新国立劇場『おどくみ』稽古場レポート - 2011年6月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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新国立劇場『おどくみ』稽古場レポート5

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新国立劇場『おどくみ』稽古場レポート1

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新国立劇場 演劇 2010/2011シーズンの掉尾を飾る『おどくみ』の初日を直前に控えた稽古場のレポートを送る。6月某日、劇場の方の「楽しい現場なので、気軽に見学にいらっしゃいませんか?」というお言葉に甘え、「青木豪さんの新作書き下ろし? あら、楽しそう」とフラっと出かけた筆者だが、「そうはいっても大詰めの時期だし、ピリピリしているんじゃ……」と、にわかに緊張。いざ稽古場に入ってみると——。

【お惣菜屋さんは和気あいあいだった。】

まず目に入ってきたのはお惣菜屋さんの厨房を再現したセット(日本惣菜協会監修! リアルです)。1980年代半ば、横須賀のはずれにある総菜屋・畑中家を舞台にした今作は、ここですべての物語が展開される。まるで店の人のように、白衣を着込んだ高橋惠子、小野武彦、根岸季衣、そして演出の宮田慶子が笑顔で、台所の導線について念入りに打ち合わせ。その風景はまるで商店街の一角での井戸端会議のような、和やかムードです。

【通し稽古開始!】

この日は、衣裳を着ての通し稽古初日。物語は、総菜屋を営む夫婦(高橋、小野)を軸に、パートの酒田(根岸)、長男で映画研究部の活動に夢中の学習院大学生・剛(浅利陽介)とその友人たち、母親のカツ(樋田慶子)など、どこにでもいそうな人たちの会話で紡がれる。生活感あふれるセットに俳優が出入りし始まると、場のぬくもりが生まれ、生活の匂いがしてくるよう。嫁姑の問題や、夫婦のいざこざ、どこの家にも一人はいるであろう、困ったちゃんの親戚。ここに描かれる事柄に、観客はきっと笑いながらも「あるある」と深くうなずくことでしょう。そんな穏やかな日常を破るように、ある日、葉山の御用邸から仕出し弁当の注文が入り、彼らのボルテージは一挙に上がり……このあたりはぜひ、本番で確認していただきたいところ。

新国立劇場『おどくみ』稽古場レポート8

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新国立劇場『おどくみ』稽古場レポート10

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【フツーの人たちを通して投射される「天皇制」】

妙に親しみを持っていたり、まったく興味がなかったり、それでいて敬っていたり。青木豪の描くユーモラスな会話から浮かび上がるのは、普通の人たちのリアルな天皇への意識(あるいは無意識)だ。突然だが、筆者が数年前、タクシーに乗ったら、「皇室の秘密を教えてあげる」という運転手さんのアヤしいエピソードが次々と披露され、目的地のはるか手前で降ろしてもらった思い出が、見学しながらフィードバックした。

閑話休題。日本人なら誰でも知っていて、マスコミの流す情報で親しみさえ感じる天皇。それと反比例して、時代とともに見えにくくなる“日本の中心”を、明確な答えを求めるのではなく、観客一人ひとりに問わせる舞台……になるのではないかと感じた。

天皇制に触れるテーマを新国立劇場で……というと、井上ひさしが頭に浮かぶ向きも多かろうと思うが、今作は青木豪ならではのアプローチが見られるのが眼目だろう。繊細な演出と、三世代の手だれの俳優たちが見せる「人間の眼差し」がまた、そこを支えている気がした。

【とはいえ、あくまで楽しいのよ。】

ちょいと難しいのでは?とお思いの方、全然大丈夫です。物語はあくまでどこにでもありそうな家族のお話。観劇の感触は「友達の実家に寄った」ようなリラックス感。帰り際に高橋惠子さんが「ぜんぜん難しくないのよ〜」とおっしゃってました。お墨付きです。

(取材・文=川添史子)

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インフォメーション

『おどくみ』

【スタッフ】作=青木豪 演出=宮田慶子
【キャスト】高橋惠子/浅利陽介/黒川芽以/下村マヒロ/東迎昂史郎/谷川昭一朗/樋田慶子/根岸季衣/小野武彦

2011年6月27日(月)〜7月18日(月・祝)
・会場=新国立劇場 小劇場
・チケット発売中
・料金=全席指定A席5,250円/B席3,150円
・お問い合わせ=新国立劇場 TEL.03-5351-3011

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