日韓キャストの濃密な稽古が進行中 浦井健治主演×ヤン・ジョンウン演出『ペール・ギュント』製作発表会 - 2017年10月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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『ペール・ギュント』会見 1  後列左から、浅野雅博、趣里、ユン・ダギョン、マルシア、キム・デジン、前列左から、ヤン・ジョンウン、浦井健治

▲ 後列左から、浅野雅博、趣里、ユン・ダギョン、マルシア、キム・デジン、前列左から、ヤン・ジョンウン、浦井健治

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『ペール・ギュント』会見 10 ヤン・ジョンウン(左)と浦井健治

▲ ヤン・ジョンウン(左)と浦井健治

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世田谷パブリックシアター20周年記念公演として、韓国の気鋭演出家ヤン・ジョンウンの演出と、浦井健治の主演によりイプセン作『ペール・ギュント』が上演。本作の製作発表会が、24日に行われた。

サイモン・マクバーニー演出『エレファント・バニッシュ』『春琴』やジョセフ・ナジ演出『遊*ASOBU』、ロベール・ルパージュ演出『アンデルセン・プロジェクト』など、国際的なアーティストの作品を発信してきた同劇場。20周年という節目の年を迎えた今年は、ロンドン、バービカン・センターやシェイクスピア・グローブ座の招聘公演や、平昌冬季オリンピック開・閉会式総合演出を務めるジョンウンを迎え、自由奔放な青年ペールがたどる数奇な生涯を描いたイプセンの戯曲『ペール・ギュント』を送る。

浦井をはじめ、趣里やマルシアなど日本人キャスト15名に加え、韓国キャスト5名が参戦する本作。稽古は始まって1週間ほどだというが、ワークショップでたっぷりと交流を重ねているようで、日韓お互いの俳優の印象は「本当に思った以上に心開いてくれる」(キム・デジン)、「とても柔らかく繊細で深みがある」(ユン・ダギョン)、「強く巨大なエネルギーを持っていて、自分が小さく見えるくらい」(マルシア)、「本当に優しくてピースフル。私も韓国をもっと知りたいし、いろいろな意欲を掻き立ててくれる」(趣里)、「芝居に対して追求・探求するパワーは底が分からないくらい」(浅野雅博)と熱く語り、カンパニーの濃密なムードが垣間見える。また、浦井は「愛とエネルギーに満ちていて興味に純粋。数日前に、韓国キャストの男性陣がメイド喫茶に行ったらしくて、ずっと『ラブラブキュン』って言ってました(笑)。で、『かわいかった?』って聞いたら、『そうでもない』と(笑)。ああ、素直だなって思いました(笑)」と明かし、メンバーが和やかに笑い合う一幕もあった。

■ヤン・ジョンウン(演出)
2014年の冬に初めて打診を受けて、2015年に浦井さんの『トロイラスとクレシダ』を拝見してからこの“旅路”は始まりました。それから、毎月、日本を訪問してきましたが、日本のスタッフはクリエイティブでいろいろなアイデアを出してくれて、楽しく作業でき、初めて好きになった恋人とデートするようです。
稽古は始まっていますが、今日、皆さんの前に立ってようやく始まったと実感しました。皆さんのエネルギーを受けて、頑張ろうと気合が入っています。世間的にはアジア周辺国家の情勢はあまりよくない時、ありがちな言い方かもしれませんが、こうしていろいろな国の人が集まってできるのは、演劇という文化だからこそ成し遂げられること。稽古場では、役者とスタッフが作業しながら、人間にボーダーはなく、みんな普遍的で近いものなんだと強く感じています。
役者の皆さんとは1週間くらいの稽古ですが、すでに1年以上一緒にいるようで、カンパニーは、劇団「ペール・ギュント」とも言えます。初めての出会いというものは、不安が必ずあるものだけど、浦井さんをはじめとする、ポジティブなエネルギーに開かれて、この旅路がどこにたどり着くのか、私もワクワクしてるところ。マルシアさんは、必ず稽古終わりに「愛してる」って言ってくれるんですが(笑)、そうして、みんなでアンサンブルをつくり上げることが、私の目指す演劇なんです。
われわれの芝居はとてもイメージ的で、言語と美術・照明・ビジュアルが、すべてが融合した表現になるでしょう。イプセンは、この作品を“喜劇”と表現していますが、このプロダクションを通して、皆さんに、人生の中で生きて死んでいくことへの問いかけを提示できたら。これまでの稽古では、役者の皆さんに、自分の内面に秘めるものを話してもらいました。イプセンの哲学的テーマであり、私のテーマであるのは「自分をさらしていく旅路」。ペールが自分を探す旅を通して、現代人が混乱の中から自分を見つける旅をつくり、そういったものが観客にとっても多義的にオーバーラップする出会いの場になればと思っています。
浦井健治さんは、遊び心があるし、スマートだし、ポイントを良くつかむ人。直感的で即興的で、心で経験する人。そして、私の思うペール・ギュントはそういう人。彼はペール・ギュントのドッペルゲンガーです(笑)。

