文学座「岸田國士傑作短編集」稽古場レポート - 2011年11月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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文学座「岸田國士傑作短編集」稽古場レポート1

▲『明日は天気』より

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文学座「岸田國士傑作短編集」稽古場レポート5

▲『驟雨』より

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文学座「岸田國士傑作短編集」稽古場レポート9

▲『秘密の代償』より

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創立者の一人でもある岸田國士の作品に文学座が挑む「岸田國士傑作短編集」の稽古場見学へのお誘いを受け、10月末に訪問。『明日は天気』『驟雨』『秘密の代償』の短編3本を上演する企画で、いずれも、男女の心の機微にユーモアが見え隠れする、しゃれ〜た戯曲。大人のエッセンスを味わおうと、いざ稽古場へ!

【夫は傘を借りて散歩をなし、妻は横になって退屈を味わふ。】

一本目は『明日は天気』。海岸の旅館を舞台に、雨でどこにも出られず、暇を持て余す夫婦の他愛もない会話劇だ。悪天候でせっかくの休暇がおじゃんになり、落胆をおしゃべりで紛らわせようとする夫と、がっかりして寝てしまう妻。そんな二人のちぐはぐなリアクションがおかしく、そこはかとなく切ない。浅野雅博の演じる夫が「ある思い出」を語る場面は、シンプルなせりふに愛情や、手に入らない幸福への憧れが淡く透けて、台本を読んで想像していたよりもずっと沁みた。本番での仕上がりが楽しみ。

【もう沢山、その御説教なら……。男っていふ者はどうなの……。誰がさうきめたの。】

次は比較的上演される機会が多い『驟雨』(文学座でも上演回数が一番多いとか)。新婚旅行の途中で見せた夫のふるまいに我慢できずに帰ってきてしまった妹、男とはそういうものだとたしなめる姉。姉の夫は雄弁に男の立場を語り……。それぞれが意見を主張し、三者三様の気持ちが明るみになるところがスリリング。雨がひとつのエッセンスとなる構成の巧さ。観終わった後、タイトル付けのセンスにうなることでしょう。

【今晩、九時に、亭(あづまや)でお目にかゝりたうございます。】

最後は避暑地の別荘に滞在する高級官吏一家・生田家を描いた『秘密の代償』。小間使い・てるを巡っての父と息子の恋のさや当て、そこに妻の思惑も絡んで巻き起こる物語だ。恋心(下心?)を胸に秘めた息子(斉藤祐一)、“油断ならぬ艶やかさを持つ上目遣い”を持つ小間使い(渋谷はるか)をはじけた演技で見せる若手、きっちりとした演技の中にも遊び心を見せるベテラン(菅生隆之、塩田朋子)が、楽しそうに演じていて、稽古場のあちこちから笑いが。ちょっぴりエロチックな味わいもある、愉快な一本。

【「或こと」を言ふために芝居を書くのではない。】

上演時間は3本を通して約2時間半(休憩込み)。1本が40〜50分前後とコンパクトで、それぞれは非常に緻密。岸田戯曲の紡ぐ日本語の心地よさ、品ある色気、ユーモアなどを再認識させられた。ミニマムな中でどう新たな表現をするかという実験精神は、今見ても斬新だ。“「或こと」を言ふために芝居を書くのではない。芝居を書くために「何かしら」云うのだ——。”という岸田の残した有名な言葉を思い出す。

誘惑したりされたりのカップル、新婚夫婦に倦怠期夫婦。男女関係のさまざまな段階、心理が描かれ、誰もが“胸に覚えあり”になるのではなくって?(岸田戯曲口調はクセになります)。ペアの割引もあり、一緒に出かけて、観劇後にあれこれ話せば、一層、二人の関係が深まるかも? ちなみに、口論になっても責任は取りません!

紀伊國屋サザンシアターにて4日初日。大阪・兵庫公演あり。

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