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2009/2/6
『ちっちゃなエイヨルフ』公開舞台稽古
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▲公開舞台稽古より。左から勝村政信、星野亜門、マメ山田、とよた真帆 |
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![]() ▲公開舞台稽古より。馬渕英俚可(左)と野間口徹 | ![]() | ![]() ▲会見より。左からタニノクロウ(演出)、勝村、とよた |
07年『野鴨』に続き再度イプセン作品に挑むタニノクロウ(庭劇団ペニノ)演出、勝村政信&とよた真帆の主演で送る『ちっちゃなエイヨルフ』が2月4日に池袋のあうるすぽっとで開幕。それに先立ち、同日昼に公開舞台稽古が行われた。 物語の軸は、結婚してから10年を経たアルメルス(勝村)とリタ(とよた)。ある日、ネズミ駆除を請け負う老婆(マメ山田)が現れ、それに付いて行った息子エイヨルフが海で溺れてしまったことから、夫婦の仲はきしみ始める。
自由な動きと複雑な表情で勝村が演じるナイーブな夫、ほのかなエロスをたたえるとよた演じる自由奔放な妻。そこに兄アルメルスの愛情を秘めた妹アスタ (馬渕英俚可)と、彼女に恋心を抱くボルグハイム(野間口徹)が加わり、グラデーションが生まれる――不安定なピアノの旋律、シンプルな装置と奥行きを見 せる照明とが重なり浮かび上がるのは、登場人物それぞれが放つ、屈折しながらも強い光だ。 眼目はお互いの膿を出すかのようなエゴイスティックな夫婦の会話。わがままで自分勝手な彼らの言い分は、笑いたくなる程(!)率直だ。が、それは決して 対岸の火事ではない。なぜなら、イプセンがさまざまな仕掛けでさらすのは、作家も含め、誰もが心当たりある、人間の中の「よどみ」だからだろう。夫婦だか ら、親子だから、兄弟だから……“斯くあるべし”というきれいごとなしですべてを暴ききったあとに準備された終盤には、不思議な爽快感が残る。15日ま で。それぞれのコメントは以下。
イプセンは作品ごと、歳を経るごとに同じ人とは思えない程に過剰になっていった作家。そこが面白い。書いてあることをそのままやれば大丈夫なんです。 勝村政信 演出家がそう言うから、大丈夫だと思います。自分が演じるアルメルスは、自分のことしか考えず、反省もない人間。自分のことしか話してませんし(笑)。それは自分にとって、非常にやりがいがある役ですね。 とよた真帆 100年以上前の作品で重いテーマもありますが、やっと現代にマッチしたのでは、と感じています。おかしくて滑稽な部分もあるので、空気を読まずに(笑)笑って観てください。 |
勝村政信インタビュー |
イプセンの作品って、難しいと取られる方も多いと思いますけれど、実は言いたいことをシンプルに言っている。演者としては、それをストレートなものとカー ブなもの、両方を同時に伝えたいと思っています。“言いたいこと言ってる”ってだけだと芝居としての重厚な部分がなくなるし、真剣な芝居だと面白みがなく なるし、バランスが難しい舞台だと思いますね。演劇を作る上ではすごく基本的なことなんですが、今回は読み合わせをしっかりやって、戯曲の中にしか宝はな いっていうことを再確認しました。どの本でもそうですけど、戯曲は底なしですから。掘れば掘るほどいろんなものが出てきます。 大きな劇場での公演が続いていたので、密な空間は久しぶり。蜷川幸雄さんの劇団で芝居を始めた僕が、実は今回、もう一度その時代にやっていたような作業 をやっていると感じていて。本を通して自分1人が登っていけるくらいの小さなフックをかけながら、ゆっくり上がっていくというか――そんな芝居作りができ ていると感じています。徹底して今回は、自分に奉仕してるという感覚です。久しぶりにそういうことがしたいと思っていた、ドンピシャなタイミング。タニノ くんという若いのにクレバーで丁寧な演出家によって、より自分のやりたい事が明確になってきてる感じがしますね。 |
2009.2/4(水)〜15(日) あうるすぽっと
【スタッフ】 作=イプセン 演出=タニノクロウ
【キャスト】 勝村政信/とよた真帆/馬渕英俚可/野間口徹/マメ山田/星野亜門・田中冴樹(Wキャスト)
・チケット発売中
・全席指定6,500円
・お問い合わせ=サンライズプロモーション東京 TEL.0570-00-3337
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