黒沢清監督「力強い迷いのない映画になった」 前川知大原作「散歩する侵略者」完成披露上映会 - 2017年8月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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映画「散歩する侵略者」完成披露 1 後列左から、光石研、満島真之介、前田敦子、児嶋一哉、前列左から、前川知大、恒松祐里、長谷川博己、長澤まさみ、松田龍平、高杉真宙、黒沢清

▲ 後列左から、光石研、満島真之介、前田敦子、児嶋一哉、前列左から、前川知大、恒松祐里、長谷川博己、長澤まさみ、松田龍平、高杉真宙、黒沢清

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前川知大率いる「イキウメ」の代表作が、黒沢清監督により映画化。映画「散歩する侵略者」の完成披露上映会が、9月9日(土)の公開に先駆けて都内で行われ、黒沢監督と前川をはじめ、キャストたちが登壇した。

原作となった舞台作品は、2005年の初演から上演が重ねられるほか、小説版も出版されたイキウメの人気作。物語は、不仲だった夫・加瀬真治が、数日間の行方不明の後、まるで別人のようになって帰って来るところから始まる。急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う妻・鳴海をよそに、真治は会社を辞め、何事もなかったかのように毎日散歩に出かけていくのだが……。

夫が“侵略者”に乗っ取られて帰ってくるという大胆なアイデアをもとに、日常が異変に巻き込まれていく世界の中で、サスペンス、アクション、ラブストーリーなど、一つのジャンルには収まらない新たな黒沢流のエンターテインメント作品に仕上げられてる。

上映を前に、キャストたちはそれぞれに感謝のあいさつを述べると、前川は「この作品は12年前に、新宿の地下にある100人くらいしか入らない劇場で初演したんですが、それがここまで多くのお客さんの前で上映されることにすごく喜んでいます」と感慨深い表情。今回の映像化には「ストーリーは原作通りなんですが、映像でしか表現できないものにこだわっていて、僕も見ていてびっくりしました」と語った。

黒沢監督は「映画を簡単に整理すると、この中(登場人物)に“侵略者”と侵略されてしまう“犠牲者”、そして、侵略者の手先になる“ガイド”がいるんです。誰が侵略者で、誰がガイドで、誰が犠牲者なのか? 楽しみにしてください」とこれから鑑賞する観客に向けて解説。第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品もされたことを振り返り「好意的に受け止めてもらえた。エンターテイメントとしてつくったつもりでしたが、いろいろな意味を読み取ってくれて、真剣に見ていただけた」と現地カンヌでの反応に手応えを感じたようだ。

鳴海役・長澤まさみは「鳴海は、作品の大半が怒っている。怒る感情はエネルギーが必要で、精神的にも肉体的にも疲れて、不思議な感覚にとらわれました」と話すと、そのエネルギーを受ける役どころとなる夫・真治役の松田龍平は「長澤さんのエネルギーだけが“ともしび”でした。(自分の)エネルギーがなかったので(会場笑)、ひたすら長澤さんだけを見て演じてたんですが、本当に怖くて(笑)。撮影の初めのころは、“なんで怒っているだろう?”という気持ちになるくらいで、そこが宇宙人とリンクしました」と振り返った。

一家惨殺事件や奇妙な現象が頻発する町を取材するジャーナリスト・桜井を演じる長谷川博己は「僕が大変だったことは言ってしまうと、ネタバレになってしまうので……」と困った様子だったが、「用意された衣裳のサングラスがハマるものがなくて、自前の買ったばかりのサングラスを使うことになったのですが、結構なアクションシーンでボロボロになってしまって(笑)」とエピソードを披露した。

桜井とともに事件を追う謎の青年・天野を演じる高杉真宙は「“侵略者”といわれてもピンとこないかもしれないけど、どこか違和感を感じてもらえたら」とメッセージを送ると、惨殺事件のカギを握る女子高生・立花あきらを演じる恒松祐里は「冒頭のシーンで衝撃的なことをやっているので楽しみにしてください」とアピール。また「侵略者の中でもアクション担当だったので、たくさん身体を動かして頑張りました」と笑顔を見せた。

