能の世界が“北村想版ファンタジーホラー”としてよみがえる 風間俊介主演『黒塚家の娘』が明日開幕 - 2017年5月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
サイト内検索
すべて|
公演名|
人名・劇団名|
劇場|
演劇ニュース
様々な条件で検索
こだわり検索
注目キーワード

演劇ニュース

このエントリーをはてなブックマークに追加
ニュースを購読する
『黒塚家の娘』開幕 1 渡辺えり(左)と趣里

▲ 渡辺えり(左)と趣里

ギャラリーで見る(全4枚)


北村想&シス・カンパニーが、近代日本文学へのリスペクトを込めてオリジナル戯曲を発表する「日本文学シアター」シリーズ。その第4弾『黒塚家の娘』が、明日12日(金)にシアタートラムにて開幕する。

太宰治の絶筆小説を題材にした『グッドバイ』(2013年)、夏目漱石の初期の名作を原作とした『草枕』(15年)、長谷川伸の股旅ものの傑作をモチーフにした『遊侠 沓掛時次郎』(16年)を上演してきた同シリーズ。今回は、近代文学の枠を超えて、モチーフに「能」を取り上げた。

題材となったのは、般若の面に人間の哀しさと恐ろしさを映し出す謡曲『黒塚』。北村がインスピレーションを得て、斬新で軽やかなタッチで紡ぎ合わせた。舞台は現代に、山伏は牧師に置き換え、森の奥深く、謎めいた母娘が暮らす屋敷での一夜が展開。“安達ヶ原の鬼婆伝説”に由来する能『黒塚』が、幽玄の世界を現代の人間の心に映す、“北村想版ファンタジーホラー”としてよみがえる。

出演は、風間俊介、趣里、高橋克実、渡辺えりという実力派4名。前3作から続投の演出・寺十吾とともに、新たな世界へと挑む。

主演・風間が演じる小洋手治(こようて・おさむ)は、キリスト教プロテスタントの若き牧師。もととなった能では、祈祷で鬼女を調伏するという熊野那智の山伏なのだが、本作では、手ひどい失恋のために放浪の旅に出てしまう“普通の青年”に。迷い込んだ森で出会った黒塚家の女性たちを相手に論じる宗教論や哲学に、見識の深さと閃きがにじみ出る役どころであり、追いかけてきた先輩牧師(高橋)との師弟愛にも似た関係も注目だ。

治が出会う黒塚家の娘・黒塚華南(くろつか・かな)を演じるのは趣里。彼女は「最初に台本をいただいた時、面白くて一気に読んでしまいました。そのとき感じたワクワク感や切なさの感覚は、今も変わっていません。この作品は、宗教や哲学を描いていて、男女の理解し合えない関係や女性の幸せについて考えさせられるところも多いのですが、どこかポップで決して重たくならないところがすてきです」とその魅力を語る。初日に向けて「今回、劇場に現われる森の中に、観客の皆さまも風間さんと一緒に迷い込み、意外なラストに共に向かっていただけるようなお芝居にできたらと思っています。楽しんでいただきたいです」と意気込んでいる。

治の先輩牧師である馬浜博士(ばはま・ひろし)を演じる高橋は「最初は、哲学や宗教論が出てくるし『おいおい大丈夫か?』と心配だったんですが、実際は、宣伝写真のイメージとは違って、こんなに笑うシーンがあっていいのかと思うほど」とコメント。「4人だけの出演者なのに稽古場が本当に濃くて楽しくて……。もともと能がモチーフで、その様式が戯曲にも演出にも生きているのが興味深いですし、“人ってそういうもの”という人間の真理が面白く分かりやすく描かれていると思います。人間は不完全だからこそ面白い……、と感じられる作品ですね」と仕上がりにも手応えを感じているようだ。

そして、華南の母・烏鷺(うろ)を演じる渡辺は「北村想さんは、私と同世代の演劇人。この作品は、どこか昔のアングラっぽい遊びの精神があって、不条理の匂いもする小劇場っぽい芝居です。それを、風間さんや趣里ちゃんのような若い方や、やはり小劇場出身の高橋さんとご一緒できることが、とってもうれしいです」と今回の舞台を喜ぶ。「ただ、演じる側にとっては、正解があるわけじゃないから、とても手ごわい台本で、演出の寺十さんと相談しながら探っていました。本番では、女性の哀しみや苦しみも感じられるような演技ができたらと思っています」と気を引き締めた。

公演は6月11日(日)まで。

この記事の写真

  • 『黒塚家の娘』開幕 1 渡辺えり(左)と趣里
  • 『黒塚家の娘』開幕 2 趣里(左)と渡辺えり
  • 『黒塚家の娘』開幕 3 左から、高橋克実、渡辺えり、趣里
  • 『黒塚家の娘』開幕 3 左から、渡辺えり、趣里、高橋克実

インフォメーション

関連サイト

トラックバック

この記事のトラックバックURL

http://www.theaterguide.co.jp/mt/mt-tb.cgi/9243