「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」が開催に 蜷川幸雄、栗山民也、鵜山仁、長塚圭史による演出で8作品を連続上演 - 2011年10月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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井上ひさし(撮影:落合高仁)

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▲井上ひさし(撮影:落合高仁)

昨年4月に逝去した劇作家・井上ひさしの作品を連続上演する「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」が開催される。

フェスティバルは当初、今年の11月16日に、井上ひさしが77歳の誕生日を迎えることを祝うものとして開催を予定していたもの。今回、蜷川幸雄、栗山民也、鵜山仁、そして、井上戯曲初挑戦となる長塚圭史という4人の演出家を迎え、1年間を通して、厳選された8作品を連続上演する。

蜷川幸雄
私は井上ひさしさんとは最も遠いところにいる演出家と思われているかもしれません。しかし、ほぼ同じ時代を生きたものが全力で、この腐敗した世界を疾走しようとする時、走る者の吐く息と吸う息は、離れた場所にいても共有しているのです。このフェスティバルでは、私は孤独な参加者でありますが、誠実な参加者でありたいと、思っています。

栗山民也
井上さんの書いたいくつものせりふは、そのまま、井上さんの声となって聴こえてきます。台本を開いて、一つひとつの言葉をそこから聴くのです。声は音ですから、ページをめくるたびに登場人物たちの声となって重なり合い、いろんな和音で聴こえてきます。
台本には、同じ大きさの活字が並んでいますが、それがどんな状況のもとで発語されるかによって、意味は違います。俳優たちは、その活字を人間の声に必死で立ち上げます。私たちは稽古場で台本に刷られた一つひとつの言葉に、どんな人間の気持ちが隠されているかを見つけ出すことから出発し、そのせりふに一番かなった音を発するために、稽古を続けるのです。そのうち、井上さんの台本の中のすべての言葉が、人間のあらゆる感情を表す声のために書かれた、音楽のように聴こえてきます。
その井上さんの77のお祝いのために、8本の作品がそろいました。どこまでも水のように静かに、ある時は激しく動き続けるせりふの流れに、耳をすましてみましょう。きっと、その物語の森の中で、必死に生きようとしている多くの人たちと出会うでしょう。

鵜山仁
井上ひさしという劇作家と、同時代を生きることができたこと。その新作を演出する機会に恵まれ、稽古場を、また劇場での時間を共に享受することができたこと。これは僕の演劇人生にとって決定的な出来事でした。何よりありがたかったのは、僕自身、時には疑ってしまう“芝居の力”“劇場の力”に対する信頼を、心の底で支えてもらえたことです。今後は、芝居に携わる危険と悩み、誇りと楽しみを、いくらかでも若い世代の人達に伝えていきたいと願っています。
生誕77年フェスティバルが、777年フェスティバルにつながる期待を込めて、この企画を喜びたいと思います。

長塚圭史
『父と暮せば』の英訳版と出合ったのは留学中でした。オリジナルの日本語版も載っていましたので、これはもうすぐにと下調べを始め、ナショナル・シアターのスタジオで英国人俳優たちとワークショップをやりました。その時、あらためて井上ひさしさんのメッセージの根幹は、国境を越えるものであるという強い実感を得ました。そして私にとっては、この作品を通して異国の演劇人たちと議論を繰り返しながら試行錯誤したこのワークショップで、演劇の持つ可能性と豊かさを得ることができたのです。
11年夏、とうとう『父と暮せば』を生で観ることができました。どうにも涙が止まりませんでした。『父と暮せば』も泣いていましたから。「しっかりなさい」と舞台上から井上さんが日本人全員におっしゃっているよう感じました。
このフェスティバルを通して井上さんの人間を鋭く見つめる眼差しを、しっかりと皆さまにお届けしたいと思います。

インフォメーション

【「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」ラインアップ】

『十一ぴきのネコ』

長塚圭史が、井上作品を初演出。馬場のぼるの絵本「11ぴきのねこ」を原作に書き上げた、71年の初期戯曲に挑む。

【スタッフ】演出=長塚圭史
【キャスト】北村有起哉/中村まこと/市川しんぺー/粟根まこと/蟹江一平/福田転球/大堀こういち/木村靖司/辰巳智秋/田鍋謙一郎/山内圭哉/勝部演之
1月10日(火)〜31日(火)紀伊國屋サザンシアター

『雪やこんこん』

鵜山仁が、87年に井上作品に初挑戦し、第39回芸術選奨文部大臣新人賞を受賞した人情芝居。91年、99年以来となる、11年ぶりの再演となる。

【スタッフ】演出=鵜山仁
【キャスト】高畑淳子/金内喜久夫/今拓哉/村田雄浩/山田まりや/宇宙/佐藤麻衣子/新井康弘/キムラ緑子(台本順)
2月19日(日)〜3月11日(日)紀伊國屋サザンシアター

『闇に咲く花』

戦争の記憶を語り継ぐ戯曲を、栗山民也が、本作6回目の演出で再演。生前、井上ひさしが「この舞台をご覧になることで歴史の証人におなりになる。こんなめでたいことがあるでしょうか」と語った作品。

【スタッフ】演出=栗山民也
【キャスト】辻萬長/石母田史朗/浅野雅博/増子倭文江/山本道子/藤本喜久子/井上薫/高島玲/大樹桜/小林隆/北川響/石田圭祐/水村直也(台本順)
4月19日(木)〜29日(日)紀伊國屋サザンシアター

『藪原検校』

世界各都市で上演され、賞賛を受けた傑作を栗山民也が手掛ける。主人公の悪党・杉の市役を、狂言師・野村萬斎が担う。

【スタッフ】演出=栗山民也
【キャスト】野村萬斎/秋山菜津子/浅野和之/小日向文世/熊谷真実/山内圭哉/たかお鷹/大鷹明良/津田真澄 ほか(台本順)
6月 世田谷パブリックシアター

『しみじみ日本・乃木大将』

第31回読売文学賞 戯曲賞に輝いた戯曲を蜷川幸雄が演出。乃木将軍が自決するまでの物語が、将軍の愛馬たちが語り紡いでいく。こまつ座では21年ぶりの上演。

【スタッフ】演出=蜷川幸雄
7月 彩の国さいたま芸術劇場

『芭蕉通夜舟』

松尾芭蕉の心の変遷をきめ細やかに描く物語。数人の黒子が登場するほかは、ほぼ一人芝居。三十六句の歌仙にちなんだ全三十六景を、鮮やかな場面転換で魅せる。

【スタッフ】演出=鵜山仁
8月 紀伊國屋サザンシアター

『日の浦姫物語』

悲劇的な話に笑いを散りばめた井上ワールド全開の作品を、蜷川幸雄が手掛ける。78年に文学座で初演された本作が、こまつ座&ホリプロで初上演。

【スタッフ】演出=蜷川幸雄
11月 Bunkamuraシアターコクーン

『組曲虐殺』

井上ひさし最期の戯曲を、栗山民也、井上芳雄、石原さとみら、09年の初演時と同じ面々で再演。小林多喜二の人生を通して、感動を、希望を、未来へと伝える。

【スタッフ】演出=栗山民也
【キャスト】井上芳雄/石原さとみ/山本龍二/山崎一/神野三鈴/高畑淳子 演奏=小曽根真
12月 天王洲 銀河劇場

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