宮本亜門帰国記念トークイベント〜ブロードウェイでのミュージカルの作り方!〜 - 2005年2月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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写真/左から宮本亜門、松井るみ、小嶋麻倫子
▲左から宮本亜門、松井るみ、小嶋麻倫子
 昨年12月、演出家として日本人初のブロードウェイ・デビューを果たした宮本亜門。帰国後の初演出作となる『ファンタスティックス』稽古中である彼のトークイベントが、先月23日に世田谷パブリックシアターで開催された。

 当日は、ブロードウェイ上演作の『太平洋序曲』や『ファンタスティックス』でタッグを組む舞台美術家の松井るみと、『太平洋序曲』ブロードウェイ公演でドラマターグ*を務め、弊誌の連載“『太平洋序曲』組曲”でもお馴染の小嶋麻倫子が宮本と共にステージに登場。「次の世代の人たちのために、ブロードウェイの扉を開けた人間として喋りたかった」(宮本)と前置きした上で、ステージ上のスクリーンに映し出されたスライドを見ながら、ブロードウェイでの体験談を披露した。会場には実際にブロードウェイで観劇したファンを含む約600名が来場。内容のほとんどが制作時の苦労話という明るい話題ではなかったにも関わらず、観客からは度々笑いが起こるほどなごやかなイベントとなった。その約2時間にわたるトークイベントの終了後、宮本が報道陣の取材に応じた。
『太平洋序曲』ブロードウェイ公演で、観客に一番伝えたかったメッセージは何ですか?

 個人的な思いですが、世界の大国であるアメリカが今後、どのように他の国に関わっていくのかを分かってほしかった。だから、あえて今のイラク戦争の時のアメリカで(黒船来航時の日本を描いた)『太平洋序曲』を上演したかったというのが本音です。最後に「自衛隊がイラクにいる」とイラク戦争のことを語ってるんですが、この一言で「ブラボー!」という人もいれば、「ああ、日本よ、そうなってしまったか」と嘆く人もいる。観客が考えるきっかけを与えるためにある作品なので、それ以上政治的なことはいうつもりはないけれど、本当に色々な反応がある分、メッセージが伝わったと思います。

千秋楽(先月30日)にはいらっしゃるんでしょうか? また、作品が自分の手を離れた今の満足感はどうですか?

 (とても悔しそうに)30日には行けないんですよ。ただ、今も毎日、現地からレポートが届くので、まだ自分が参加しているような気がします。終わったときに、やっと少し冷静になって「ブロードウェイでやったんだな」とほっとできるんじゃないでしょうか。まだ、こちらからエネルギーを送っている最中です。

実際に演出をして得たものは何かありましたか?

 違う考え方、違う生き方をした人たちと共同で作品を作ることが一番勉強になりました。また、中に入って、憧れではなく客観的に彼らを見ることができたし、良い点も疑問に思う点もひっくるめてブロードウェイが好きだと感じました。だから、ますます彼らと彼らを唸らせる作品を作りたい。今は(ブロードウェイで作品を作るという)嵐の外に出かかっているけれども、また嵐の中に入りたいし、嵐を作っていきたいですね。


 最後に次回作『ファンタスティックス』について「脚本のトム・ジョーンズが初演以来変えたかったという2幕のセリフが何カ所か変わります。ニューヨークで42年、世界で最もロングランされたけれど、まだまだちょっとずつ進化する作品。劇場から帰るときに、心が潤ったねと思えるような愛の寓話です」とアピールした。ちなみに、今回マットの父親・ハックルビー役を演じる沢木順は、日本初演の『ファンタスティックス』で主役のマットを演じている。日本でも歴史のある作品なのだ。同公演は、今月18日の能登演劇堂を皮切りに、全国8都市で上演される。

 なお、『太平洋序曲』の海外を含めた再演に関しては「(イベントでも話したけれど)ブロードウェイは先の予定が立たないので、何も分からないんですよ(笑)」(宮本)とのことだった。

*ドラマターグはさまざまな仕事をこなすが、新作の場合、主な仕事は脚本家に客観的なアドバイスを与え、一緒に脚本を練り直すこと。再演の場合は時代考証から脚本の編集までこなす。その他、若手脚本家の育成や、脚本の発掘もドラマターグの大切な仕事だ。