■浦井健治
稽古は1週間くらいなのですが、とにかくエネルギーに満ちています。ヤンさんがおっしゃった、“ボーダーを超える”ことが、いろいろなところで巻き起こってます。みんなは常に笑顔で、つらい思い出や、人生で大変だったことを惜しげもなく、涙ながらに披露する。そんな、オープンマインドな稽古場で、マルシアさんは必ず「愛してるよ」って言ってくれるし(笑)、家族のような劇団「ペール・ギュント」のみんなで、船旅に漕ぎ始めています。この船旅が、どこかの新大陸か理想郷に着く、千秋楽の日には、国を飛び越えて、人間における一番大切なものや、ワンシーンワンシーンのさまざまなメッセージが、お客さま一人ひとりに届くと思います。
稽古場では、1日8時間くらい稽古をしているんですが、頭がヘロヘロになった時には、瞑想の時間があったり、カラーセラピーとかも提示してくれて、稽古というよりも“プレイ”“遊び”に近い感覚でもあり、修行のようでもあり、濃度の濃い時間なんです。男女の差や人間のエゴ、宗教、政治、自分の秘めるもの、成長、親子愛、無償の愛とか、それぞれのシーンで、十人十色の感想を持ち帰ってもらって、もしかしたら10年後に「ああ、そういうシーンだったのか」と思ってもらえるような、イメージ的なシーンが散りばめられていて、役者としては大変です。でも、先ほどヘアメイクの方に「エネルギーが満ちていて、絶対そのエネルギーは届くよね」と言っていただきました。きっとお客さまに伝わるようにと精進していきます。

■趣里
昨年の夏に、ヤンさんのワークショップを受けて、自分自身と向き合い、相手を見て共有する時間を持てたことを実感して、そのワークショップが自分の中に残っていたので、出演できたらいいなと思っていました。今回、本当に今日のこの日を迎えられて、うれしい気持ちでいっぱいです。
稽古は本当に濃密で、1分1秒が身体に刻まれるようです。言葉の違いを感じさせない、この世に生まれた人間として一緒にいるんだという感覚。みんなで話し合い、時間を共有して、いろいろな角度から物事や世界を見せてくれる、充実した幸せな時間を過ごしています。期待とワクワクに稽古場は包まれて、みんなのエネルギーが、お客さんに伝わると同時に、お客さんも一緒に自分探しの旅に参加するような空気を、劇場でつくりあげられるのではないでしょうか。1日1日、「愛してる」という気持ちで(笑)、まじめに真摯にポジティブに感謝して進みたいと思います。

