コクーン歌舞伎『三人吉三』囲み取材&公開舞台稽古レポート - 2007年6月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
サイト内検索
すべて|
公演名|
人名・劇団名|
劇場|
演劇ニュース
様々な条件で検索
こだわり検索
注目キーワード

演劇ニュース

このエントリーをはてなブックマークに追加
ニュースを購読する
写真/大川端庚申塚の場。三人の吉三が出会う。左からお嬢吉三(中村福助)、和尚吉三(中村勘三郎)、お坊吉三(中村橋之助)

▲大川端庚申塚の場。三人の吉三が出会う。左からお嬢吉三(中村福助)、和尚吉三(中村勘三郎)、お坊吉三(中村橋之助)
写真/割下水伝吉内の場。伝吉(下:笹野高史)だけが知る十三郎とおとせの秘密を聞いた和尚は……。 写真/巣鴨吉祥院の場。和尚はやむなく若い二人を殺し――。

▲割下水伝吉内の場。伝吉(下:笹野高史)だけが知る十三郎とおとせの秘密を聞いた和尚は……。

▲巣鴨吉祥院の場。和尚はやむなく若い二人を殺し――。
写真/木屋の手代十三郎(右:中村勘太郎)は夜鷹おとせ(左:中村七之助)と運命的に出会う。 写真/前列左から中村橋之助、串田和美、中村勘三郎、中村福助、後列左から中村七之助、中村勘太郎、笹野高史、片岡亀蔵

▲木屋の手代十三郎(右:中村勘太郎)は夜鷹おとせ(左:中村七之助)と運命的に出会う。

▲前列左から中村橋之助、串田和美、中村勘三郎、中村福助、後列左から中村七之助、中村勘太郎、笹野高史、片岡亀蔵
 94年にはじまり、新たな視点から切り込んだ舞台で“渋谷で歌舞伎”をすっかり定着させたコクーン歌舞伎。最新作は01年にこの第四弾として登場し好評を博した『三人吉三』の再演だ。7日の初日を目前に、中村勘三郎、中村福助、中村橋之助ら出演陣がそろい、囲み取材と公開舞台稽古が行われた。

 舞台稽古前に開かれた会見では「(初演にはなかった)椎名林檎さん書き下ろしの音楽を使用する」と演出の串田和美が驚きの趣向を明かすと、コクーン歌舞伎を率いてきた勘三郎は「やっと認知されてきた」と語り、緊張の中に自信をにじませた。
 節分の夜、偶然出会った和尚吉三(勘三郎)、お嬢吉三(福助)、お坊吉三(橋之助)。『三人吉三』は、吉三という同じ名前を持つこの三人の盗人が義兄弟となり、それぞれの運命の糸が絡み合っていくという河竹黙阿弥の傑作だ。コクーン版はテンポよく物語が進みつつ、業を背負った登場人物たちの因果がひたひたと迫りくる。客席通路から登場する役者、見栄を切りながら回る舞台(360度で見栄が観られるなんて贅沢!)、人殺しの夜の闇はひたすらに暗く、雪はひたすらに白く……串田ならではの心憎い演出で全編が見どころだ。勘三郎、福助、橋之助の三者三様の悪と色気、勘太郎と七之助演じる若さゆえの危うい美しさ……歌舞伎役者とは違う空気を漂わす笹野高史がアクセントとなり、文字通り“役者はそろった”舞台。美しい七五調のせりふ、どろどろとした中にも艶ある“悪”といった黙阿弥ならではの味付けもたっぷり堪能できるはずだ。

 転がるように罪を重ねてきた男たちはまるで映画「俺たちに明日はない」のギャング、ボニーとクライドのように悲劇の最期へ疾走する。大詰めの迫真の殺陣は、現代にも脈打つ歌舞伎のビートを感じさせてくれた。

 しょっぱなから遊び心あふれる驚きの仕掛けがあるゆえ、オープニングから目をしっかりと見開いて観ていただきたい! シアターコクーンにて28日まで上演。

(写真協力:松竹株式会社)