーショナルで、ドイツ人が見たらきっと、演劇をやる場所とは思わないでしょうね。

(取材・文=鈴木理映子)


*1=「喜劇」は、腕組みをして観覧、得心したうえで笑うもの。「コメディー」は、とるものもとりあえず爆笑するもの――というのを自らの豪快な演技で解説してくれた。

*2=演劇の中の世界と現実とを隔てる、目に見えない壁のこと。

公演情報

『醜い男』

2009.3/22(日) 〜 29(日) BankART Studio NYK 3Cギャラリー

【スタッフ】 作=マリウス・フォン・マイエンブルク 演出=トーマス・オリヴァー・ニーハウス 翻訳=林立騎 美術=松岡泉 照明=笠原俊幸 音響=長野朋美 衣裳=原まさみ ヘア&メイクアップ=鎌田直樹
【キャスト】 池下重大/武田優子/田村元/小谷真一

・チケット発売中
・全席指定5,000円、学生3,000円(TPTのみ取扱い)
・お問い合わせ=TPT(シアタープロジェクト・東京) TEL.03-3635-6355