白井晃が芸術監督に就任 KAAT神奈川芸術劇場2016年度ラインアップ発表会見 - 2016年1月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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KAAT2016会見 1 白井晃

▲ 白井晃

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KAAT神奈川芸術劇場の16年度ラインアップの発表会が、同劇場にて行われた。

初代芸術監督・宮本亜門の退任を受けて、白井晃が、14年4月よりアーティスティック・スーパーバイザー(芸術参与)として、運営に携わってきた同劇場。会見では、4月からは白井が芸術監督に就任することが発表に。白井は「近年、演劇という枠組みが崩壊しつつあり、音楽やダンス、現代美術などと互いに影響し合っいて非常に面白い状況だと感じています。この動きをより推進させたい」と意気込みを見せた。

また、「若いカンパニーやクリエイターとの作品づくり」「長期的なワークショップの充実」「各地の公共劇場との連携」「ベテラン演劇人も冒険ができる劇場」といった、さまざまな構想を意欲的に語った。

■白井晃
劇場に2年間通って、東京との微妙な距離感を感じました。遠いようでそう遠くもなく、近いといえばそう近くもないという微妙な距離。その距離感を利点に転化できるよう、東京とは一線を画した特色のある独特な劇場にできれば。そのためには先鋭的な作品づくりをし、皆さんに提示するのが大きな義務だと感じています。また、2020年に向けて、日本や東京がスポーツ的・文化的に盛り上がる中、この距離感を生かして、熱狂を冷静に見つめながら劇場ができることを考えていきたい。日本では、まだまだ芸術監督の職務は各劇場で違っていて未確定なところがあります。KAATの芸術監督とはどんなものなのか? まだまだ模索中ですが、いろいろと実践して、最終的に「この劇場の芸術監督とはこういうものだ」と言えるようになれればと思います。

ラインアップの幕開けを飾るのは、白井演出、長塚圭史台本、森山開次振付、早見あかり主演という顔合わせで送る『夢の劇−ドリーム・プレイ−』。6月には、中上健次の小説を原作とした、やなぎみわ演出・美術『日輪の翼』が上演される。同作は、やなぎがデザインを手掛けた移動舞台車を利用した、赤レンガ倉庫での野外劇だ。続いて、7月には岡田利規台本・演出で、キッズ・プログラムとして昨年上演された『わかったさんのクッキー』が再演される。

9月には、白井×山本耕史とのタッグにより、ブレヒト&ヴァイルの『マハゴニー市の興亡』を上演。9・10月には、昨年のイタリア・ヴェネチア・ビエンナーレで展示された、塩田千春のインスタレーション作品が、劇場内で展開される。同展期間中には、ダンサーの平原慎太郎、酒井幸菜らによるパフォーマンスも披露される予定だ。また、10月には首藤康之による「DEDICATED」シリーズの新作『ハムレット』が上演される。

12月にはホリプロとの共催で、楳図かずおの代表作「わたしは真悟」を舞台化。会見では、演出家の名は明かされなかったが、白井によると“海外の有名演出家”を迎えるとのことだ。同じく、12月には杉原邦生と松井周(サンプル)のタッグによる新作が上演される。

さらに、17年1月には彩の国さいたま芸術劇場との共同制作により、秋元松代作×蜷川幸雄演出の名作『近松心中物語−それは恋−』の再演が決定。そして、ラインアップを締めくくるのは、14年にまつもと市民芸術館で初演された串田和美の『K.テンペスト2017』に決まった。

■やなぎみわ(『日輪の翼』演出・美術)
移動舞台車(ステージトレーラー)は、台湾ではポピュラーなもので、今回使用する車は、日本の道交法に合うように改良し、オリジナルデザインのものを台湾に発注したものです。ホールでやるには、搬入エレベーターに乗るものではなかったので、野外劇として赤レンガ倉庫で上演することになりした(笑)。サーカス、ダンス、演劇の要素など、異ジャンルが混合した見たことのないものをお見せしたいと思います。

■塩田千春(「鍵のかかった部屋」展示)
この作品は、日常のアイデンティティーが崩れる中で、人間の心の中にある「自分とは何か?」という問いがあらためて問われる場、スペースに迷い込むような作品を考えています。また、平原慎太郎さん、酒井幸菜さんとのダンス&音楽コレボレーションも楽しみにしてください。

■首藤康之(DEDICATED『ハムレット』出演)
「舞踊が社会に対する奉仕である」という意識から、震災のあった11年の劇場オープンから始めたシリーズが「DEDICATED」で、今回は4回目となります。モーリス・ベジャールと一緒に仕事をした時、彼は「人間には4つの真実と絶対の概念があり、それは『1は生、2は愛、3は奉仕、4は死』だ」と語っていました。今回は、4=死をかけて“DEATH”をテーマにします。毎回、戯曲を取り入れているので、シェイクスピア没後400年でもありますし『ハムレット』を選びました。

