中村吉右衛門が語る『秀山祭九月大歌舞伎』 - 2017年9月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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『秀山祭九月大歌舞伎』中村吉右衛門

▲ 中村吉右衛門


9月1日に幕を開けた歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎』。名優と謳われた初代中村吉右衛門の芸を継承するため、初代の俳号を冠して始まった「秀山祭」も今年で10回目の節目を迎える。一座を率いる当代吉右衛門が、公演を前に思いを語った。

実の祖父である初代の「芸、演出の良さを伝えたい」との一心で回を重ねてきたという吉右衛門。今回は昼の部で『極付 幡随長兵衛(きわめつき ばんずいちょうべえ)』、夜の部で『ひらかな盛衰記─逆櫓(さかろ)』に主演するほか、夜の部の『再桜遇清水(さいかいざくらみそめのきよみず)』では〈松貫四〉のペンネームで脚本を手がけ、監修をつとめる。

『極付〜』の主人公長兵衛は、罠と知りながら敵方に丸腰で出向くハードボイルドな男の中の男。河竹黙阿弥の名ぜりふが聴きもので、「歌い上げるような啖呵をお客様の心を打つように言うのが難しい」という。子役として初代と共演した際には、親子の別れの場面で「初代が本当に涙を流すので涙も唾もかかってイヤだった」と笑いつつ、「お客様がグッと集中して観ていらっしゃった。自分の長兵衛が“極付”になれば」との思いで臨んでいるという。

『逆櫓』は主君の仇を討つため船頭に身をやつした武将の物語。幼き日、同作で初舞台を踏むはずだったが、主人公樋口を演じた初代の血だらけの顔が怖くて泣きやまず、なんと初舞台はとりやめに。「前代未聞の話(笑)。よくここまでやってこられた」と感慨深く振り返りながら、「タイムマシンで江戸時代にやって来たとお客様を錯覚させたい」と語り、「江戸の香り」を醸し出すことに力を注ぐ。

1985年、四国・金丸座でのこんぴら歌舞伎のために自ら脚本を手がけ主演した『再桜〜』は、破戒僧の汚名を着せられた主人公の執念を描く奇想天外な物語。今回は市川染五郎が二役を早替わりでつとめ、「染五郎くんは早替わりが得手。破戒していく清玄、奴浪平の忠義をお客様の心に届けてほしい」と期待を寄せる。

現在の歌舞伎界を牽引する名優のひとりであり、人間国宝として次世代に芸を伝えていく立場だが、「技術は継げても〈気持ち〉を教えるのは本当に大変。自分でやるほうが楽」と苦笑い。だが「初代が手がけた役はまだまだある。その芸を伝えること、江戸の文化、香りを伝えることを天職、天命だと思ってこれからも命をかけてやっていきたい」と、ひときわ力を込めて語った。公演は9月25日(月)まで。

(取材・写真=市川安紀)

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