黒澤映画「生きる」ミュージカル化に市村正親「この役が来たのは、芝居の神様の采配」 - 2018年4月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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『生きる』会見 1 左から、宮本亜門、鹿賀丈史、市村正親、市原隼人

▲ 左から、宮本亜門、鹿賀丈史、市村正親、市原隼人

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『生きる』会見 2 左から、ジェイソン・ホーランド、宮本亜門、小西遼生、新納慎也、鹿賀丈史、市村正親、市原隼人、May'n、唯月ふうか、山西惇

▲ 左から、ジェイソン・ホーランド、宮本亜門、小西遼生、新納慎也、鹿賀丈史、市村正親、市原隼人、May'n、唯月ふうか、山西惇

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黒澤明監督の名作映画を世界初舞台化するミュージカル『生きる』。本作の製作発表会が、都内で行われ、演出・宮本亜門、主演・市村正親&鹿賀丈史らが顔をそろえた。

定年を迎えようとしている市民課長の渡辺勘治が、当時、不治の病とされていた胃がんになり、死んだように生きていたこれまでの人生を悔い、自分の残りの人生を懸けて、市民のために小さな公園をつくる姿を描いた映画「生きる」。1952年に公開され、黒澤作品の代表作の一つとして数えられる名作が、黒澤没後20年の今年、ミュージカルとなってよみがえる。黒澤映画がミュージカルになるのはこれが初めて。企画制作を務めるホリプロ・堀義貴は「『デスノート THE MUSICAL』に続いて世界へ発信する作品にしたい」と語った。

作曲・編曲は、ブロードウェイ・ミュージカル『若草物語』の作曲を手掛け、音楽監督を務めた『ビューティフル』でグラミー賞を受賞、日本では『デスノート THE MUSICAL』音楽監督として携わったジェイソン・ホーランド。脚本・歌詞は高橋知伽江が務める。

会見での主なコメントは以下の通り。

■ジェイソン・ホーランド
作曲家として、類まれな体験をさせていただけることに感謝を申し上げます。「生きる」は父も大好きな作品。大学を抜け出してインディペンデント系の映画館へ見に行ったというほどです。この映画で好きなのは、父と息子の関係です。それは世界共通でとても複雑なもの。そして、自分の人生がどうであったかを振り返ることも素晴らしい。この映画から、私は、父として、息子として、アーティストとして、いろいろな面で刺激をもらいました。「生きる」をナマのものとしてお届けできるのは光栄です。

■宮本亜門
この黒澤明作品の初ミュージカル化という大役、演出をさせていただき心から感謝しています。黒澤ファンでもあり、正直、最初は驚きました。え! 黒澤映画をミュージカル化していいんですか! と思わず聞いてしまいました。
この作品はとても普遍的で、国を超えて、古いどころか今の人びとに訴えるものだと実感しています。私は還暦を迎えまして、渡辺勘治が還暦前ということも意味深いですし、先日、父が91歳でガンになり入院しているのですが「俺は頑張る! 不死鳥になるぞ!」と言っておりまして、本当に“本気で生きる”とはこういうことだと感じています。今、ジェイソンと高橋さんと三人で、オープンに、本気で取り組んでいます。皆さんの心に訴える作品ができると思います。
【市村・鹿賀の二人に】
なんというWキャストでしょう(笑)。本当に幸せな瞬間です。お互いにコピーすることはまったくなく、それぞれの違い、個性を生かしながら演じてほしいと思っています。この役は、人生の重みがすべて出る役です。生半可な人生を送ってきた方では表現できない役なので、ワークショップからゾクゾクと身震いするほどうれしかったです。悲しい作品ですが、生きる喜びを本当に味わえる作品。ギリギリまでいきてきた人の表現を心待ちにしています。