■浅野雅博
皆さん、同じ舞台に韓国語を喋る人と、日本語を喋る人が出て来るのは、どうするかと思われるでしょう。私も稽古場に入るまで、言葉の壁を心配してたんです。ですが、それは杞憂に終わりました。僕らのほかにも個性豊かな俳優たちがいて、生演奏も稽古から入って、とてもぜいたくな現場。それに、韓国の人は「みんなこんなに愛に溢れてるのか!?」と驚くほどで、それに引っ張られて、言葉の壁や国境なんて、芸術は簡単に超えて消しちゃうものだと目の当たりにしているところです。
ヤンさんは、こんなにニコニコしてるけど、とっても熱いマグマのようなものがふつふつと燃えてる人。劇中のあるシーンで、人間は一回溶かされて母体になって出て来るというものがあるのですが、まさに僕らは集められて、一度ヤンさんのグツグツと煮えたぎる鍋で形づくられてるところです。
稽古はまだ1週間なのに、早く自分が客席で観たい思う芝居はあまりありません。世田谷パブリックシアターではクリスマスまで、兵庫では大晦日まで、楽しみと苦しさを分かち合って、最後にはワー!っとバンザイして終わりたいですね。

■キム・デジン
このようなすてきな作品、素晴らしい演出家・役者の場に入れてもらえて感謝しています。『ペール・ギュント』は私にとって4回目。最初は2009年の新国立劇場で、その後にオーストラリア、韓国でもやらせてもらいました。一度やった作品を、繰り返しやるのは個人的にはすごく大変です。何か新しいものをつくりたいと思ってしまうし、同じことをやりたくないのが、役者の心理ですから。それに、新しいことへの挑戦は、ドキドキや期待感、怖さがあるもの。まだ稽古は1週間だけど、信頼感や芝居のアンサンブルは、すでに1カ月くらいは稽古したのではと思うほどです。ただ、楽しいけど集中力とエネルギーがすごく必要です。おととい、宿に帰る前に韓国の役者で肉を買いました。肉が心から欲しくなるくらいに疲れ果てたということです(笑)。こういう素晴らしい環境に出会えることは、そうそうないものですから、個人的な抱負としては、千秋楽までここに“存在”したいです。一生懸命頑張ります。

■ユン・ダギョン
日本は、私にとても大きな影響を与えてくれました。両親は1930年代の生まれで、父は日本と事業をしていました。そのため小さいころから、父親の日本語を聞いていたし、母方の祖母は日本式の家に住んでいましたし、姉は日本の文化を勉強していて日本で暮らしていました。家族の歴史だけでなく、成長の過程で、日本の漫画、音楽、文化、ドラマ、映画など、あらゆるものが私に影響を与えてくれました。好きなドラマを見ながら、あの役者さんたちと仕事したいと夢見ていたので、今回、その夢がかないました。今ここにいれて本当に幸せです。
これまで、私の知っていた日本語は4つだけ。「ありがとうございます」「すいません」「おやすみなさい」「こんにちは」。ここに来て「愛してる」を知りました(笑)。こうして、日本のアーティストと作業して、言葉が通じなくても、お互いに心で感じ合えることが、こんなに自分を豊かにしてくれるんだと実感しています。頭の中にある言語の認識を超えて、その“人”を感じられることは、すごいことだなと思い、私の今までの芸術・演劇活動は、ここで出会うためだったのではと思うほど、一瞬一瞬が美しく感動的です。
舞台に立つためのすべての過程を通して、自分自身がどれだけ大事な人間かを再認識させてくれました。皆さんの接し方から「こんなに愛されてるんだ」と感じたのです。いつも自分には、何か足りないと感じていたんですが、今日この瞬間に立てるようにバックアップしてくれたことへの感謝を、頭で考える以上に、心から感じるようになりました。
1週間の稽古ですが、古くからの友人がそれぞれにどこかで遊んでいたのが、今、同じグランドに集まっているようです。年齢、男女、国境を超えて、人生で感じたあらゆる経験を−それが痛みであっても、幸せであっても、自分の卑怯さであっても−お互いにあけっぴろげにして見せ合っていて、それはとても奇跡的なこと。そして、それを誰も非難しないんです。ただ相手を感じて、痛みを共感して、互いに包み込んで、笑い踊ります。今まで生きてきて、これほど他人の話に耳を傾けたことがあったろうか、これほど胸の内にあったことを人に伝えたことがあったろうかと、一瞬一瞬、マジックを感じています。
私は、今、“いろいろな人生を経験した子供”のよう。何かが足りなくても、美しくなくとも、不完全さを見せても、仲間たちが支えてくれるんだと信頼しています。われわれが体験している一瞬一瞬の出会いや涙、笑顔を上手に育めたら、お客さん一人ひとりも、お互いの人生の祝福して、分かち合えるでしょう。そんな美しい世の中に変わるための一歩を増やして、それがバタフライエフェクトになって、あらゆるところに伝わることを願います。

