特集|「ミュージカル映画事典」の著者・重木昭信に聞く【第7回】好きな作品と俳優[最終回]演劇ポータルサイト/シアターガイド
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「ミュージカル映画事典」著者に聞く

世界初のミュージカル映画「ジャズ・シンガー」(1927年)から「イントゥ・ザ・ウッズ」(2014年)まで、アメリカ・ミュージカル映画の全貌を紹介する本邦初の事典「ミュージカル映画事典」。アメリカの映画・テレビ作品を中心に、英・独・仏の主要作を含めた約3400作品を収録した本著が、どのようにして執筆されたのか、著者・重木昭信に聞いた。

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【第7回】好きな作品と俳優[最終回]

「【第6回】欧州のミュージカル映画」はこちら

■長峯:これだけ膨大な作品の中から選ぶのは難しいかもしれませんが、特別にお好きな作品はありますでしょうか。お好きなポイントも合わせて教えてください。

◇重木:古くて申し訳ないのですが、トーキー初期のルビー・キーラー主演の「四十二番街」(1933)と、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの初共演作「空中レヴュー時代」(1933)の2本は本当に好きです。今のようにビデオで観ることができなかった1970年頃に、アメリカから16mmフィルムを取り寄せて、何度も繰り返し観ました。フィルム集めは手間暇だけでなく、お金もかかるし、置き場所にも困るので個人では無理だと思いましたが、当時はほかに見る方法がないので、欲しいものは輸入しました。

■長峯:何度も繰り返し観た映画というのはありますか。

◇重木:映画館で繰り返し観たのは「ザッツ・エンターテインメント」(1974)です。当時の映画館は入れ替え制ではなかったので、朝に入り夜まで観続けました。何度も観るので場面は全部覚えてしまうわけです。「シェルブールの雨傘」(1964)も、繰り返し観た作品です。後年のテレビ放映を観たら、初めて見る場面があり、映画館で上映されたのは1分間カットされた版であることを知りました。どうでも好い事ですが、気になるわけです。

■長峯:ミュージカルで活躍したお好きな俳優も知りたいですね。歌手や踊り手など、その魅力についても伺えればと思います。

◇重木:踊り手では、フレッド・アステアが一番です。1930年代の初頭から50年代末まで、30年間にわたり活躍しました。これだけ長く活躍したのはアステアとビング・クロスビーの二人だけです。アステアの踊りは、優雅でキレがあり、美しいので、多くの人に影響を与えました。マイケル・ジャクソンの踊りもよく観ると、フレッド・アステアやボブ・フォシーからかなりの影響を受けています。踊りではアステアが一番ですが、歌ならばジュディ・ガーランドが一番です。説得力のある歌声を聴くとそれだけで泣けてきます。昔の名優サラ・ベルナールは電話帳を読んでも周りの人々を感動させたといいますが、ジュディの歌声はそれに匹敵するものがあると思います。もう一人忘れられないのは、クラシック調で歌うジャネット・マクドナルドで、優雅なオペレッタの世界を感じさせる点が大好きです。彼女の代表作は手に入りにくかったのですが、ここ数年でDVDが正式発売されて、簡単に入手できるようになりました。

■長峯:今回の本は、すべての作品について解説が書かれていて、読み物としても面白く感じましたが、どういう方法で数多くの映画を観られたのでしょうか。

◇重木:全部を観て書きたかったのですが、実は3分の2ぐらいの作品しか観ることができませんでした。というのも、古い映画は世の中から失われていて、現在は残っていない作品も多いためです。ですから、残りの3分の1の作品については、文献だけで書きました。1980年頃まで、映画を見る方法といえば映画館で見るしかなかったのですが、その後、ビデオやDVDで多くの作品が見られるようになりました。今回も世界各国からDVDを取り寄せましたが、DVDで見ることができない作品はインターネット上で探しました。インターネットでこうした動画を見ることができるようになったのは、21世紀になってからですね。こうした手段がなければ、世界各国のフィルム・ライブラリーを巡って観るという、気の遠くなるような作業が必要でしたが、幸い情報通信関係の仕事を長くやっていたこともあり、いろいろな手段で、動画を探しました。古い作品ばかり発掘しているので、考古学者と呼ばれています。