■市村正親 渡辺勘治役(Wキャスト)
皆さん知ってますか? 私が胃がんだったってこと。それがスポーツ新聞の一面に乗ったのは何年前でしょうか。今はこんなに元気で生きてますよ。そんな俳優に渡辺勘治の役が来たのは、芝居の神様の采配かなと思ってます。私が、こんなに生きているという証拠を見せているので、このミュージカルは当たると思っています。
僕は、なぜ舞台をやっているのか? 劇場のお客さんの元気の出る役者でいたいということと、たかだか3時間で激しいを人生を生きられるというのが、僕の俳優としての根源でした。ワークショップでは、やはり親子の話に僕の中でジンと来ました。勘治と似ているのは「子供のために自分が長生きしたい」というところでしょうか。子供に対する気持ちがあるからこそ、子供に感謝しながら演じていくのではないでしょうか。

■鹿賀丈史 渡辺勘治(Wキャスト)
この映画の公開は、僕が2歳の時で、見た記憶はないんですが(会場笑)。その後にもちろん見ていますが、まさか、その映画が日本でミュージカル化されるという意外性、驚きは本当に大きかったですね。ただ、よく見てると“人が生きる”ということを、真正面から捉えているドラマですので、そこにジェイソンの美しい音楽が入り、役者が動き出せば、素晴らしい舞台になるのではと思っています。これから本番に向かって真摯につくり上げていきたいと思います。
僕らは“人が生きること”を仕事にしています。これだけ、正面切って“生きること”をテーマにした作品は、ほかにないのではないでしょうか。映画では、志村喬さんの大きなアップの映像が多いんですが、舞台ではその表現を、体現するにはかなりのエネルギーが要るだろうなと思います。熱いエネルギーを、ほかの芝居よりも何倍も持たないと表現しきれないでしょう。僕は67歳ですが、いい年齢の時に、いい作品にめぐり合えたなと感じているので、ぜひこれは、自分のものにしたいと思っています。

■市原隼人 渡辺光男役
人生で初めてのミュージカルです。親子の話ですので、親子の話をすると、ミュージカルはずっとご縁を避けてきたところがありました。僕には合わないんじゃないかと。でも、30歳を越えていろいろな世界を見たいと思ったきっかけがありました。僕の父はしばらく体調が優れず、今は車イスでの生活です。そんな父を見ていて、もっと何かしてあげたかった、もっと何かしたかったと思ったんです。親父から教わったことは、若い内にもっといろいろな世界を見た方がいいということ。その思いも含めて、30を越えて、新たな世界に踏み入れてみたいと、敬意を持ってミュージカルに参戦させていただきます。
【ミュージカルのワークショップに参加してみて】
より胸の奥で、お客さまの感情を動かせるのが、ミュージカルの力だとあらためて感じました。先日、『ラ・カージュ・オ・フォール』を観劇して、お二人に楽屋でご挨拶した時に、市村さんが[ゴンドラの唄]を歌ってくださったのですが、その時の興奮というか、感動というか、言い表せない感覚が出てきて……セリフだけど音楽、音楽だけどセリフ、ミュージカルには矛盾している点がたくさんあるけど、それが不思議で、何度観ても楽しい。それがミュージカルなんだと。
ワークショップでは、市村さんの声を聴いて涙を堪えるのに必死でした。父と子の絆に、声のパワーと音に乗っけた時、胸を突くような優しさを感じました。この感動は、10月にはぜひ観ていただき、皆さんの胸に持ち帰っていただいて、その優しさを伝えていただけたらと思います。

■新納慎也 小説家役(Wキャスト)
日本では、海外からの輸入モノが多くて、オリジナル作品はなかなか育たない。最近では、オリジナルをつくろう! といろいろな団体が頑張っていますが、こんな帝国ホテルでの会見はできなくて(笑)。でも今回は、素晴らしく大々的にオリジナルミュージカルができます。その、オリジナルキャストに選ばれたので、きっと何年後かには、アメリカで「俺は『生きる』のオリジナルキャストなんだよ」って言ったら「ワオ!」って驚かれる日を望んでいます(会場笑)。
僕個人としては、『ラ・カージュ・オ・フォール』で、市村さんとは20年、鹿賀さんとは10年ご一緒させていただいています。今回、初めて違う作品での共演ですし、勘治にすごく影響を受けるという役ですので、しっかりと自分に反映させて良い役にしたいと思います。

