彩の国さいたま芸術劇場開館15周年記念公演 さいたまネクスト・シアター『真田風雲録』製作発表会 - 2009年9月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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前列は福田善之(左)と蜷川幸雄

▲前列は福田善之(左)と蜷川幸雄

応募総数1,225名の中から選ばれた、経験も出自もバラバラな44名の若手俳優を、世界の蜷川幸雄が鍛える! 「次代の日本演劇界を支える若い俳優を育てたい」という蜷川の思いから生まれた、彩の国さいたま芸術劇場の新プロジェクト<さいたまネクスト・シアター>がいよいよ始動。

その第一弾公演として選ばれたのが、真田幸村と真田十勇士を描いた福田善之の『真田風雲録』だ。鮮烈な青春を描き出した群像劇の上演を前に、蜷川、福田に加え、平均年齢24,8歳のさいたまネクスト・シアターのめんめん、そして、同劇場のもう一つのプロジェクトである55歳以上の団員による「さいたまゴールド・シアター」のメンバーも駆けつけるという、二世代そろっての、アッツい会見となった。

「これだけそろっていると、命が吸い取られる。悪夢のよう」と笑う蜷川のコメントも、気合いのほどがびしびしと伝わるものだった。たっぷりと掲載しよう。

蜷川幸雄  

▲蜷川幸雄

蜷川幸雄

ネクスト・シアターという若者の集団をつくりたいという考えは、ゴールド・シアターをつくった時から小さな芽としてありましたが、その思いは、ゴールド・シアターが成長するにつれて強くなりました。車の両輪のように、若い劇団と高齢者の劇団、その二つを持つことが健全な姿なんじゃないか、という考えです。ネクスト・シアターは、まだ形がはっきりとしておらず、最終的にどういう形態になるかということは、今、確信を持って語れるわけではありません。

でも、公共の劇場が、若者たちにチャンスを与える、まだ無名で形をなしていない若者たちが、自由に自分たちの仕事場を獲得できる。そして、そこで自分たちが中心となる演劇を作ることができる。そういう場が必要ではないかと考えました。公共の劇場は、税金でまかなわれています。国が文化を支援するのは当然だっていう考えもあるかもしれませんが、何回か公演を重ね、これこそは埼玉県民が支援するべきものだ、あるべき存在だ、そうなって初めて存在意義が生まれ、初めて皆様からの支援というものが得られるのではないか。どういう給料体系にし、どういう形の集団にするのかっていうのは、スタートしてから決めていきたいと思っています。

ゴールド・シアターも最初は、多くのお年寄りが集まって、素人の集団、素人の発表会だったのが、岩松了さんやケラリーノ・サンドロヴィッチさんが脚本を書いてくださって、ようやくこれこそ埼玉でしかできない、あるいは、職業的な俳優とはまた違う価値を持った、演劇の幅を広げる作業となった。そのことによって、ゴールド・シアターは多くの支持を得られるようになってきました。ネクスト・シアターも、ほかとは違う、ユニークな演劇上の主張を持つ存在になっていければいいなと思っています。

福田善之  

▲ 福田善之

若いころ、わたしは福田さんの作品にたくさんの刺激をもらいました。もちろん『真田〜』の初演も見ています。それは、まさしく演劇では革命的なできごとでした。集団は違ったので周辺からですが、それまでにない演劇の形態とクオリティーを実現したすばらしい仕事でした。今、そういった作品をやることによって、若い世代が、歴史の連続性を学ぶことになるはずです。

ゴールド・シアターは若い劇作家が高齢者のために書く。ネクストは、上の世代の作家が作品を提供してくださる。その二つを交錯させることによって、日本の演劇の欠けている部分というものが埋まっていくんじゃないかと思っています。

