横町慶子×白井剛 Live Performance『Liebesträume〜愛のオブジェ〜』横町慶子 初日前コメント - 2014年9月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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横町慶子

▲ 横町慶子

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パフォーマーの横町慶子が、ダンサーの白井剛と初タッグを組む『Liebesträume(リーベストロイメ)〜愛のオブジェ〜』。4月からワークショップを重ね、9月末に本番を迎える本作に、横町はどんな思いを込めたのか。2年の活動休止を経て、昨年から再び歩み始めた彼女に、その思いを聞く。


人形のように整った容姿と圧倒的な美意識で、自身の世界観を強く打ち出してきた横町慶子。バーレスク的なガールズショーが魅力のロマンチカとは一変、2009年に立ち上げたソロプロジェクト第1弾『かわうそ』では、菊地成孔が手掛けた音楽に合わせ、髪を振り乱して激しく踊っていた姿が印象深い。

その翌年。彼女に思いも寄らない出来事が降り掛かる。脳梗塞で倒れ、左半身が動かなくなってしまったのだ。その時の心境を横町は「まさかというか、早い。いつか歳を重ねて踊れなくなる日が来るだろうと思っていたけれど、病気で倒れて踊れなくなるとは思ってなかったです」と振り返る。4カ月の入院、その後も“普通に生活できるようになるため”のリハビリが続いた。

「とにかく今までできてたことがまったくできなくなって、絵を描いたり文章を書いたりして気を紛らわせていました。でも今読み返すと暗いことばかり。精神的にまいって、カウンセリングを受けに行ったこともあります。そんな時、ずっと私のワークショップ(WS)に参加してくれていた女の子が、カンドゥーコ・ダンス・カンパニーのことを教えてくれたんです。そのWSに参加したらすごく楽しかった。障害があっても身体を動かせるんだって気付いて、だったら舞台に立てるなって思ったんです。そこからは早かったですね(笑)。スイッチが切り替わるように“やる”って決めて、すぐスタッフをやってくださる方を探し始めました」

その2カ月後、復帰第1弾の舞台『生命の泉は汝とともにあり』が実現した。2013年、倒れてから3年が経っていた。久々に舞台に立った感覚を「最初から最後まで、全然慣れなくて毎日初日みたいだった」と横町は言う。「それまで、それこそ舞台に立つことが快感で、舞台の上こそ自分が自由になれる場所だったんです。でもその時は、初めて舞台に立つ人みたいに“照明ってこんなにまぶしかったのか”と、全部が初めてのことのように感じて震えましたね」。

また、“表現”という点では、それ以前とどう違ったのか。「できることだけを丁寧にやろうと。『生命の〜』では、まず私の手がどんなふうに動かないか、それがみんなとどう違うのか、私が今どういう気持ちなのかを一人ひとりに伝えていく気持ちでやりました。それはこれまでの作品とは全然違いましたね。それから、赤の他人……例えば通りすがりの人にもいっぱい助けられて生きてきた3年だったので、その感謝の気持ちを表現したいと思ったんです」。

『Liebestraume〜愛のオブジェ〜』ビジュアル

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一度舞台に立てば、その後は早かった。今年2月に山川冬樹とタッグを組み第2弾を、そして今月上演される第3弾『Liebesträume(リーベストロイメ)〜愛のオブジェ〜』では、ダンサーの白井剛と初共演する。

「私に何ができるだろうと混沌としていた時期、白井さんの作品を観たんです。すごくシンプルで、でも自分の身体と真剣に向き合っていて、存在がとても美しいなと思った。同時に、表現ってこれでいいんだ、それなら私もやってみよう、と感じて」。

また今回、音楽を細野晴臣が担当するのも注目だ。実は細野と横町、特に古い縁があったというわけではない。が、音楽をどうしようか悩んでいた時にふと、以前偶然出会い、連絡先を教えてもらった細野のことが思い浮かんだそう。「いやいや、あり得ないでしょう、と自分で一度否定したんですけど、でもあり得ないことが私の身体に起こったし、人生あり得ないことばかりだから、ダメ元で聞いてみようと思って」連絡したところ、快諾してもらえたのだという。

「具体的に何をしてほしいか言ってみて、と言われて、私が好きなリストの“愛の夢”をアレンジしてほしいとお願いしたんです。そうしたら、たまたま細野さんもその曲が大好きで、いつかアレンジしたいと思ってた、と。あとは、細野さんの楽曲で踊ったり、私が歌う曲の演奏をしていただいたり……」。

そんな強力な同志を得て、横町が今回描くのは、“愛”の物語だ。「私はどんな作品でも、“愛”とか“生きる”が変わらずテーマとしてあって、生きる重みとか祈りとか、それを見つけたくてつくっているような感じがします。その中で、第1弾の『生命の〜』はすごく精神性が強く、第2弾の『ASYMMETRIA〜アシンメトリア〜』は声や音にこだわった作品でしたが、今回は身体表現に一番力を入れています。白井さんにかなり身を委ねていて、それはこれまでやっていないことなので、不安でもあり楽しみでもありますね」。

そう微笑んだ彼女の頬に、ほんのりと赤みが増した。

*1991年に設立されたダンス・カンパニー。障害のあるダンサーと、ないダンサーがともに活躍する作品づくりを行っている。北京オリンピックの閉会式やロンドンオリンピック、パラリンピックの開会式にも出演した。

取材・文・撮影=熊井玲(本誌)

プロフィール

横町慶子(よこまち・けいこ)
女優・振付家。4歳よりひばり児童合唱団に参加しさまざまな舞台を経験。90年からロマンチカ、ナイロン100℃の舞台に出演するほか、映画やTVなどでも活躍。2010年に脳梗塞による左片麻痺で活動休止するが、13年より復帰。現在はフリーで活動している。

インフォメーション

横町慶子×白井剛 Live Performance
『Liebesträume(リーベストロイメ)〜愛のオブジェ〜』

【スタッフ】作=横町慶子 振付・演出=白井剛・横町慶子
【キャスト】横町慶子/白井剛(AbsT)

2014年9月26日(金)〜28日(日)
・会場=black A
・チケット発売中
・料金=全席自由席3,300円

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