■長峯:ということは、私たちも観ることができる作品が多いということですか。観るためにはどうしたらよいのでしょう。

◇重木:一般に発売されているDVDであれば、通信販売のサイトを利用すれば簡単に手に入ります。それ以外にも、動画共有サイトを利用すれば、かなりの作品を観ることは可能です。それ以上を求めるとなると、著作権の問題やセキュリティの問題もあるので、あまりお勧めしませんが、ディープな世界が広がっています。しかし、動画が手に入っても、言葉の問題から、作品を理解するのは大変です。今回の事典では、インターネットでも検索可能なように、原題名を丹念に記載し、鑑賞の助けとなるように簡単なあらすじを付けました。

■長峯:重木さんは、日本の古典芸能、特に歌舞伎や文楽、さらにオペラやバレエ、演劇などもお好きで、良く観に行かれていますね。その中で、「ミュージカル」というのは、どのような存在でしょうか。良いミュージカル映画の条件とは、どのようなものでしょうか。

◇重木:世界各国の芸能はどれも大好きなのですが、あまりに芸術に走ったものよりも、大衆に支持されるエンターテインメントな作品が好きです。オペラなどはその発祥から王侯貴族たちのサポートなしには成立しなかったジャンルですが、オペレッタやミュージカルは大衆のものです。日本でも、狂言は将軍や大名のお抱えの芸能でしたが、人形浄瑠璃や歌舞伎は大衆の支持により発展しました。肩がこらない面白い作品が好きなので、オペレッタやミュージカル、文楽と歌舞伎というのが好みです。昔の貴族階級は一日中遊んで暮らすわけですから、たまには難しい芸術作品も観ようという気になったでしょうが、働いてお金を得るブルジョワとか労働者は、一日働いた後で、気晴らしのために娯楽的な作品を見に行くわけです。私も娯楽的な作品が大好きです。唯一の例外はバレエで、これは貴族社会に支えられていたのだと思いますが、19世紀のロマン派バレエやマリウス・プティパの作品は大好きです。バレエも太陽王(フランス国王・ルイ14世)の頃には貴族社会のものでしたが、わかりやすいので大衆にも受け入れられたのだと思います。ですから、ロシア革命後にもバレエは昔の伝統を維持して生き残りました。そのバレエやオペレッタなども、20世紀に入ると映画に席巻されたためか、舞台芸術全般が19世紀に比べると衰退したように感じます。20世紀は映画の時代だったのです。その映画も、21世紀に入ると、元気がないと感じています。良いミュージカルの条件ですが、最近は随分とミュージカルの幅が広がって難しいのですが、第一に台本、二番目は良き芸人、三番目に覚えやすいメロディだと思っています。

■長峯:長い間、大変楽しいお話を伺いました。読者のみなさまも、この事典を参考にして、好みの「ミュージカル映画」を見つけ出し、おおいに楽しんでいただけると嬉しいですね。長い間、ありがとうございました。

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プロフィール

重木昭信 プロフィール

■重木昭信(しげき・あきのぶ)
1951年生まれで、1973年から大手通信会社勤務。1988年から情報通信会社で大規模情報システムの開発に従事。2007年に情報通信会社代表取締役副社長。プロジェクト・マネージメントの功績により、2011年にプロジェクト・マネージメント学会賞を受賞。2012年情報サービス会社代表取締役社長。現在は会社顧問。中学生時代からミュージカルの歴史を研究し、芝邦夫の筆名でも著作を発表。主な著書に「ブロードウェイ・ミュージカル事典」(芝邦夫)劇書房 1984(増補版1991)、「ミュージカル映画事典」平凡社 2017

■長峯英子(ながみね・ひでこ)
演劇/出版/ワークショップ等企画、プロデューサー 劇書房主宰


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