山本晋也×倉田淳の特別対談も開催 Studio Life『アドルフに告ぐ』製作発表会 - 2015年6月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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Studio Lifeの創立30周年記念公演第3弾として上演される、手塚治虫原作の『アドルフに告ぐ』。今夏の公演に先駆けて、映画監督の山本晋也と脚本・演出の倉田淳による特別対談「戦後 70年、今『アドルフに告ぐ』を上演するということ」が開催された。

山本との対談は「日本ペンクラブの会合で山本さんとお会いして、第二次大戦中・戦後のご経験やアウシュヴィッツに行った時の話
を伺ったんです。それがとても興味深くて、今回ぜひ山本さんにお話を伺いたかった」という倉田のたっての希望で実現したもの。

幼いころから手塚治虫の漫画を愛読していたという山本。「初めて読んだのが『メトロポリス』。未来都市の話で、高速道路も出てくる未来像を描いていた。『リボンの騎士』は、天使の間違いで一人の子に男の子と女の子のハートを吹き込んでしまったという設定。いわば、ジェンダーを扱った最初の漫画だったんじゃないでしょうか」と初期の手塚作品に触れた。

さらに、手塚との知られざるエピソードも。「僕は落語家の立川談志師匠の門下(立川談遊)。手塚さんは談志師匠と親しかったから、よくご一緒したんですよ。あんなに気楽に一緒にいたんだから、今考えるとサインでももらっておけばよかったな(笑)」と語る。「青年期には、いい絵、いい小説、いい映画を見る。この三つがあればいい」と、当時の手塚が語っていた言葉も紹介された。

山本は39年生まれで、45年の東京大空襲のときは6歳。「空がB29戦闘機でいっぱいになるんです。それを見ていると、自然と奥歯がカタカタカタ……と音を立ててね。焼夷弾が落ちる音は花火とまったく一緒。だから今も、花火は嫌いです」と当時を振り返る。そして、「手塚さんは、自分の経験をもとに『アドルフに告ぐ』で神戸の空襲を描いた。もし僕が(映画で)描くなら、東京大空襲だな」と語った。

そして、「『アドルフに告ぐ』は子供向け雑誌でなく、成人向けの週刊文春で連載された作品。最後まで読んで手塚さんが言いたいことが分かった。アドルフ・カウフマンの最後のせりふ“おれの人生は一体なんだったんだろう。あちこちの国で正義というやつにつきあって。そして何もかも失った……肉親も……友情も……おれ自身まで……おれはおろかな人間なんだ。だが、おろかな人間がゴマンといるから国は正義をふりかざせるんだろうな”が言いたかったんだろうと思う」と山本が語ると、倉田も「私もそう思います。カウフマンの“おれの人生はなんだったんだ”というせりふが響いてくるし、これから誰にもそんな思いをさせたくないと思うんです」と同意した。

また、山本は「“国家という怪物が正義という呪文を唱えている。その呪文にだまされてはいけない”というのが手塚さんの言いたかったこと。大切なのは個人が幸せであることだし、自分が大切にしている家族や恋人、友人を亡くすことが最大の不幸。国家の呪文に引っかかって、個人の幸せを失ってはいけない。政治的発言をしない手塚先生だけど、作品の中で語っているんだね。タイトルの『告ぐ』というのは手塚先生のメッセージ。誰に告ぐかというと、これは日本国民に告ぐということなんですよ」と、自身の解釈を語った。

対談に続いて、公演の製作発表会が行われた。本作は、ドイツ人の少年アドルフ・カウフマンとユダヤ人の少年アドルフ・カミルという、二人のアドルフが育てた友情が、アドルフ・ヒットラーの支配する暗黒の時代の波に翻弄されるさまを描いた傑作漫画。同劇団では、07年に初演されたが、今回は「日本篇」「ドイツ篇」、そして初演の構成を生かした劇団オリジナルの構成による「特別篇」としてリブート上演される。

倉田は「(昨年他界した劇団前代表の)河内(喜一朗)が、5年ほど前から“戦後70年という節目の2015年に上演したい”と言っていた作品。河内が決めていった最後のプログラムです。遠くに軍靴が聞こえつつある今、この作品は後に受け継いでいかなければいけないと思う。やらせていただく意味を考えながら上演したい」と意気込みを見せた。

代表の藤原啓児は「先代の河内が並々ならぬ思い入れを持った作品。どうぞ皆さまに思いをお汲み取りいただき、応援していただきたい」と上演に懸ける熱い思いを語った。

また、劇団員からは「今、山本監督の言葉を伺って、僕らがつくる『アドルフに告ぐ』のテーマ性が間違っていないことを確信した」(曽世海司)、「手塚先生のたくさんのメッセージにあふれた作品を、劇団員が魂を込めて演じ切ることで平和への思いを未来へつなげていきたい」(松本慎也)、「昨年、高校の芸術鑑賞会で『アドルフに告ぐ』の特別篇を上演したとき、芝居に興味のない生徒もいるのに、物語が進むにつれてどんどん前のめりになってくれた。作品の力と芝居の力を感じた」(仲原裕之)、「歴史の大きな流れの中でただ演じるのでなく、いかに本当に“生きられる”か。ライブ感を出すことが課題」(山本芳樹)など、力強いメッセージが寄せられた。

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インフォメーション

Studio Life
『アドルフに告ぐ』

【スタッフ】原作=手塚治虫 脚本・演出=倉田淳
【キャスト】山本芳樹、松本慎也/奥田努、緒方和也/仲原裕之 ほか

東京公演
2015年7月11日(土)〜8月2日(日)
・会場=紀伊國屋ホール

大阪公演
2015年8月22日(土)・23日(日)
・会場=梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

各公演とも
・チケット発売中
・料金=全席指定5,800円

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