■小西遼生 小説家役(Wキャスト)
3日間くらいワークショップをやったのですが、日本にはこんな現場があるんだ! というほどにクリエイティブな現場でした。亜門さん、ジェイソンさん、高橋さんで、ワンシーンごと、一行ごとに、その場で新しい言葉やメロディーを生み出していくんです。僕らはそれを渡されるんだと思っただけで、台本の重みを、今まで以上に感じました。生半可な気持ちではできないという思いはありますが、市村さん鹿賀さんの言葉を聞いて、俄然楽しみになりました。
ワークショップの参加メンバーの何人かでご飯に行って(市村が驚きのリアクション)、すいません、誘ってなくて……(会場笑)。みんな、もう稽古が始まったかのようなテンションで、今すぐにでもこのまま本番に行きたいというほどでした。10月には最高の舞台をお届けします。

■May'n 小田切とよ/渡辺一枝役(Wキャスト)
歌手としてはキャリアが14年になりますが、初めてのチャレンジができるのは本当に幸せなことだと思っています。もともとミュージカルを観るのがすごく好きだったので、本当に光栄な気持ちで、今も喋っている間にどんどん緊張してきました。
普段、コンサートでは、ファンの皆さんと「今日を思い切り楽しもうね! 今日を思い切り生きよう!」と、生きるパワーを共有してきました。トヨは、そんな全力で生きるパワーが炸裂している女の子だと思うので、そんなパワーを放てるように精いっぱい頑張ります。
昨日までのワークショップが、本当に素晴らしかったんです! いちファンとして涙が出るほどに興奮して、私も楽しみました。素晴らしいカンパニーの、少しでも一員となれるように楽しみながら頑張ります!

■唯月ふうか 小田切とよ/渡辺一枝(Wキャスト)
誰もが知る作品に、オリジナルキャストとして出演できて、本当にうれしく思います。数日間ワークショップに参加して、すてきな楽曲が本当にたくさんで、ノッちゃう曲もいっぱいで、今からお稽古が楽しみです。同じ作品で二役を演じるのは初めてなので、未知な世界です。すでにワークショップの時点で、超えなきゃいけない壁や課題ががたくさん出てきたので、頑張って乗り越えて、一皮むけたいなと思いました。この作品のメッセージが、皆さんにしっかり伝わるように、一生懸命頑張りますので、皆さん、本番を楽しみにしていてください。

■山西惇 助役役
助役を演じますミュージカル俳優の山西惇です(笑)。僕も何か劇中で歌う機会があるようで頑張ります。市村さんも、鹿賀さんも、亜門さんも、20代に俳優を志し始めたころから、たくさんの舞台を拝見していた、“生きる伝説”と化している方々で、その人たちと一つの作品で関われるのは、とても身が引き締まる思いです。
大尊敬する先輩をいじめ抜いて、憎まれる役ですが、そこは心を鬼にして、めちゃめちゃ引くくらいに嫌な感じにしてやろうかと(笑)。稽古まで時間があるんですが、とりあえず今は、役人のいやらしさを身につけるために、佐川(宣寿)さんの証人喚問の映像を一日に何回も見て役づくりをしています(笑)。この後、質疑応答があったら、刑事訴追の恐れがあるので、答えられることと答えられないことがあるのでよろしくお願いします(笑)。

製作発表会を終えて、宮本、市村、鹿賀、市原の4名は囲み会見に登壇。

あらためて心境を問われると宮本は「あの黒澤映画のミュージカルで世界へ行く! オリジナルでつくり上げるのは責任重大だし、やる気満々ですよ」と気合は十分。舞台化の企画には驚いていたが「普遍的なテーマなので、これは国を超えて感動できるし、現代の日本人に響くところが多い。いい企画だと思います」と話すと、鹿賀も「“生きること”は誰しもが考えるものだし、特に現代の人には、渡辺勘治という男の生きざまを、今、見てほしい」とうなずいた。

