スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』制作発表 - 2008年1月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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写真/左から市川笑也、市川笑三郎、市川段治郎、市川右近、市川春猿、市川猿弥、市川門之助

▲左から市川笑也、市川笑三郎、市川段治郎、市川右近、市川春猿、市川猿弥、市川門之助
 江戸歌舞伎の持つ娯楽的原点に立ち返り、かつ現代人にも共感しやすいストーリー性を打ち出してきた“スーパー歌舞伎”。市川猿之助によって生み出された同シリーズの第一作『ヤマトタケル』が3年ぶりに上演されることとなり、主要キャストが顔をそろえ制作発表を行った。

 同作は86年に、猿之助の脚本・演出・主演で初演。以来数年おきに上演を重ねてきたが、05年に、主演を市川右近&市川段治郎(Wキャスト)にバトンタッチ。続く今回も同コンビの主演により、4都市4カ月のロングラン公演を行う。脚本・演出補の石川耕士によると、猿之助は自身が主演した前々回公演(98年)の完成度が高いと自負しているそうで、今回はその演出を踏襲する見込み。前回の05年公演では台本を若干カットしたが、それを元に戻すとのことだ。

 物語は、日本神話の英雄・ヤマトタケルの生涯を描いたもの。謀反をたくらむ双子の兄を心ならずも手にかけて、父帝の怒りを買った小碓命(おうすのみこと)は、追放同然で戦場に赴くが見事勝利。ヤマトタケルの名を与えられる。だがその後も、父に命ぜられ、戦い続けるタケル。恋人の死、戦いへの疑念。故郷へ帰る道半ばで倒れた彼の魂は、真っ白な鳥となって昇天していく……。

 いまわの際に、タケルが人生を振り返って口にする「天翔ける心、それがこの私だ!」という決めぜりふも聞きどころの作品だが、このせりふは右近いわく「師匠に尋ねたら“人生の啖呵なんだよ”と言われました」。『シラノ・ド・ベルジュラック』で主人公が自らの心意気を表現する「羽飾り」を例に挙げ、それと同義のものとも説明されたという。そんなヤマトタケルに共感するところは?との質問に主演2人は「“天翔ける心”は、心意気というか生きるための心情というか、一言ではなかなか表現できない、かたちのないもの。でも私も人生を経験していく中で、徐々に分かるところが増えているのではないかなと」(右近)、「富を望まなかったタケルと、ただ舞台に立って演じてみたいと思って役者を志した自分の思いとが重なるかもしれない」(段治郎)とコメント。二人それぞれの“天翔ける心”が舞台上にいかなる形となって表れるか、期待が高まる。

 会見での主なコメントは以下の通り。
石川耕士 (脚本・演出補)
歌舞伎では初役の時に、一度は先輩の型をその通りにやってみるという素晴らしいしきたりがありますが、この猿之助さんの一座では「常に現代のテンポに合わせた洗い上げを」ということで、出演者のみなさんは初めての役でも師匠と違うやりかたで手掛けなければなりません。ただ、今回に限りましては、猿之助さんから「自分が手掛けた通りの『ヤマトタケル』をやって欲しい」と。3年前の改訂台本では15分以上も縮めてしまいましたので、(猿之助は自分が作り上げたものと)似て非なるものと思われたのかと思います。ですから私はどんな面目でこの席に連なれるのかというところなんですが、「3年前の若手バージョンとだいたい同じようだ」とみなさまに思われているかもしれないところを、「今回は仕切り直しですので3年前と同じではございません!」とご説明申し上げるのが役割かと、恥を忍んで参った次第でございます。

市川右近 小碓命後にヤマトタケル・大碓命/タケヒコ *Wキャスト
初演当時、ヘタルベ(タケルの従者)という役で出演させていただいておりましたが、22年たった今も師匠に憧れるヘタルベの少年の気持ちを持っております。ヤマトタケルという師匠のお役をずっと横で見て参りましたので、この作品をなんとか私どもによって受け継がせていただき、未来に導いていけるよう、懸命に勤めて参る所存です。また社会人一年生のスタートを切った作品で、ライフワークとしてヤマトタケルとともに歩んできたような気もしますし、再びやらせていただけるのは身のふるう思いですが、これを節目にまた大きく飛躍できるよう、懸命に演じて参りたいと思います。

