井上ひさしの構想を山田洋次が映画化 吉永小百合主演「母と暮せば」クランクアップ記者会見 - 2015年8月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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映画「母と暮せば」クランクアップ 1 左から黒木華、山田洋次、吉永小百合、浅野忠信

▲ 左から黒木華、山田洋次、吉永小百合、浅野忠信

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山田洋次監督の最新作映画「母と暮せば」のクランクアップ記者会見が都内で行われ、山田監督をはじめ、主演の吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信が登壇した。

故・井上ひさしが生前「広島を舞台に書いた戯曲『父と暮せば』と対になるような、長崎を舞台とした『母と暮せば』を書きたい」と語っていたと、井上ひさしの三女・井上麻矢から、山田監督が聞いたところから企画が始まったという本作。山田監督が戦後70年という節目の年に、井上ひさしに捧げる一作だ。

舞台は、終戦から3年後の長崎。助産婦として働く伸子(吉永)のもとに原爆で亡くなった息子・浩二(二宮)が現れる。時おり現れる浩二と思い出を語り合い、浩二の恋人であった町子(黒木)の将来について話す伸子。最初は嫌がっていた浩二も次第に母に理解を示し、町子の幸せを願うようになる……。長崎での親子の優しく悲しい日々を描いた、山田監督初のファンタジー作品となっている。

会見で、吉永と二宮がファーストネームで呼び合っていたというエピソードが明かされると、二宮は「“和也さん”と呼んでいただけるのはドキドキします。身内にも一回も呼んでもらえたことはなかったので、僕の初めての人になりました(笑)」と笑顔を見せると、吉永は「どういうふうにお呼びしたら分からなかった時に“小百合さん”と呼んでいただいたので、感激して距離がぐんと縮まった思い出がありました。撮影の間は本当の母親よりも一緒にいる時間が長いとおっしゃってくださったので、テレビでとても危険なことをしているのを見ると、“うちの息子は大丈夫かしら”ドキドキします」と明かし、ほほえましい母子関係をのぞかせた。

会見での主なコメントは以下の通り。

■山田洋二
8月9日に吉永小百合さんと長崎の平和記念行事に参加しました。ものすごい暑さで、70年前に5000度の熱で焼かれた人びとはどんなにつらかっただろうかと、そして、そんな肉親を死骸の山の中、ものすごい腐臭がする中で探すことがどんなに苦しかっただろうと考えました。戦後70年という年につくり上げたことはとても意義があると感じていますし、それにふさわしい作品になればと思っています。
【映画をつくるきっかけ】
井上麻矢さんから、井上ひさしさんが『父と暮せば』『木の上の軍隊』と、もう一つ『母と暮せば』という作品をつくりたかったというお話を聞いたのがきっかけ。井上ひさしさんのある文章の中にも「その三部作をつくり終えた時に僕の一生は終わる」とありました。映画化の相談を受けた時に、死んだ父親と残った娘という『父と〜』の物語の形をとって、原爆で死んだ息子と残った母との対話を描こうと即座に頭に浮かびました。そして、それはとても僕のつくりたかった映画なんだと感じました。しかも、終戦70年という節目の年になることに、どこかで運命のようなものを感じ、私の一番大事な映画になるのではと思い覚悟を決めました。
【映画のメッセージ】
式典での長崎市長のメッセージはとても優れたもので、その言葉を裏切ってはいけないと思いました。8月15日を知っている人たちがいなくなってきている時だからこそ、その時の記憶を後世に伝えなければいけない。僕たちが生きているうちにやらなければいけない課題だと思いました。しかし、戦後70年というタイミングは、めぐり合わせのようなもの。戦争であるとないとにかかわらず、突然、息子を失った母親と亡霊となって現れる息子のドラマで“母の涙の物語”なんです。もちろん平和や戦争について考えてもらえたらとは思いますがメッセージを伝えるために映画をつくってはいません。

■吉永小百合
監督とご一緒に式典に参加して、長崎の方たちが平和に対して強い願いを持ってらっしゃることを感じることができました。若い方の中には広島や長崎で起こったことを知らない方が増えていると聞いています。若い方もぜひこの映画を見て、当時起こったことやこれからどんなふうに未来に向かって歩いていくのかを感じていただけたらこんなにうれしいことはございません。今回は、監督の情熱を一番感じました、鬼気迫るというか、ワンカットワンカットに心からの演出をなさっていて、私がそれに応えられずに、落ち込んだこともありましたが、そんな時に息子(二宮)が軽やかに演技をしてくださり助けられました。

■二宮和也
こういった題材について勉強する機会を与えていただき、それを体現することができました。自分が思うこと考える事は役を通して、映画に置いてきたつもりです。ぜひ、それを感じていただけたらと思います。撮影前日は、すごく緊張したのを覚えています。現場の空気が独特で、監督に紙とペンを渡されて「自分の名前を書いてごらん」と言われているような感覚でした。自分のいろいろな経験が邪魔をしてしまそうでしたが、全力で書きなぐるような気持ちで初日の現場に立たせてもらいました。

■黒木華
前向きに生きていく町子という役を演じられてとても本当にうれしく思います。早く皆さんに見ていただきたいと思います。「小さいおうち」では、見守る立場でしたが、今回はせりふも多く長崎弁でしたから苦労しました。監督の思いはすごく強く感じました。自分が若く、長崎や広島のことは、授業で勉強したくらいでしたので、今回、長崎の方や監督にたくさんお話しを聞いたおかげで役が少しずつできるようになりました。

■浅野忠信
山田監督と吉永さんとは「母べえ」でご一緒して、またこうして大切な役をやらせていただいてとても感謝しています。たくさん登場する役ではないのですが、この映画を通じて多くのものを学ばせていただきました。今回は“黒ちゃん”ですが、現場にいると(「母べえ」の)“山ちゃん”に戻ったような感覚になることもありました。僕は映画版の「父と暮せば」にも出ているで、いろいろなことが頭の中をぐるぐる回って不思議な経験をさせてもらいました。

映画は、仕上げ作業を経て、10月に完成し12月12日に公開される予定。

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インフォメーション

映画「母と暮せば」

【スタッフ】監督=山田洋次 音楽=坂本龍一
【キャスト】吉永小百合/二宮和也/黒木華/浅野忠信/加藤健一/広岡由里子/本田望結/小林稔侍/辻萬長/橋爪功

2015年12月12日(土)全国公開

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