市村は「勘治が小説家と出会って、飲んだことない酒を飲み、遊びを知るところは、完全にミュージカルになるなと思った。冒頭で物語の案内人として小説家が入ってくるのが、面白いと思ったし、ジェイソンさんの曲も耳に残るメロディーで良いミュージカルになる」と手応えをのぞかせた。

また、胃ガン手術を経ての俳優活動を役に重ね合わせ「偶然にしてはぴったり過ぎる。勘治が公園をつくることと、僕が舞台をつくることは似ているんです。役者は実際にあったことを、舞台の中で還元していくものですが、還元しやすいこの状態はありがたい」と噛み締めていた。

一方、初ミュージカルへの挑戦に市原は「人生初のミュージカルなので、半年間やるべきことをやって、親子の話の優しさと大胆さとしっかりとお伝えできるように努力したい。役者なので感情で歌います。感情を伝えることを第一に歌いたい」と力を込めた。

Wキャストで主演を務める市村&鹿賀の二人に「互いの見どころ」を問われ、市村は「丈史はとにかく歌がうまいから、こっちは芝居でいくしかない」と答えると、鹿賀は「それじゃ俺の芝居がヘタみたいじゃないか」とツッコみ、さすがの名コンビぶりを披露する一幕も。鹿賀は「お互いに持ち味があるし、まったく違うものになるでしょうね」と話すと、市村は「まったく違う僕らが演じることで、ある意味、いろいろなお父さんたちの物語になるんじゃないかな」と今後に期待を寄せた。

宮本も、そんな二人の魅力を「はっきり言って両極」と同意。「普段からまったく違う存在の仕方。これまでの舞台で、生半可ではない、本気で生きてきた二人なので、その痛みや苦労が、それぞれににじみ出る。演出家としてはめちゃめちゃ楽しみ」と目を輝かせた。

さらに、「生きる目標は?」という質問が飛ぶと、市原は「本気で泣けて、本気で笑えて、本気で悔しがって、物事の根源を大切にし続ける。役者ってどうして始まったんだろう? エンターテインメントって、TVって舞台ってどうして始まったんだろう? お芝居って誰のために、何のためにあってどこに向かうべきなのかってずっと考え続けることが生きる糧」と熱量たっぷりに語る。

市村&鹿賀は「1年でも長く、舞台で生きていきたいので、健康に長く続けること」(市村)、「芝居の一本一本を大事にしていきたい」(鹿賀)とそれぞれに思いを明かした。

宮本は「黒澤監督は『まだまだ自分は生きていない』『もっと1回の人生を生きなきゃ』というところからこの映画をつくったと聞きました。僕はまだまだ。人を感動させるのはこれから。きっと、皆さん、まだまだ生き足りない方たちだと思うので、一緒に熱い作品をまずつくりたい」と意気込んだ。

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  • 『生きる』会見 1 左から、宮本亜門、鹿賀丈史、市村正親、市原隼人
  • 『生きる』会見 2 左から、ジェイソン・ホーランド、宮本亜門、小西遼生、新納慎也、鹿賀丈史、市村正親、市原隼人、May'n、唯月ふうか、山西惇
  • 『生きる』会見 3 ジェイソン・ホーランド
  • 『生きる』会見 4 宮本亜門
  • 『生きる』会見 5 市村正親
  • 『生きる』会見 6 鹿賀丈史
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  • 『生きる』会見 14 鹿賀丈史(左)と市村正親

インフォメーション

ミュージカル『生きる』

【スタッフ】作曲・編曲=ジェイソン・ホーランド 脚本・歌詞=高橋知伽江 演出=宮本亜門
【キャスト】市村正親、鹿賀丈史(Wキャスト)/市原隼人/新納慎也、小西遼生(Wキャスト)/May'n、唯月ふうか(Wキャスト)/山西惇 ほか

2018年10月8日(月・祝)〜28日(日)
・会場=TBS赤坂ACTシアター

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