『LOVE30〜女と男の物語〜』公開舞台稽古 - 2006年11月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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写真/「兄への伝言」の生瀬勝久(左)とYOU

▲「兄への伝言」の生瀬勝久(左)とYOU
写真/「スパイス・イン・ザ・バスケット」の山寺宏一(左)と水野美紀 写真/「結婚相談所」の片桐仁(左)と真中瞳

▲「スパイス・イン・ザ・バスケット」の山寺宏一(左)と水野美紀

▲「結婚相談所」の片桐仁(左)と真中瞳
 新鋭劇作家3人が書き下ろした30分の短編を、個性豊かな3組の男優&女優ペアの共演でおくる、パルコ・プロデュースによるユニークなオムニバス作品『LOVE30〜女と男の物語〜』。3日の東京公演初日を前に、公開の通し稽古が行われた。

 企画の発端は、今回の演出を手がける宮田慶子も参加した朝日放送のテレビドラマ・シリーズ「女と男の物語」。03年のスタート以来、過去3シリーズが放送され、男女ふたりのさまざまな関係を、各回30分、ワンセット、ワンシチュエーションで描き、“舞台のようなドラマ”として好評を博した。

 今回は、テレビの企画を舞台に逆輸入し、パルコ劇場が注目する新鋭劇作家3人に書き下ろしを依頼。劇団東京セレソンデラックスを主宰する一方、「アタック No.1」「花より男子」などのテレビドラマの脚本を手がけているサタケミキオ、テレビディレクターを経て、現在脚本家、劇団カッパドキア夫人のリーダーとしても活躍している三島ゆき、『世界の中心で、愛をさけぶ』『第32進海丸』など劇団外への書き下ろしでも注目を集めるモダンスイマーズの蓬莱竜太と、「30分」という縛りをどう料理してくれるのか楽しみな顔ぶれだ。
 幕開けは、声優としても活躍している山寺宏一のナレーションから始まる三島作『スパイス・イン・ザ・バスケット』。水野美紀扮する離婚した元妻が、元夫(山寺)の自宅へ押し掛け、金を無心する。現在の夫になかば追い出されるように家を出たというのだ。だが、元夫は好意を抱いている女性を家に招待しようと、料理の準備の真っ最中で……。すれ違う感情、かつて重ね合わせた愛情、秘められた想いが音楽のように繊細なタッチでつづられる。取り戻せない時の重みを切なく漂わせながらも、幕切れでは希望の見える二人の「次の一章」を感じさせ、すっきりとした後味を残した。

 暗転中に可動式の装置が配置換され、キッチンルームの次は電話と机が置かれた事務室が登場。サタケミキオ作『結婚相談所』は、いい歳して女性とうまくつきあえない独身男と、男がかつての憧れの先輩だと分かって動揺する結婚相談所の女性スタッフの物語。積極的に結婚を応援するべきなのに、どこかかつての想いが捨てきれない女性の揺れまくる感情を、真中瞳が多彩な表情で見せる。恋愛に独特のこだわりを見せ、知らずと不器用さをさらけだす独身男役のラーメンズの片桐仁は、挙動不振ぶりで笑いを誘う。「すれ違い」「思い込み」を利用した巧みな設定で全体的にコメディータッチで描かれるが、最後に“純粋な恋心”に眼を向けさせる展開が心に染みた。

 蓬莱作『兄への伝言』は、一転、雨が降るなかしっとりとお通夜の一幕が描かれる。弟の葬儀のために東京から久しぶりに帰ってきた兄が、幼なじみでもあった弟の妻と静かに向きあう。違う土地で違う時間を生きてきた二人の会話はどこかぎこちなく……。弟が兄へ遺した摩訶不思議な「遺言」をきっかけに、話は予想もつかない展開を見せる。30分という短い時間でも、最後の最後まで展開を読ませない蓬莱の構成力はさすが。お通夜という設定に合わせてテンションを抑えた演技ながら、独特の間で笑いを誘う未亡人役のYOUと生真面目な兄役・生瀬勝久のコンビネーションも光った。

 ありきたりなハッピーエンドでは味わえない、ほろ苦くせつない大人の男女の物語3編。「30分」、そして「女と男」というテーマはまだまだ可能性を秘めていそう。ぜひシリーズ化を!