■谷賢一(『わたしは真悟』台本)
小学生男女の愛により意識の芽生えた機械が、父と母を求めて旅をするという物語で、原作をご存知の方なら、どう芝居にしたらいいのか? なぜこれを題材にしたのか? と思うような、とても挑戦的な作品です。とてつもない混沌の中に、生まれたばかりの愛と意識がひたすら走っていく話で、混迷の状況に一本の美しいものがスッと引かれているような感じに惚れ込みました。これほどの執念をもって、これほどのテンションをキープして連載された作品があったのかと、作家の仕事とはこういうものなんだと思わされた作品です。楳図さんの作品の中でも、一番魂に近い作品だと思います。ようやく今日発表できたことをうれしく思います。

■杉原邦生(『新作(タイトル未定)』演出)
ラース・フォン・トリアーの「ドッグヴィル」という映画は、一つの集落に他者、異物が入ってきた時の、人間の集団心理と個々の人間の心の動きを描いています。演劇的な構造を映画に持ち込んでいて「演劇が映画に負けるんじゃないか」と衝撃を受けた作品です。こういう作品を演劇側からアプローチしたいと考えていたので、今回は「ドッグヴィル」からインスパイアされた作品をつくろうと思います。松井さんに脚本をお願いしたのは、彼の冷静で鋭く、ねちっこく人の本質を描く筆が、僕のつくりたい作品に合うと考えたからです。これから作品を詰めていきますが、刺激的な作品をお届けできたらと思います。

■串田和美(『K.テンペスト2017』演出・潤色・美術・出演)
僕はもっと遠い、長野県で芸術監督をしていますが、50年以上前には、こんなにも演劇が栄えるとは思っていませんでした。でも、良い時代になったなと思うと同時に、便利になった分、置き忘れたものがあるなと思います。“演劇が良いものだ”と、社会に認められた時に、忘れられたものを大切にするのが公共施設の役割ではと考えています。白井さんが、KAATで作品をつくる上で、そんな役割やスタンスを発揮してくれるのか興味があるし応援したいと思います。でも、公共施設の劇場は孤独なので(笑)、皆さんも白井さんを理解して応援してもらえたら。『K.テンペスト』は、14年に松本でつくりました。今回は、17年の『K.テンペスト』を、リクリエーションしようと思います。

インフォメーション

【KAAT神奈川芸術劇場 2016年度 主なラインアップ】

『夢の劇−ドリーム・プレイ−』

【スタッフ】原作=ヨハン・アウグスト・ストリンドベリ 構成・演出=白井晃 台本=長塚圭史 振付=森山開次
【キャスト】早見あかり/田中圭/江口のりこ/玉置玲央/那須佐代子/森山開次/山崎一/長塚圭史/白井晃 ほか
2016年4月12日(火)〜30日(土)
・会場=KAAT 神奈川芸術劇 ホール内 特設ステージ

やなぎみわステージトレーラープロジェクト『日輪の翼』

【スタッフ】原作=中上健次 脚本=山崎なし 演出・美術=やなぎみわ 音楽監督=巻上公一
2016年6月24日(金)〜26日(日)
・会場=横浜赤レンガ倉庫 イベント広場

KAATキッズ・プログラム2016『わかったさんのクッキー』

【スタッフ】原作=寺村輝夫(「わかったさんのクッキー」/あかね書房刊) 台本・演出=岡田利規 美術=金氏徹平 劇中歌作曲=前野健太
【キャスト】椎橋綾那/古屋隆太/山崎ルキノ/笠木泉/佐々木幸子
2016年7月中旬
・会場=KAAT 神奈川芸術劇場 中スタジオ、鎌倉、小田原
ほか全国11会場でのツアー公演あり

『マハゴニー市の興亡』

【スタッフ】原作=ベルトルト・ブレヒト 作曲=クルト・ヴァイル 構成・演出=白井晃
【キャスト】山本耕史 ほか
2016年9月9日(金)〜22日(木・祝)
・会場=KAAT神奈川芸術劇場 ホール

塩田千春展「鍵のかかった部屋」インスタレーション&ダンス・音楽プログラム

【スタッフ・キャスト】インスタレーション展示:塩田千春 ダンス・音楽プログラム:出演・振付=平原慎太郎/酒井幸菜 ほか
2016年9月14日(水)〜10月10日(月・祝)
・会場=KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ

DEDICATED2016『ハムレット』

2016年10月1日(土)・2日(日)
・会場=KAAT神奈川芸術劇場 ホール
【スタッフ】原作=W.シェイクスピア 振付=中村恩恵
【キャスト】首藤康之/中村恩恵 ほか

『わたしは真悟』

【スタッフ】原作=楳図かずお(「わたしは真悟」/小学館刊) 台本=谷賢一
2016年12月
・会場=KAAT神奈川芸術劇場 ホール

杉原邦生演出作品『新作(タイトル未定)』

【スタッフ】台本=松井周 演出・美術=杉原邦生
2016年12月
・会場=KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ

『近松心中物語−それは恋−』

【スタッフ】作=秋元松代 演出=蜷川幸雄
2017年1・2月
・会場=KAAT神奈川芸術劇場 ホール

『K.テンペスト2017』

【スタッフ】原作=W.シェイクスピア 翻訳=松岡和子 演出+潤色+美術:串田和美
2017年3月
・会場=KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ

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