侵略者たちは会話をした相手から、「家族」や「仕事」「所有」「自分」といった、その人が大切にしている“概念”を奪っていくという独特な設定。それらの概念が失われることで、世界は静かに終わりに向かっていくというストーリーだ。

「自分が侵略者だったら、キャストのどんな概念を奪う?」という難問には、引きこもりの青年・丸尾を演じた満島真之介が「松田龍平さんの“落ち着き”を奪いたい。すごくナイーブで繊細で、何を考えてるのかあまり表に出てこないけど、僕は全部バレてしまってウソがつけない。それに、落ち着きを取った龍平さんを見てみたい」と回答した。

これに戸惑いながら松田は「ある意味では損。実は心の中では大忙しで、それが伝わらないから、それはそれで大変」と応える。満島が「足して2で割るのが一番いいんですけどね。撮影は真夏で僕らのシーンは36℃くらいあったのに、革ジャン着ててもすんごい涼しそう。俺は大汗かいてるのに」と松田のモノマネを交えながら朗らかに話しかけると、松田は「たぶんタイプが違い過ぎて絡みづらい……。苦手ですね」と苦笑いで会場から笑いが起こる場面も。

鳴海の妹・明日美を演じた前田敦子は「児嶋さんの名前」と、車田刑事役・児嶋一哉の、“名前間違い”のおなじみのやり取りに触れると、児嶋は「仕事なくなるわ! 『児嶋だよ!』って言えないんでしょ。それでご飯食べてるのに」とツッコミ。一方、児嶋は「じゃあ、僕はあっちゃんのあのギャグ。『私のことは嫌いになってもAKBのことは嫌いにならないで』っていうの」と切り返すと、前田は「あれギャグじゃないです。本気で言ったやつですよ(笑)」と笑いあっていた。

鳴海の取引先の会社社長・鈴木を演じる光石研は「久しぶりに満島君に会ったらとても男前になっていたので、満島君のイケメンかな」とコメント。初の黒沢作品への参加には「ものすごく興奮しました」と喜んでいた。

最後に黒沢は「7〜8年前でしょうか、前川さんの原作に出会って衝撃を受けて、このすごさをなんとか映像化したいと思いましたが、実際にどうやって映像化すればいいのか? どう映画に置き換えられるのか? 相当悩みました。試行錯誤の連続でした。素晴らしいスタッフと、ここにいらっしゃる第一線の俳優に協力していただいて、1カット1カット悩みながら撮ったんですが、最終的には、悩みから開放されて、ある種明快な、力強いすっきりした迷いのない映画になったと思っています。見ていると、多少迷われたり、試行錯誤されたりするかもしれません。でも、最後には迷いのない、ある確信が待っていますので、それが何なのかご自分の目で確かめてください」と熱く語り、会見を締めくくった。

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  • 映画「散歩する侵略者」完成披露 1 後列左から、光石研、満島真之介、前田敦子、児嶋一哉、前列左から、前川知大、恒松祐里、長谷川博己、長澤まさみ、松田龍平、高杉真宙、黒沢清
  • 映画「散歩する侵略者」完成披露 2 長澤まさみ
  • 映画「散歩する侵略者」完成披露 3 松田龍平
  • 映画「散歩する侵略者」完成披露 4 長谷川博己
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映画「散歩する侵略者」

【スタッフ】監督=黒沢清 原作=前川知大『散歩する侵略者』 脚本=田中幸子/黒沢清
【キャスト】長澤まさみ/松田龍平/高杉真宙/恒松祐里/前田敦子/満島真之介/児嶋一哉/光石研/東出昌大/小泉今日子/笹野高史/長谷川博己

2017年9月9日(土)公開
・配給=松竹/日活

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