■マルシア
国境、言葉すべてを超えた舞台がすでに始まっている、すごいワークショップで、毎日、筋肉痛です(笑)。でも、それが『ペール・ギュント』の世界。自分の細胞が生きていることを確認している8時間の稽古です。8時間ですよ! 信じられないでしょ!?(会場笑) ワークショップは今までやったことのないようなもので、自分を裸にしないと出来ない表現を求められる。魂から生きるというか、自分の中にある自分を出す作業を、今、しているところで、それが気持ちよくなってきています(笑)。
芸術的な舞台だけど、皆さんにはあらゆる想像をして、あらゆる役に共感してもらいたい。筋肉痛を想像してもらてもいいし(笑)。ペール・ギュントの母親役で、私には娘がいるけど、男の子の親になったことがないし、それにこんなかわいい子が息子だなんて(笑)、男の子の母親を想像して最高の時間になるでしょう。
語りたいことは山ほどあるけど、ぜひ観に来ていただきたい。素晴らしい旅を見せるつもりです。遊園地に来るように、いろいろな体験してもらえると思います。愛してる〜(笑)。

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  • 『ペール・ギュント』会見 1  後列左から、浅野雅博、趣里、ユン・ダギョン、マルシア、キム・デジン、前列左から、ヤン・ジョンウン、浦井健治
  • 『ペール・ギュント』会見 2 ヤン・ジョンウン
  • 『ペール・ギュント』会見 3 浦井健治
  • 『ペール・ギュント』会見 4 趣里
  • 『ペール・ギュント』会見 5 浅野雅博
  • 『ペール・ギュント』会見 6 キム・デジン
  • 『ペール・ギュント』会見 7 ユン・ダギョン
  • 『ペール・ギュント』会見 8 マルシア
  • 『ペール・ギュント』会見 9 左から、趣里、浦井健治(奥)、ユン・ダギョン、マルシア
  • 『ペール・ギュント』会見 10 ヤン・ジョンウン(左)と浦井健治
  • 韓国版『ペール・ギュント』1
  • 韓国版『ペール・ギュント』2
  • 韓国版『ペール・ギュント』3
  • 韓国版『ペール・ギュント』4

インフォメーション

『ペール・ギュント』

【スタッフ】原作=ヘンリック・イプセン 翻訳=クァク・ボクロク 上演台本・演出=ヤン・ジョンウン
【キャスト】浦井健治/趣里/万里紗/莉奈/梅村綾子/辻田暁/岡崎さつき/浅野雅博/石橋徹郎/碓井将大/古河耕史/いわいのふ健/今津雅晴/チョウ・ヨンホ/キム・デジン/イ・ファジョン/キム・ボムジン/ソ・ドンオ/ユン・ダギョン/マルシア

2017年12月6日(水)〜24日(日)
・会場=世田谷パブリックシアター
・チケット発売中
・料金=全席指定 S席(1・2階)8,800円/A席(3階)5,400円、高校生以下・U24 S席4,400円/A席2,700円
*プレビュー公演(12月6日)S席(1・2階)7,300円/A席(3階)4,400円、高校生以下・U24 S席3,650円/A席2,200円

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