諏訪綾子の『ゲリラ・レストラン“LOST TONGUES”』レポート - 2010年10月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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中央が諏訪綾子

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▲ 中央が諏訪綾子

10月9・11日、原宿のラフォーレミュージアムで、フードアーティスト・諏訪綾子の『ゲリラ・レストラン“LOST TONGUES”』が行われた。「胃までコンセプトを届けます」をモットーに、感情を表す独創的な料理で「食」の新たな楽しみ方を追求している彼女。初の大型個展となった今回は、9品の“コース料理”がいただけるS席と、立ち見で2品のテイスティングができるA席が用意され、私は後者で参加した。

会場に入ってまず目に入るのは、ピンク色のライトに照らされた白の長テーブル。会場前方の、重いカーテンの向こうからは、時折何かを切ったり叩いたりする音が聞こえてくるが、テーブルにはまだ誰も着いておらず、会場の壁沿いにA席の観客が立っているだけだった。

やがて黒のドレス姿で現れた長身の美女が、舞台中央に登場。彼女がこのレストランのオーナー・諏訪綾子だ。短い挨拶のあと、「それではS席のお客様の登場です」という紹介で会場前方のカーテンが開き、S席の観客が登場。着物だったりスーツだったり、フリフリのドレスだったり。まるで結婚式?というようなゴージャスな装いの男女が、続々とテーブルへ着いた。中には著名人もいて、その様子だけ観てもわくわくしてしまう。さあ何が始まるのやら!

全員が着座すると、すぐにコース料理がスタート。後藤ひろひと並みに巻いたおヒゲがキュートなオジサンや、折れそうに細い腰をしゃなりしゃなりとさせて歩く女性たち、言葉を使わず仕草で笑いを誘うイケメンたち(全員国籍と年齢不詳)が舞台に現れ、「一品目、<恥ずかしさと喜びがゆっくりと快感に変わるテイスト>」という諏訪の合図とともに、料理のサーブを始める。

国籍・年齢のキャラクターたちが料理をサーブする   国籍・年齢のキャラクターたちが料理をサーブする

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S席の観客は、目の前に置かれたガラスの皿に料理が乗せられると、まずはじっくり観察。「これ、カラそう」「冷たいのかな?」など、それぞれに味の予測をたてる。

「どうぞ」という合図で、カトラリーは使わず、手づかみで口の中へ。しばし会場が静まり返り、ポリポリ……という噛む音だけが鳴り響く。大分経ったところで、近隣の席の人と目配せし合い、「あの、この味って……アレですよね?」「思ったよりカラい!」などと笑顔でしゃべり始めた。うーん、気になる! どんな味なの!! 2品目<驚きの効いた楽しさと隠しきれない嬉しさのテイスト>は、私たちA席の観客にも振る舞われた。黄色の花びらが麗しい一品。口に入れると、ポリポリ……ふむふむ、下は固めのクッキー、上はホワイトチョコレートに食用菊をトッピング、という感じだな。クッキーの歯ごたえを楽しんでいると、あれ、急に口のなかがパチパチパチパチいいはじめた。なんだこれ、昔懐かしいドンパッチじゃないか! 一緒に行った同僚と、思わずにんまり。こりゃ確かに“隠しきれない嬉しさ”だわ!

驚きの効いた楽しさと隠しきれない嬉しさのテイスト   痛快さのテイスト

▲驚きの効いた楽しさと隠しきれない嬉しさのテイスト

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▲痛快さのテイスト

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……という具合で、一品一品運ばれてくるたびに、全員がまずは「それ」をよく観察し、匂いを嗅ぎ、おそるおそる手にとって口に運び、沈黙して噛み締める、という何かの儀式のような、不思議な時間が流れた。私は思わず、谷崎潤一郎の短編「美食倶楽部」を思い出しましたよ! 自分が食べる時も、誰かが味や食感を語っている時も、こんなに想像力を使って物を食べたことがあるかなあ。見た目だけでは甘さカラさも分からないし、そもそも素材が何か分からない。ただ、与えられた料理のタイトルから勝手に頭と舌が味を想像して、時に納得し、時に裏切られて、一人にんまりする。……これって、実はすごく演劇的な体験ではないだろうか。

9品目が終わったところで、「またいつかどこかで」と笑顔を残し、諏訪綾子は舞台の奥へ消えていった。彼女のこの奇妙なレストランに、今度はどこでお目にかかれるのだろうと思っていたら、11月27日(土)・28日(日)に栃木・那須で開催される「nasu スペクタクル・イン・ザ・ファーム 2010」に参加するようです! 彼女の料理を食べてみたい方は、こちらへぜひ。

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