野村萬斎の演出で木下順二の名作が新たに立ち上がる 『子午線の祀り』が開幕 - 2017年7月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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世田谷パブリックシアター開場20周年記念公演『子午線の祀り』が、1日からのプレビュー公演を経て、5日に開幕した。

木下順二による本作は、「平家物語」を題材とし“天”の視点から人間たちの葛藤を描いたもの。平知盛や源義経をはじめとする源平合戦にかかわった登場人物たちを浮き彫りにし、心理描写も巧みに織り込んだ壮大な歴史だ。

1979年に、宇野重吉、観世榮夫、酒井誠、高瀬精一郎、木下順二らが名を連ね初演。日本語の“語り”の美しさと荘厳な響きを引き出す“群読”という独特な朗誦スタイルが随所に用いられ、その後も上演が重ねられる一作となった。

このたび、本作が自身の「創作テーマの原点」と語る、同劇場芸術監督・野村萬斎が初演出に取り組んだ。成河、河原崎國太郎、今井朋彦、村田雄浩、若村麻由美ら実力派メンバーたちとともに、新たに傑作がよみがえる。

初日を前にした萬斎らのコメントは以下の通り。

■野村萬斎(演出) 新中納言知盛(平知盛)役
『子午線の祀り』は古典と現代劇、古(いにしえ)と今、西洋化した現代日本と古き日本が結びつくような作品だと思います。タイトルは英訳すると『Requiem on the Great Meridian』になるのですが、今回の新演出では人間の死を悼む儀式、レクイエムということを考え、弔いのシーンから始めています。
また劇中、独白、対話、群読があり、対話以外は語りですが、がそれぞれソロとデュエット、コーラスという声のバリエーションになっていて、短調もあれば長調もあるという交響楽のような日本語の音楽性や、叙事詩としての魅力もあります。私自身も演じるのが3度目になる平知盛の、このアリアのようなセリフをきっちり語り、歌い上げたいと思っています。
プレビュー公演を経て、さらにいろいろなものが見えてきています。「平家物語」を題材にした壮大な作品ですので、万全を期して本公演初日に臨みます。本作の舞台となる一ノ谷、屋島、そして、壇の浦の合戦について少し思い出していただけたら、本作の楽しみ方が増えるかもしれません。そして開演直前から作品の世界へ導くような演出が始まりますので、お早目にご着席いただければ幸いです。世田谷パブリックシアターでお待ちしております。

■成河 九郎判官義経(源義経)役
義経という人物の“純粋さ”に僕は一番惹きつけられています。また「言葉に従事する表現」というものの奥深さと難しさを日々痛感しながら、自分の中でとても大きな化学変化が起きている気がしていまして、もう一段ステップアップできる機会だということを強く噛みしめています。
このような演劇を演じる方も観る方も一緒になって体験することは、人間が生きていく上でいろいろなことがある時に、人生というものを超えていくための、すごく優しい訓練の一つの形なのかなぁという気がしています。この作品を通して、演劇は何のためにあるのかを改めて考えたり、発見させてもらえたり、それがとてもありがたい毎日です。

■河原崎國太郎 大臣殿宗盛(平宗盛)役
いよいよ始まる本公演初日に向かって、楽しみな気持ちが出てきました。プレビュー公演の初日は、どのように受け取っていただけるのかという不安もある中で迎えたのですが、お客さまの反応を直に感じてひとつの確信を持つことができました。
『子午線の祀り』という作品の持つ力、言葉の力は素晴らしいですが、世田谷パブリックシアターという劇場空間も今回、作品にぴったりと合っていると思います。その中で、平宗盛を体現していく一役者としての自分と、平宗盛としての自分との両方を舞台の上で感じながら、良い本公演の初日を迎えられればと思っています。

■今井朋彦 梶原平三景時役
よく言われますが、芝居の最後のピースは“お客さま”です。いくら稽古場で本番を想定して稽古をしていても、実際には最後にお客さまが入って分かることがあります。その気づきをどう生かし、千穐楽までこの作品を進化させる力になれるかを考えている……今はそんな心境でございます。
源平の戦いを描いたドラマに“群読”という特殊なスタイルが入る、一筋縄ではいかない魅力を持つ作品です。本当は自分の役を一度だけ誰かに預けて、客席から完成した作品を観てみたい! という想いに駆られているのですが、「いけないいけない、自分には役割があった」と思い直し(笑)、日々演じています。

■村田雄浩 阿波民部重能役
私が演じる四国の豪族・民部は人間の機微や裏表というものを深く深く持っている、やりがいのある役だとあらためて感じます。純粋に知盛との主従関係をまっとうする気持ちがありながらも自分の主張があり、知盛や平家に及ぼす影響もわかっていながら画策めいたことをしてみたり。やればやるほどいろいろなふうに見えてきます。萬斎さん演じる知盛とがっぷり四つに組む芝居が多いので、プレビューを経て、お互いにどんどん高まっていく感じがします。
それにしても『子午線の祀り』は大変な、すごい作品です。ここ数日でもどんどんと進化しているこの芝居、戯曲、群読というものを更に突き詰めていきたいと思います。

■若村麻由美 影身の内侍役
原典「平家物語」の“諸行無常”を『子午線の祀り』では“非情の相”と読み取りましたがその深遠さを思い知りました。古典に根ざしてジャンルを超えた演出家ならではの新演出は、群読とフォーメーションをジャンルの異なる演劇人が、デジタル時代にチーム一丸人力戦で挑戦します。それは木下順二の「非情の相を見定めよ」を未来に繋ぐことだと感じました。
影身の内侍は巫女。未来を知り天の言葉を伝える役目。体現するのに苦しみましたが劇場空間に入って「彼岸と此岸、更にその彼岸」の構造がよくわかり、美術・照明・音楽に支えられ、プレビューの一瞬一瞬が驚くほど新鮮でした。それはキャスト全員が生き抜く様を見守る立場だからかもしれません。

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