異色のコラボレーション! 「能舞エヴァンゲリオン」上演 - 2006年11月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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写真/エヴァンゲリオン初号機を模したオリジナルの“能面”が異彩を放つ。

▲エヴァンゲリオン初号機を模したオリジナルの“能面”が異彩を放つ。
写真/面の口が裂け、「暴走」状態に。 写真/初号機の面の下から女性の面が。機体に取り込まれていた母親・ユイが姿を表す。

▲面の口が裂け、「暴走」状態に。

▲初号機の面の下から女性の面が。機体に取り込まれていた母親・ユイが姿を表す。
 95年から96年かけてテレビ放送され一大ブームを巻き起こしたロボット・アニメ「エヴァンゲリオン」が、なんと能として甦った! このコラボレーションは、さまざまなクリエーターが「エヴァンゲリオン」を表現するシリーズ「EVA AT WORK」の一作品として企画されたもの。17日午前、屋外にある埼玉・こしがや能楽堂で、晩秋の心地よい朝陽の中、異色の能舞が披露された。

 14歳の少年・碇シンジが巨大人型ロボット「エヴァンゲリオン」に乗り込み、謎の生命体「使徒」と戦いを繰り広げるアニメ「エヴァンゲリオン」。ディテールにこだわったデザインや設定、ミステリアスな部分を残しつつ徐々に真相が明らかになっていくストーリー、そして自己肯定できない主人公・シンジを中心に描かれる徹底した心理描写とさまざまな魅力を放ち、熱狂的な支持を集めた。来年からは新作が4部に分けて順次、劇場公開されることも決まり、ブーム再燃の兆しも見せる。そんなメガ・ヒット作品を、主婦・彫師・日本画家など異なる「職業」を持つ12人に表現してもらうシリーズが「EVA AT WORK」。アニメ製作を手がけたガイナックスが企画し、今年1月からホームページ上で作品を発表しているが、その12作目として白羽の矢が立ったのが能だ。
 橋懸かりの先に見える幕が開くと、そこには紫色の面に紫色の装束を付けた異形の者の姿。シンジが乗り込むロボット「エヴァンゲリオン初号機」を模したオリジナルの能面をつけ、演者(シテ)がゆっくりと舞台へ歩みを進める。しばらく地謡に合わせて静かな舞が繰り広げられるが、一転、面の口が裂けて、激しい動きとなり、制御不能の「暴走」状態を表現。演者の金春流能楽師の山井綱雄によれば、「シンジの“若さゆえの葛藤”を能の既存の曲から闘いの場面を借りて表現した」という。後半、落ち着きを取り戻した「初号機」の面の下から、「小面」という女性の面が現れ、「初号機」の生みの親で実験中に機体に取り込まれてしまった母親・ユイの姿となる。最後は、自己を肯定できずに思い悩み、過酷な運命と立ち向かわなければならない息子を、「末永く見守り続ける」と言い残して去っていくという、“母性愛”を強調したラストシーンになった。

 実際の能とは異なり、囃子もなく、20分ほどの演技ではあったが、「エヴァンゲリオン」の設定を生かしつつ、「子と母」の物語を演者一人で演じ分ける趣向はまさしく能。オリジナルの面も、初号機の雰囲気を醸しつつも、人間味を帯びたつくりで生々しく、迫力満点だった。

 この日の実演の模様は、ガイナックスWebサイトにて12月23日より動画で公開される。公演の予定はない。
公演データ
【スタッフ】 企画・原案=山口喬司 能舞作成=山井綱雄 能面作成=山下昇平 「EVA AT WORK」ディレクター=古井真也(POINT)
【キャスト】 山井綱雄