市川段治郎 小碓命後にヤマトタケル・大碓命/タケヒコ *Wキャスト
師匠がすべての情熱を傾けたスーパー歌舞伎を次世代に残すことが、非常に大きな使命だと思っております。3年前は抜擢の舞台が続きまして、本当に何がなんだか分からないうちにこなすみたいな感じで終わってしまったので、今となっては非常に残念な気持ちがあります。今回、こんなにも早くリベンジする機会をいただけたので感謝しています。この3年間で歌舞伎はもちろん、ほかのジャンルの舞台も勉強させていただいたので、少しは成長したところを見せることができたらと思っています。

市川門之助 皇后・伊吹山の姥神
私は22年前の初演から出演させていただきました。その当時、「(スーパー歌舞伎の)第一作を成功させなければいけない」という想いで一丸となりましたので、その時の熱に負けないような、これからも何回も続けていけるような、そんなパワーを今回も出せたらいいなと。初演の時に父がやっていた皇后と姥神役を今回やらせていただきます。やっぱり人が違うとそれぞれ違ってくると思いますが、情熱だけは引き継いでいきたいなと思っております。

市川笑也 兄橘姫・みやず姫
22年間、スーパー歌舞伎皆勤賞でございます。なおかつ、初演より演じているみやず姫の役を相変わらずやらせていただくことになりました(笑)。これも健康のたまものでございますね。門之助さんの話にもありましたが、役者が変わりますと「同じ役でこうも違うか」という感じでみなさまにご覧いただけると思うので、必ず2回は観るように(笑)、ご宣伝のほどお願い致します。みなさまのお力をお借りしながら千秋楽まで頑張りますので、われわれが無事に勤められるよう祈っててください。

市川猿弥 ヤイラム・伊吹山の山神/帝(夜の部のみ)
この度とうとう、帝の役もやらせていただくことになってしまいました。私は、右近さんや段治郎さんのお父さんになるわけでございまして。配役を聞いたお客様も「猿弥さんで大丈夫なのか」と思われるかもしれませんが、一番大丈夫なのかと思っているのは私でございまして(笑)。いいんでしょうか私で。私は初演の時は舞台に出ていなかったのですが、非常に感動したことを覚えております。客席の一番後ろで、猿之助が白鳥……というか人面鳥(笑)に変身して大和に帰るところを観て、「澤潟屋ー!」と手を高く挙げて拍手をしていました。その作品に携わることができて、非常に喜んでいる今日このごろでございます。

市川笑三郎 倭姫・帝の使者
私は初演の中日劇場の公演が初舞台で、『ヤマトタケル』は縁の深い、忘れられない作品でございます。倭姫は私が24歳の時に初めて勤めさせていただきまして、今回は3度目となります。大人の役でございますので、24歳の時は何がなんだか分からなくて、師匠ににらまれるのが怖くて一生懸命やっていました。だんだん役の年齢に実年齢も近づいて参りましたので、少しは前と違うものを作り出せたらと思っております。また帝の使者は最後の最後に大切なメッセージを持ってくる役です。両役ともに一生懸命務めさせていただきたいと思います。

市川春猿 弟橘姫
私は22年前の初演の時は、歌舞伎養成所の研修生でしたが、すごく衝撃を受けた覚えがあります。そして初めて参加させていただいた時から、抜擢で弟橘姫をやらせていただいていますので、この役しか経験がございません。初めての年は、師匠に怒られ、怒鳴られ、別稽古をしていただいたぐらいでした。何回もやっているのにぜんぜん良くないと言われないように、今回は自分でも工夫して考えて、いろんな方の意見を聞いてやっていきたいなと思っております。
公演データ
2008.3/5(水)〜25(火) 新橋演舞場

【スタッフ】 作=梅原猛 監修=奈河彰輔 脚本・演出=市川猿之助
【キャスト】 市川右近/市川段治郎/市川門之助/市川笑也/市川猿弥/市川笑三郎/市川春猿 ほか *一部Wキャスト

・チケット発売中
・全席指定1等席14,700円/2等席10,500円/3階A席4,200円/3階B席3,150円/1階桟敷席15,750円
・お問い合わせ=チケットホン松竹 TEL.03-5565-6000