164人の命を奪い7万人を救った軍人は有罪か無罪か? 観客が評決下す異色法廷劇『TERROR テロ』が明日開幕 - 2018年1月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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『TERROR』開幕 1

▲ 左から、橋爪功、今井朋彦、神野三鈴、松下洸平、前田亜季

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判決が観客に委ねられる異色の法廷劇『TERROR テロ』が、森新太郎の演出により日本初演。明日16日(火)の紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAでの開幕に先駆けて、公開舞台稽古が行われた。

刑事事件弁護士の経験を持つ作家フェルディナント・フォン・シーラッハが手掛けた本作。物語で描かれる事件は、2013年7月26日、7万人の集まるサッカースタジアムに飛行機を墜落させようと目論んだテロリストによる民間旅客機ハイジャック事件だ。この事件に当たった戦闘機パイロットのラース・コッホ空軍少佐は、独断でこの旅客機を撃墜。乗客164名の命を奪い、7万人の命を守ったコッホ少佐の行動は、果たして有罪か、無罪か……?

舞台は、裁判長(今井朋彦)が現れることろから始まる。彼は、裁判を始めるにあたって、客席に向かい、観客が判決を下す“参審員”であると語る。舞台では、被告である空軍少佐の弁護人を担う橋爪功、検察官に扮する神野三鈴が、膨大なセリフ量で織り成される濃密な攻防を展開。さらに、被告の空軍少佐役・松下洸平、被害者参加人役・前田亜季、証人の軍人役・堀部圭亮と、実力派たちの熱演で、それぞれの視点から事件の経緯がつむがれていく。

そして、本作の大きな見どころは、有罪・無罪の判決が、観客の投票結果で決められる点。緊迫感溢れる法廷が立ち上げられる間、客電はほぼ消えることなく、観客も参審員として参加することになる。2幕での弁護・検察双方の最終意見陳述を経て、観客は配布されたカードを、客席やロビーに設置された投票箱に投票。その結果により、評決のシーンが上演される。民間人を犠牲にしてテロを阻止した少佐の判断は正義か悪か? 2016年に橋爪出演の朗読劇として上演された際は、4回公演すべてが有罪の判決となったという(公開舞台稽古では無罪の判決に)。今回の公演ではどうなるのか、その行く末を見届けよう。

初日を前にしたキャストと森のコメントは以下の通り。

■橋爪功
年明け早々お付き合いいただくには、『TERROR』に込められた想いとテーマは、少々大きく、重きに過ぎるものかもしれません。何せ、ドイツの辣腕弁護士にして小説家であるシーラッハ氏が、長年温めた題材を初めて戯曲にしたためた作品ですから。けれどテロは、遠い外国のことではなく、日本の私たちにとってもすぐそばに迫っている脅威だと思うのです。
不特定の膨大な情報が流れ込んでくる、種々の報道やネット環境とは違い、演劇は精査された知識と思索に対して開かれた“窓”です。普段は目を背けがちな、世界と人間の抱える問題について劇場でひと時、私たちと一緒に心を傾けていただくお客様に深く感謝いたします。

■今井朋彦
この作品の主役は事件そのもので、主体は参審員であるところのお客様です。裁判長は証言を引き出す、参審員に結論を導く役回りだろうと、意識しながら稽古してきました。舞台上の登場人物が話を聞かせている相手は、参審員である客席です。稽古場でも常にそのことを意識してきましたが、実際に客席空間を前にすると稽古場とはまったく違った感覚で、稽古場で想像していたより芝居の“アテ”が見つかった気がしています。初日を迎えれば、さらに感じた方や芝居そのものも変わるかもしれません。作品の最大のポイントは、有罪か無罪かの判断を最終的に観客が下さなければならないという点。登場人物たちのセリフや仕草の一つ一つが、有罪に傾いたり無罪に傾いたりと、観る側の気持ちを変えていくのを楽しんでいただければと思います。

■松下洸平
これまでの自分の演劇経験の中では最高に難しい作品でした。今回のコッホ少佐は超優秀な軍人という設定ですし、声を荒げたら負け、という裁判の中で毅然としていなくてはならない役です。厳しい質問に誠実な回答しながらも、感情は動きます。でも、それを表せない。感情を表したらダメな役というのは本当に大変で……(笑)。先日の稽古では、じっと手を組んでいた、もものあたりに手の跡がついてしまうくらいに汗をかいていました(苦笑)。客席の皆さんは芝居を観ているのか、参審員として本物の裁判を観ているのか、しばしば錯覚する局面があると思います。緊張感のある舞台なので、そこを楽しんでいただきたいですね。自分としては今回の作品に参加できたこと、今回いただけた役を演じるのは大きなチャレンジなので、全力で明日からの本番と向き合っていきます。

■神野三鈴
不器用な私に、セリフの一語一音まで緻密な演出を付けてくださった森新太郎さんや、橋爪功さんをはじめとする頼もしい共演陣に支えられ、稽古の日々を走り切ることができました。劇場とは未来、つかの間の日常を忘れ、心を解放するために足を運ぶ場所。けれど『TERROR』は、お客様に“命”や“罪”についての深い思索と大きな決断を迫ります。だからこそ、お客様と私たちの間には想像を共有したことで、壮大なドラマの伽藍が築かれ、終幕には互いの健闘を讃え合う拍手が響くはず。この舞台は、きっとそんな奇跡のような時間を生み出してくれると信じています。

■森新太郎
研ぎ澄まされた作家シーラッハの強靭なセリフと、そこに宿る重い問い掛けに導かれ、余分なものをすべて削ぎ落とした、人間と言葉だけが息づき、ぶつかり合う、まだ誰も見たことのない舞台が誕生しました。これを実現するため、過酷な要求に応えてくれた俳優陣に心から感謝しています。でも、作品を完成させるには、観客が席に着き、裁判に参加してくださることが不可欠。『TERROR』における一番の主役。結末を左右し、作品の持つ意味合いを変える力を持つのは観客なのですから。テロの暴力と不条理に向き合い、“演劇を超える演劇”をお客様に体験していただけたら幸いです。

この記事の写真

  • 『TERROR』開幕 1
  • 『TERROR』開幕 2 橋爪功(左)と松下洸平
  • 『TERROR』開幕 3 堀部圭亮(左)と神野三鈴
  • 『TERROR』開幕 4 松下洸平(中央)
  • 『TERROR』開幕 5 左から、今井朋彦、神野三鈴、前田亜季
  • 『TERROR』開幕 6 橋爪功
  • 『TERROR』開幕 7 神野三鈴
  • 『TERROR』開幕 8
  • 『TERROR』開幕 9 今井朋彦
  • 『TERROR』開幕 10

インフォメーション


■兵庫公演
2018年2月17日(土)・18日(日)
・会場=兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

■愛知公演
2018年2月20日(火)
・会場=名古屋市芸術創造センター

■広島公演
2018年2月21日(水)
・会場=JMSアステールプラザ 大ホール

■福岡公演
2018年2月23日(金)
・会場=福岡国際会議場 メインホール

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