多彩な演目をそろえて「六月大歌舞伎」が上演中 - 2018年6月 - 演劇ニュース - 演劇ポータルサイト/シアターガイド
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六月大歌舞伎『夏祭浪花鑑』中村吉右衛門(左)と嵐橘三郎

▲ 『夏祭浪花鑑』より、中村吉右衛門(左)と嵐橘三郎

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昼夜共に多彩な演目が並んだ「六月大歌舞伎」が、歌舞伎座で上演中だ。

昼の部はまず、重厚な時代物『妹背山婦女庭訓』の四段目「三笠山御殿」から開幕。同演目は、「大化の改新」を題材にした義太夫狂言で、反逆者・蘇我入鹿と藤原鎌足の争いに端を発した悲恋物語を描く。

求女(もとめ)と名乗り、烏帽子折に身をやつした鎌足の息子・淡海(尾上松也)は、正体を知らずに自分と恋仲になった入鹿の妹・橘姫(坂東新悟)を追って、入鹿の館にたどり着く。同じく、求女と夫婦の約束を交わしていた隣家の杉酒屋の娘・お三輪(中村時蔵)も、彼を探して館に迷い込むが……。

野暮ったい町娘・お三輪は、暇を持て余した官女たちからさんざんいびられてしまうのだが、この“いじめの官女”を演じるのがみな立役で、そのドスの効いた“官女”らしからぬ演じっぷりに、客席からは笑いが起こった。また、恋をするいじらさ、嫉妬にかられた錯乱ぶり、そして最後には求女のために死んでいく潔さと、変化していくお三輪の姿を、時蔵が細やかな演技で見せている。

続く、六歌仙容彩『文屋』では、「三笠山〜」と同様に立役たちが演じる官女を引き連れて、文屋康秀に扮した尾上菊之助が登場。しゃれっ気溢れる踊りを披露した。

最後は、河竹黙阿弥が五世尾上菊五郎のために書き下ろした世話物の名作『野晒悟助』だ。悪事ばかりをはたらく提婆仁三郎(市川左團次)率いる提婆組。男伊達・野晒悟助(菊五郎)は、仁三郎の子分たちに絡まれてしまった土器売娘・お賤(中村児太郎)、扇屋の娘・小田井(中村米吉)をそれぞれ助けるが、その二人から惚れられ、求婚されてしまい……。

悟助に扮する菊五郎の色男ぶりはもちろん、児太郎と米吉が演じる二人の娘がそれぞれに見せる、一目ぼれで心ここにあらずの表現のいじらしさにも注目したい。そしてクライマックスは、悟助と仁三郎の対決シーン。寺の山門に組まれた足場の上で繰り広げられる、音羽屋印の傘を使った豪快な立廻りが見どころだ。

夜の部は、季節感溢れる2演目を送る。

まずは、夏の大坂を舞台にした世話物の名作『夏祭浪花鑑』。堺の魚売り団七九郎兵衛(中村吉右衛門)は、義兄弟の契りを交わした一寸徳兵衛(中村錦之助)とその妻・お辰(中村雀右衛門)と共に、恩人の息子とその恋人を守ろうとするが、義父の義平次(嵐橘三郎)に邪魔をされ……。

最大の見どころは、何と言っても団七が義平次に手をかける、通称“泥場”。だんじり祭りの音色が響く中、本物の泥や水を使い、見得を連続で切りながら、殺しのシーンをたっぷりと描く。団七を演じるのは7年ぶりとなる吉右衛門が、悪人とはいえ親であるしゅうとを殺してしまうことへの迷いを繊細に表現しつつ、“殺しの様式美”を堪能させてくれた。

続いては、“昭和の黙阿弥”とも呼ばれた劇作家・宇野信夫の出世作で、怪談物の傑作『巷談宵宮雨』を24年ぶりに上演。深川に住む遊び人・太十(尾上松緑)は、女犯の罪でさらし者となっていた伯父で破戒僧の龍達(中村芝翫)を金目当てに引き取るが、龍達もまた、金銭への異常な執着を持っており……。

太十と龍達という欲深い二人の、金を巡る駆け引きが何とも面白い。特に芝翫扮する龍達のせせこましさに、劇場は何度も笑いに包まれた。だが太十が龍達を殺してしまう終盤は、その空気が一変。怪談物の本領発揮とばかりに、背筋の凍る場面が続く。見応え十分の演目だった。

「六月大歌舞伎」は、26日(火)まで。どうぞお見逃しなく。

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