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黒木華、片桐はいり、梶原善らを迎えた倉持裕作・演出の新作『お勢登場』が、10日より世田谷パブリックシアターにて上演中だ。
今回は、江戸川乱歩の多数の作品群の中から倉持が8本の短編小説を厳選。複雑な手法で編み上げ、一本の演劇作品として再構成した。乱歩作品の中の二大ジャンル「本格推理もの」「怪奇・幻想もの」の両方から選出された、それぞれの短編作品の世界がパラレルワールドのように展開。ミステリアスな女・お勢を軸に、次第に絡まり合っていく。
黒木が演じるのは、明智小五郎のライバルに仕立てようと江戸川乱歩が構想していたのを受け、倉持が膨らませたダークヒロイン・お勢。そのほか、片桐、梶原ら黒木以外の俳優は一人で複数の役を演じ、乱歩の描く人間の不可思議な多面性を浮かび上がらせる。
初日公演を終えた、倉持と黒木、片桐、梶原のコメントは以下の通り。
■倉持裕(作・演出)
『お勢登場』は、自分の得意技である構成力を発揮できた作品だと思っています。意外と「怖い」とおっしゃってくださるお客さまも多く、またコメディーの部分も笑っていただけたので、シリアスとコメディが良いバランスになっているのではないでしょうか。
俳優は皆さん、良いです。黒木華さんはお勢という悪女の色気を出して、芝居を引っ張っています。また片桐はいりさん、寺十吾さん、千葉雅子さん、そして梶原善さんというベテラン勢が、シリアスとコメディーの色分けをコントロールしながら物語の大枠を築いていて、そんな中で水田航生くん、川口覚くん、粕谷吉洋くんは、軽さとスピード感を与えてくれています。明日以降、さらに面白い芝居になると思います。
■黒木華
お客さまの前で上演して反応をいただくことであらためて「お勢は物語の中でこのようにつながって、変化していくんだな」と実感することができました。お勢は魅力的な女性で、彼女が登場するオープニングも演出がとても格好良いので、私もそれに合わせて見得を切っています。観てくださる方が思わずドキッとするような不思議な魅力をまとえるよう、お勢の悪い部分、可愛らしい部分などをこれから更に膨らませて、作品の芯としてのお勢の存在を大きくできたらと思っています。
■片桐はいり
最初に戯曲を読んだ時は、どうやってこれを上演するんだろうと思ったのですが、こんなに大変なことだったんだと今日あらためて感じました。やり残したことや、新たな問題がたくさん見えてきましたので、これから考えないといけません。人間がそれぞれ自分の裏側で隠していること、その多面性をお芝居の中で浮かび上がらせるようにできたらと思っています。まだまだやれるはずです。
■梶原善
こんなに登・退場の多い大変なお芝居は珍しく、初日をご覧になったお客さまにも“生”な感じを味わっていただけたのではないでしょうか。明日からはもっと“スムージー”に、芝居のドキドキ感をより高めていけたらと思います。この作品は、おかしみのある普通の人間たちが、お勢という記号に嵌って突き進んでいくというところに面白みがあると感じています。その倉持くんの戯曲の素晴らしさをお芝居でも十二分に発揮していますので、これから観に来てくださる方はどうぞお楽しみに。
公演は26日(日)まで。
なお、発売中の本誌「シアターガイド」3月号では倉持と黒木の対談を掲載している。公演と併せてこちらもチェックしていただきたい。
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