鵜山仁 新国立劇場への「所感と提言」 - 2010年8月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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本日8月31日で、新国立劇場演劇芸術監督の任期を終える鵜山仁が、同劇場の芸術監督人事についての「所感と提言」を新国立劇場運営財団・遠山敦子理事長宛に提出したと発表した。

同劇場の芸術監督人事については、鵜山の3年間の任期のうち、1年目を終えない時点で、次期監督人事が遠山理事長の一任により決定されており、この退任決定と選考課程に関して疑問があるとして、日本劇作家協会や日本演出者協会など、演劇人有志らが声を上げていた。

以下は、鵜山による「所感と提言」の全文。


新国立劇場運営財団
理事長 遠山敦子様

新国立芸術劇場演劇芸術監督 鵜山仁

「所感と提言」

2007年9月から2010年8月まで、新国立劇場演劇芸術監督としての3年間に、芸術監督のあるべき姿についていろいろと考える機会がありました。とりわけ私自身の再任の可否をめぐっては、劇場内外からさまざまなご意見をいただきました。
本年6月の評議委員会、理事会でもお約束した通り、この間の議論と経験を今後に生かすためにも、任期を終えるに当たって、当事者として感じたことをまとめておきたいと思います。

私の再任をめぐって一昨年(おととし)の夏以来提起された問題については、昨年3月の理事会で、これ以上の審議は行わない旨決定が下されましたが、だからといってこの問題が本質的な解決を見たとは、私は考えていません。
芸術監督をどう選ぶかについては、われわれがこの劇場をどういう劇場にしていきたいか、芸術性、経済性、さまざまなレベルでの総合的判断が前提になるはずです。そのためには各分野で、広く開かれた議論が喚起されるべきだと思います。現場を置き去りにした監督選任のいきさつは、その観点からしても納得のいくものではなかった、これは少なくとも、最も現場に近いところにいた私の実感です。
問題の根本的な解決をはかるためには、我々一人ひとりがこの間の経緯について反省を尽くし、改めるべきところは改め、その上で、将来へ向けての施策を講じるべきだと思います。

新国立劇場の芸術監督には人事権も予算執行権もありません。制作現場や財団執行部と風通しの良い、自由なコミュニケーションと、相互の信頼関係だけが頼りです。そのためには、劇場内外でのコミュニケーションの不備、その原因となった問題点を明らかにし、これを取りのぞき、新たな信頼関係を築いていく必要があります。

今後監督の選任については、劇場内外からの広範な意見の聴取、選考委員の人選、選考経過の透明化、選考後は芸術監督の表現成果についての議論を劇場内外で活発に行うなど、より広く開かれた劇場を創るという考え方を基本にして、事に当たるべきだと思います。

具体的な提案としては、

・芸術監督の任期を含め、そのありかたを再検討するに当たっては、演出者協会、劇団協議会など各団体、現場制作者、現場スタッフ、芸術監督経験者など、現場を預かる立場からの意見を広く聴取する。

・芸術監督就任予定者に対しては、再任、新任の決定に至るプロセスとその基本的な考え方、監督在任中の権利義務などについて詳細な説明を行う。

・劇場全体の運営と演劇部門の行き方との整合性をはかり、将来へ向けての展望を共有するため、芸術監督を含めた演劇制作部責任者と財団執行部とのミーティングを定例化する。

・再任については、芸術監督としての適性、主催公演の成果について評価を下すために適当な期間(2年程度)をおいた上で、その可否を判断する。具体的には任期5年が妥当かと思われる。

・芸術監督の再任の可否を判断するに当たっては、その前提として、本人に再任の意志があるかどうかを確認する。

以上、劇場の管理運営部門には芸術監督の創造的立場に対する一層の配慮が、一方芸術監督にはその創造責任を自覚し、各方面からの評価に身をゆだねる一層の覚悟が不可欠です。
今後われわれ創造側と、新国立劇場との協力関係を円滑に進めるためにも、この提言を評議委員会、理事会にもお伝えいただき、よろしくご検討いただきたいと思います。

以上

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