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ヤン ジョンウン演出×浦井健治主演の世田谷パブリックシアター20周年記念公演『ペール・ギュント』が、8日より上演中だ。
サイモン・マクバーニー演出『エレファント・バニッシュ』『春琴』やジョセフ・ナジ演出『遊*ASOBU』、ロベール・ルパージュ演出『アンデルセン・プロジェクト』など、国際的なアーティストの作品を発信してきた同劇場。20周年という節目の年を迎えた今年は、ロンドン、バービカン・センターやシェイクスピア・グローブ座の招聘公演や、平昌冬季オリンピック開・閉会式総合演出を務める韓国の気鋭演出家ヤン ジョンウンを迎えた。
自由奔放な青年ペールがたどる数奇な生涯を描いたイプセンの戯曲『ペール・ギュント』。生演奏や歌、ダンスに彩られた祝祭的な魅力を盛り込み、150年前に生まれた物語が新たに立ち上げられている。
初日を迎えた、ジョンウン、浦井らのコメントは以下の通り。
■ヤン ジョンウン 上演台本・演出
“生きる”ということは“祝祭”であり、同時に“気づき”でもある。このようなメッセージを含んでいる『ペール・ギュント』という作品を、多くの人に観に来ていただいて、感じて、楽しんでいただきたいと思っています。私自身、(09年・12年の韓国版を経て)再びペールの旅路に戻ってくることができてすごく幸せです。リターン・トゥ・ジャーニー(Return to Journey)という言葉がありますが、この“帰ってきた旅路”で私は感動、幸せ、発見、自覚、気づきや成長を得ることができました。
まるで子どものように純粋で、美しく、ユニークな想像力を持つ、ペール役の浦井さんをはじめ、日本と韓国の出演者の皆さんは愛に満ちていて、オープンで、未知の世界への旅路をためらわない勇気があります。この『ペール・ギュント』の旅路を楽しむことを知っている方々ばかりなので、一緒に作品をつくることができてとても光栄で幸せです。世田谷パブリックシアターの『ペール・ギュント』を心より愛してます!
■浦井健治 ペール・ギュント役
ヤンさんが泣いて喜んでくれたのが、僕にとっての何よりの表彰状です。日韓合同で時間をかけてつくってきて、ヤンさんが見たかったものを初日に持ってくることができた。お客様のエネルギーを僕たちが共有することで生まれた化学反応なのか、それが“演劇”であり、そういう奇跡が初日に起きたことがうれしかったです。
『ペール・ギュント』は、イプセンが「上演に適していない」と言った通りとてもスリリングな作品ですが、ヤンさんの抽象的な表現がこの作品にとてもリンクしていて、僕もヤンさんが授けてくれた翼のおかげで、ペールなのか、浦井なのかという、演じることの境界を心地良く行き来できる役に出会えました。これから年末の兵庫公演まで、毎日を楽しんで過ごせるような良い船旅ができたらなと思っています。
■趣里 ソールヴェイ役(ペールの恋人)ほか
この作品は、まるでおもちゃ箱やびっくり箱、またはルービックキューブみたいに、シーンが変わるごとにヤンさんの演出によって、いろいろな面が飛び出てきて、深さと楽しさの両方を持っている作品だと思います。ペールがその中を走るジェットコースターのように旅をしているのだとすれば、その間、ソールヴェイにもいろいろな心の旅があって、心の中で自分自身と戦って自分を探している。そういう強さのある女性だと感じています。
韓国の方々がこのカンパニーにいることでみんなオープンになって、日本にいながらにして海外にいるような楽しさがあります。今日このメンバーで、無事に初日を迎えられてとにかくホッとしています。
■ユン ダギョン 緑衣の女役 ほか
エンディングで、涙が出てきました。10月に来日して皆と出会ってきたこれまでのすべての旅路が思い浮かんできて、それをまるで祝祭のように、お客様と一緒にこの作品で分かち合えたことがすごくうれしかったです。日本や韓国という国境を越えてキャスト、スタッフがひとつになってお互いを気遣い、励まし合いながら頑張っている今の過程が幸せです。
お客様のエネルギーは、まるで母親のような広い懐で私たちを包み込んでくださっていて、それが感じられたことも感動的でした。明日からもお客様の前で、母親の前で自由に遊ぶ子どものように、思いっきり遊びまわります。私の家族、友達と一緒に。仲間たちと一緒に。
■マルシア オーセ役(ペールの母)ほか
母親というのは偉大な存在で、私も今、オーセを演じていて自分の母親を思い出します。やっぱり、女神ですよね。どんなにとんでもない息子がいてもやっぱり親は親、子供は子っていう、この愛の絆。幸い浦井さんという素晴らしい俳優が私の息子であることで、本当に日々、愛が増えていく一方です。そして最後は最大の愛で、ペールを含めてステージにいる人、お客様、すべてを包んでいるつもりでいます。
ヤンさんの稽古場はみんなでつくっていきます。そして出来たダイヤモンドに、彼のテクニックがさらに輝く最終的な光を宿すんです。優しくて、愛に溢れてる人間です。またご一緒できたらいいなぁって、そんな希望が生まれましたね。
東京公演は24日(日)まで。12月30日(土)・31日(日)には兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて公演が行われる。なお、12月20日(水)には全国の映画館でのライブビューイングも実施される。
また、現在発売中の「シアターガイド」1月号では、ジョンウン、浦井、趣里、マルシアの座談会を掲載している。公演と併せてこちらもチェックしていただきたい。
『ペール・ギュント』ライブ・ビューイング
2017年12月20日(水)18:30開演
・料金=全席指定3,800円
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