“魔法”でたどる記憶の旅 ロベール・ルパージュの自叙伝的一人芝居『887』が開幕 - 2016年6月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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『887』開幕 1

▲ ロベール・ルパージュ

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ロベール・ルパージュの新作『887』が、本日、東京芸術劇場 プレイハウスにて開幕。その初日に先立って、一部シーンが公開された。

視覚的な仕掛けや最先端のテクノロジーによる美しい映像を駆使し、観客を魔法にかけるような“ルパージュ・マジック”と呼ばれる演出を生み出すルパージュ。彼が子どものころに住んでいたカナダ、ケベック・シティーのアパートの番地887をタイトルに冠した本作は、自身の“記憶”をたどる自叙伝的一人芝居だ。

ルパージュによると、この創作のきっかけは「ケベックにある集団記憶の問題」にあるという。「1950年代(生まれ)のアーティストには“果たしてわれわれの集団的記憶が正しいのか”という問いがあります。若い世代の人たちは60年代のことを忘れていますが、私たちの世代も意識的にその時代を忘れています。ですので記憶する努力が大切だと思っています」と語っている。

この日公開されたシーンは、本棚の前で、彼が子どものころの経験を語り始めるところから始まった。本棚の本を取り外すと、そこに人形サイズでつくられたアパートの部屋が。アルツハイマーを患った祖母との同居、そこから少しずつ家族の中に広がっていく波紋−−。ルパージュは、人形を使いながら自身の幼少期を振り返っていく。

この演出についてルパージュは「幼少期が題材ですので、“子どもの遊び”を手法として使いました。模型や小さい車のおもちゃ、人形など、どこかナイーブなところがあります。それが今回の公演全体の特徴だと思います。つまり、観客自身も自身が遊んだものから記憶を思い出すきっかけになるようにこれらを使ってみました」と明かしている。

そして、先ほどまで本棚だったセットはあっという間にアパートの外観へと変身。ミニチュアのタクシーが一台やって来る。カーラジオから流れてくる音楽を聴きながら、ルパージュは、家族を養うためにタクシーの運転手として深夜まで働いていた父親のことへと記憶をめぐらせていく……。

幼少期や思春期の記憶と向き合う作業の中で発見があったと話すルパージュ。「忘れていたことの中には、簡単に思い出せることがある一方で、重要にも関わらず自ら思い出すことを拒否していた記憶もありました。当時のアナログ写真をデジタル化し、拡大投影すると、タペストリーのテクスチャー、小さなオブジェの存在など、前には分からなかったデティールが見えてくる。50年前の写真を見て、“こんなことを自分が覚えているんだ”という驚きがありました」と創作過程を振り返った。

作品は、ケベックを取り巻く社会問題も浮き彫りにしていく。脚本も手がけているルパージュは「脚本を執筆する際に社会的、政治的な要素が入るであろうことは分かっていましたが、出発点は私個人の記憶。あまりに大きなテーマだけを作品の中で語ってしまうと、観客はうまく物語に入り込めないからです。最初にシンプルかつ平凡で日常的なことから語ることが、ある意味観客にとっての“扉”になるのではと思い、今回は私自身の記憶というパーソナルなことから物語を始めました」と語っている。

公開されたシーンのほかでは、最新のプロジェクション・マッピングを駆使した、彼ならではの演出も盛り込まれている。ルパージュ・マジックで魅せる数々の美しいイメージと、自身をさらけ出した人間味溢れる演技が融合した記憶への旅が舞台に立ち上がる。

公演は26日(日)まで。

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