板谷由夏、サラナ・ラパインとのタッグに手応え 『PHOTOGRAPH 51』記者会見 - 2017年12月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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『PHOTOGRAPH51』会見 1 板谷由夏(左)とサラナ・ラパイン

▲ 板谷由夏(左)とサラナ・ラパイン

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板谷由夏主演の舞台『PHOTOGRAPH(フォトグラフ) 51』の記者会見が、都内で行われ、主演の板谷のほか、演出のサラナ・ラパイン、翻訳・ドラマターグの芦澤いずみが、取材に応じた。

本作は、「DNAの二重らせん構造」を発見した女性科学者ロザリンド・フランクリンを題材としたもの。世紀の大発見を成しとげながらも、ノーベル賞を受賞することのなかったロザリンドと、彼女を取り巻く5人の男性の姿を通して、科学のために愛や名声を犠牲にするその生涯の意味を問い掛ける。

ロンドン・ウエストエンドでは、ニコール・キッドマンの主演により上演され、ローレンス・オリヴィエ賞で主演女優賞にノミネートされるなど好評を博した本作が日本初上陸。板谷は、ブロードウェイでも注目を集める女性演出家サラナのタッグで、ロザリンド役に挑む。

本作は「何年もずっとやりたいと思っていた作品」だったという演出・サラナ。「科学だけの物語だけではない。史実に基づくものですが、言語や構造は詩的でもあるし、だからこそ、お客さまもつながりやすい作品になるのでは。また、“盗む”こと、そして、命の秘密を探る“競争”の物語でもあるサスペンスでもあります」と作品の魅力を語る。

作品に注目していた理由を問われると「繊細な層が描かれている。ある種とてもハードなストーリーの戯曲だけど、叙情的な言語と構成で、毎回読むたびに新しい発見があって、ずっとこの作品について考えてしまう。情熱的にこの作品を追い求めてきたんです」と答えた。

続けて、「差別は日常的なレベルで常に起こっているものであり、同時にパワフルな影響力を持つ。人間が今まで辿ってきた道を考えると、差別は大きな影響を及ぼしています」とそのテーマに触れる。「“抑圧”の本質はすごく説明しづらいもの。抑圧の経験のない人には、その本質は伝わりづらく、一方で、出身や人種で差別を受けた経験のある人は、差別のない人生は想像できなくなる。この作品は、差別する側、される側の両サイドを繊細に表現している」と力説した。

翻訳を手掛けた芦澤は、その創作過程を「一般の翻訳とまったく違うプロセス。書き始めるまで、NYのサラナの自宅に10回以上通いました。このフレーズはどんな意味を含むのか? 一言一句のミューティングを重ねて、リズムや演出家の意図をすべて話し合った結果の翻訳です。詩的・叙情的な部分にも非常に気を遣って翻訳しました」と明かし、「『冬物語』や『リチャード三世』『ハムレット』など、シェイクスピア作品の引用も織り込んでいて演劇好きの方にも楽しめる」とアピールした。

主演の板谷は「興味深いホンで、サラナに出会えたことも、このホンに出会えたことも、何かのタイミングと縁と運命。なぜ、今、ロザリンドをやるのか? 私もその答えが知りたい。きっと何か意味があると思う」と意欲的。初舞台への挑戦には「とにかく初体験なので、すべてが楽しみだし興味深い。どれだけ自分に吸収できるか、その“容れ物”の用意はしておきたい」と意気込んだ。

役づくりには「少しずつ、材料を集めて、手繰り寄せているところ」と話すが、「ロザリンドのストイックさや強さとか、自分に足りないものを知りたい。この時代に女一人で科学に取り組むという、腹のくくり方、強さは尋常でないし、物事に夢中になっていく無邪気さと、そこに突進していく集中力は憧れる。人として、彼女からいろいろなことを教わりそう」とこれからに期待をふくらませていた。

海外の演出家との“言葉の壁”について質問を受けると、板谷は「言葉の壁は正直感じていない」とコメント。「分からない言葉を彼女に聞くことで、プラスアルファの答えが返ってくるので、むしろラッキー。日本語で日本人同士が、分かっているつもりになってしまうことがないし、言葉が話せないからこそ、絶対に分かり合えるまで、探ることができる」と熱く語る。サラナに対しては「人に対して興味深いところがベースにあるよう。私の好奇心や質問にきちんと返してくれる。勘ですけど合う気がするんです(笑)。そこを信じたい」と笑顔を見せる。

サラナも、そんな板谷に対して「私も初めて日本語の演出に取り組むし、二人とも初めての挑戦なんですが、由夏さんはオープンに信頼を預けてくれている。いわゆる“やりやすい戯曲”ではないですが、私たちは、難しくても、情熱を感じるものに取り掛かろうとするところは共通する。すでにいいコラボレーションができていると感じているし、由夏さんが、これをやろうと思ってくれたことに深く尊敬する」と良タッグぶりを感じさせた。

現段階では、稽古が始まる前のリーディングが行われたとのこと。リーディングを振り返った芦澤は「本当に素晴らしい貴重な体験だった。サラナがオープンな雰囲気をつくってくれて、みんながフランクにコメントして、話し合いが始まって。リーディングを経てまた構成して、翻訳も良く変わっていくと思う。グループとしてすごくいいエネルギーのあるリーディングでした」と手応えは十分な様子だ。

サラナも「私にとっても意義のある時間。リーディング次第でまた翻訳を変えたくなるかも(笑)。翻訳に入る前のディスカッションを、いずみさんがアーティスティックに翻訳に反映してくれていると痛感しました」とうなずいた。そして「すごく感心したのはユーモア。ユーモアは翻訳しにくいものなんですが、短いフレーズで言い合うリズムの大事さを、日本語でお願いしていたんです。それがちゃんと日本語で、役者の生の声で聞こえてきて、ちゃんと成立させてくれたと感じました」と太鼓判を押す。

板谷が「(サラナは)英語の台本を読みながら、私たちの日本語の芝居に笑うことが、すごいことだと思いました」と明かすと、サラナは「台本を音楽の譜面のように見るんです。今回は、役者のリーディングを聞いて“譜割り”を考えていました。例えば『感情的な意味があるから、ここで拍を取るんだ』ということが感じられたんです」と付け加える。

板谷は感心しながら「それは、すごく感じました。ただ、家で台本を読むだけでなくて、みんなでリーディングすることで、戯曲が、バッ!と起き上がって立体化した! 起き上がった!っていうのが素直な感想。それを稽古に入る前にできたのはとても貴重な時間でした」と目を輝かせた。

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インフォメーション

『PHOTOGRAPH 51』

【スタッフ】作=アナ・ジーグラ 演出=サラナ・ラパイン
【キャスト】板谷由夏/神尾佑/矢崎広/宮崎秋人/橋本淳/中村亀鶴

■東京公演
2018年4月6日(金)〜22日(日)
・会場=東京芸術劇場 シアターウエスト

■大阪公演
2018年4月25日(水)・26日(木)
・会場=梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

各公演とも
・一般前売=1月27日(土)開始
・料金=全席指定8,500円

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