『もとの黙阿弥 浅草七軒町界隈』制作発表会 - 2005年6月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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写真/上段左から柳家花緑、田畑智子、筒井道隆、横山めぐみ、下段左から村田雄浩、高畑淳子、池畑慎之介
▲上段左から柳家花緑、田畑智子、筒井道隆、横山めぐみ、下段左から村田雄浩、高畑淳子、池畑慎之介
 “ナンノダレソレ実はナンノナニガシ”という歌舞伎の手法を脚本に取り入れ、それぞれ虚(仮の姿)と実(本来の姿)の二つを併せ持つ登場人物たちが、互いに虚を実と信じ込み、悲劇や喜劇が繰り広げられるという奇想天外な発想と機知に富んだせりふでつづられる大衆ロマン、井上ひさし作『もとの黙阿弥 浅草七軒町界隈』がなんと1983年の初演より、22年ぶりに新橋演舞場に復活する。
 82年に新橋演舞場がリニューアル、その翌年に初演された『もとの黙阿弥』。絶賛を呼び、6万人もの観客を動員する人気を呼び、ことあるごとに再演の企画が持ち上がったが、力のある俳優の多数出演が必要なため、なかなか実現にいたらなかった。

 鹿鳴館華やかなりし明治時代。浅草の小さな劇場、大和座は黙阿弥作品のまがいものを上演したために、興行停止処分を受ける。座頭の坂東飛鶴と番頭格・坂東飛太郎は「よろず稽古指南所」を開いて日々をやり過ごしていた。そんな2人のもとに、河辺男爵家の跡取り・隆次が書生を連れて現れる。姉・賀津子が勝手に政商長崎屋商会の娘・お琴との見合い話を決めてしまったという。それと入れ違いに、今度はお琴が女中とともに現れる。双方とも縁談の相手と大舞踏会で踊る、踊りを習いにやってきたのだ。しかし相手を見極めたいと考えた隆次とお琴は、それぞれ書生と女中と入れ替わり、偽者同士がお見合いすることに――。井上喜劇ならではの温かいまなざしで、明治時代に生きた庶民の息吹と人間像をやさしく浮き彫りにする。

 会見には、当初出席を予定した井上が執筆が忙しく欠席。前回に続き演出を担当する木村光一は「初演は今ほどではないが、遅筆にも悩まされた(苦笑)。井上さんはプログラムで“歌舞伎には門外漢”と語っていましたが、相当勉強されていたよう。私も日本の伝統的演劇に知識がなかったもので、勉強しておいてと言ってくれればよかったのに……。あとでいろいろ注文を付けられまして。ということは評判は良かったけれど、失敗だったと(笑)。井上さんもその当時の作風と今ではだいぶ変わってきているし、それを今日語り合ってから演出にのぞみたっかったんだけど……」など嘆き節。けれど「僕も楽しんだ、お客さんも楽しんだ、今度やる時はとずっと思ってたので」とリベンジを期している。隆次役の筒井道隆は「あぁ、頑張ります」、お琴役の田畑智子は「初演のビデオを見たけれど、全く飽きずに見られた」と若手は言葉少なかったが、劇中でも丁々発止のやりとりを繰り広げる飛鶴役の高畑淳子は「いろんな謎があるけれど、うその中に本当があるという作品。チームワークでそれを探しましょう」、賀津子役の池畑慎之介も「みんなのコンビネーションこそが楽しい芝居に結びつく」とベテランらしく笑いも交えて会見を盛り上げる。

 ともあれ、新橋演舞場の財産演目として期待をかける作品だけに、観客にとっては楽しみは膨らんでくる。