下村正夫さんが演出されていた新演劇研究所……杉浦直樹さんや内田良平さんがいらした劇団ですが……が、まだ無名の若者たちで『どん底』をやったときに、プロフェッショナルな劇団がやるよりも、若者たちの集団演技がすばらしかった。長い期間をかけて、緻密な演技をつくっている。そこから、何人もの名優が生まれたわけです。若くて、芸術的に優れた集団が、どういった発展をとげるか。そういうことも離れた世代が一緒にやることで、演劇の歴史の中から発見することができるわけです。

今回は舞台上に舞台を作る「インサイド・シアター」で上演されます。ちいさな緊密な空間にすることによって、彼らがきちんとした演技を身につけてくれればと思っています。温かいご声援、あるいは批判……こちらはドシドシお待ちしております(笑)。


「さいたまゴールド・シアター」のメンバーも駆けつけ、総勢83名での会見となった。 

▲「さいたまゴールド・シアター」のメンバーも駆けつけ、総勢83名の会見となった。

■安保闘争で揺れた当時の日本の状況を盛り込んだ戯曲です。今、これを上演する理由を教えてください。

今の日本のテレビやジャーナリズムを見ていると、笑って、食べて、クイズして……圧倒的にそういう文化の国になっている。我々はもう少し真摯にものを考えたっていいじゃないか、それを恥ずかしがらなくたっていいじゃないかと思うんです。60年代の政治性にとらわれることなく、もう少し広い意味で観てくだされば、と思っています。今、『コースト・オブ・ユートピア』の稽古もしていますが、これも世界の激動が個人にどのように還ってくるのか、その中で個々がどのように生きるのかを考える戯曲です。歴史上の人たちがどのように生きたのか。そういうことを合わせ鏡のように現代に考えていくことがあってもいいんじゃないかというつもりで、僕としては作品を選んだつもりです。

小さな空間にしたのは、演技が間近で観られることによって、うそは見抜かれ、いい演技は共有しやすいから。そういう空間で演技が中心の演劇をつくりたい。でも、まあ退屈するといけないから、いくつか仕掛けは作るつもりで、やりながら発見したいと思っています。

■オーディションで重視したことは?

映像で活躍している俳優を観ていても、似た俳優が多い。僕はもっと、ノイズの多い顔が欲しいなぁと。少し規格から外れた、均一化されていない俳優。比較的個性ある、美しいばかりではない人たちを選んだつもりです。

■現代の若い俳優に対する問題点などがあれば聞かせてください。

彼らは、所作・日本舞踊・殺陣などの稽古はすごく一生懸命やる。なのに、活躍している同年代の俳優がどういう稽古をしているかに興味を持たずに素通りしてしまう。ばかだなーって正直、イライラします。彼らには、他人の生き方や、自分以外の事柄が世の中で同時に進んでいるということを共有したり、勉強したりする関心が希薄。演劇はそうはいかなくて、面と向かっています。それについて絶望したら、僕は、やめればいいと思う。生身の他者を必要とするということに直面できないなら演劇なんかできないですから。一方、インターネットにせよ、携帯にせよ、さまざまな機械が他者との間接的な関係を成り立たせている。それが間違いなく現代を象徴していて、そのことによって、新しい世代の感性を持つ俳優が生まれるかもしれない……という考えもある。ですから、時代を象徴しうる身体、あるいは精神ってものを慎重に残しながら、同時に他者への関心がなければ演劇が成り立たないという基本を共存させる、あるいは、方法を発見するっていうのが、僕の任務だと思っています。

彼らに不満はものすごくある。彼らがさまざまな問題にどう対峙し、どう解決していくのか。これはもう、見応えのあるドラマですね。他者とどう対面していくのか。これまであらゆる人たちを素通りしてきたおまえたちが損失した時間はどうなのか。おまえたちが失った時間はなんなのか。そんなバカなことが通用するほど、世の中は甘くない。これは見ものです。

そして、もう一つ加えたいのは、二つの集団を両立することによって、若いスタッフが育つという点。老害のようにはびこっている老人がやることは、文化的に追いつめられている若者に場所を確保すること。それが少なくとも、先行する演劇人の役割だと思っています。

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