『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』公開舞台稽古 - 2006年6月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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写真/大竹しのぶ(左)と段田安則
▲大竹しのぶ(左)と段田安則
 ナンセンスな笑いをスパイスにした新作で常に話題を集めてきたKERAが、今回意外にも演出を手がけるのは、現代アメリカ演劇の大御所劇作家、エドワード・オルビーの傑作『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』。知識階級の中年夫婦とその家に招かれた若夫婦による滑稽かつ悲哀に満ちた深夜の狂乱を、大竹しのぶ、段田安則、稲垣吾郎、ともさかりえといった人気俳優たちが繰り広げる。公演初日を控えた4日、通し稽古が行われた。
 ロビーから劇場に入ると、四方から客席に囲まれた舞台が目に飛び込んでくる。書斎机、椅子、ソファ、レコードプレーヤーなどがバランス良く置かれた、ゆったりとした洋式リビング。時折、中央の円形部が家具ごと回転し、4人の登場人物それぞれの配置を変え、観客の死角をなくす工夫がなされる。この開放的な空間ゆえか、コミュニケーション不全の“ドロドロ”状態から抜けだせない中年夫婦による、露悪的な感情のぶつかり合いと、想いのすれ違いのドラマは閉塞感を与えない。むしろ、若夫婦を巻き込んでからは、盤上で4人の男女が組み合わせを変えて行う軽快な「ゲーム」のような印象さえ感じる。

 とは言っても、中年夫婦マーサ&ジョージを演じる大竹しのぶと段田安則は、ジェットコースターのように変化する起伏の激しい感情をしっかりと捉え、決して薄っぺらな演技にならない。特に、下品な声で高笑いをするかと思えば、幼な子のような表情でおびえる“マーサ”大竹の千変万化する演技は、見ごたえ充分だ。スマートかつセクシーな魅力たっぷりの稲垣吾郎扮する若いニックと、ともさかりえ扮する天真爛漫な妻ハネーも、中年夫婦に翻弄され、神経をすり減らすさまを体当たりで好演。KERAの演出も、照明の明滅でリビングの趣きを一変させ、レコード針のひっかき音でノイズを生むなど、要所要所で夫婦間の葛藤を感覚的に伝える工夫が光った。

 罵り合いは過激で笑えるけど、一線を超えたら修羅場と化す予感に満ちたサスペンス。コメディーではなく、ギリギリの線で笑いを追究するKERAと、オルビーって相性がいいみたい。